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浦山野あずま
33113文字
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二次創作(とうらぶ怪談)
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狸本丸怪談・朔
これがそもそもの始まり。オールキャラ書くまで終われま10、一周目。
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26、見えない鴨居
長物連中は、その本体に合わせるように、皆揃って背が高い。いや、背丈自体は打刀以上なら大概高いのだが、あの辺は飛び抜けて高いのである。しかし本丸自体は普通の武家屋敷なので、頭上が危ないことこの上ない。ヘルメットの支給が検討されたこともあるが、焼け石に水と却下された。
大広間に入る時、巴形薙刀がどんなに気を付けていても、鴨居に頭がぶつかる。いくら人の身を得てまだ日が浅いとはいえ、それは無いだろうと言うぐらいぶつける。あまりぶつけすぎて、遠征にしか行っていないのに軽傷で手入れ部屋の世話になる始末だ。
今日もなかなかの勢いで鴨居に頭突きをかましてしまった。額を抑えて震えていると、背後から気配がした。太郎太刀である。やはり背の高い太郎太刀は、大袈裟なぐらいに身を屈めて鴨居を潜った。
巴形を振り返り、
「そこの鴨居は、目に見えているよりも二寸ほど低いのです」
よくよくお気をつけて。
本丸の鴨居は、長物連中にとって、大層低い。ヘルメットの支給が検討されたこともあるが、焼け石に水と却下された。見えない鴨居が、ヘルメットをすり抜けてぶつかってくるのだ。何とも難儀な話であった。
27、高い景色
遠征先での休憩中のことだ。審神者のおやつ用にと団栗を拾っていた五虎退と謙信景光は、太郎太刀がじっと向こうを見つめていることに気付いた。確かにこのあたりは周囲より小高くなっているし、偵察か何かだろうか。
「太郎さん、なにか見えるんですか」
「ていさつなら、ぼくと五虎退もおてつだいするぞ」
「えへへ
……
、頑張ります
……
」
太郎太刀は少しばかり考える素振りを見せたが、それには及ばないと首を横に振った。
「これは私ぐらいの高さでなくては見えませんから」
では、木に登ろうかと言うと、やはり首は横に振られる。
「ここはいいので、お二人は遊んでいてください」
それで散るモノもあります。
五虎退と謙信は、よく分からぬながらに聞き分けよく返事をして、審神者のおやつ探しに戻っていった。
残った太郎太刀は、再び眼下に広がる合戦場を眺める。
「ああ、あんなにも不浄が溜まって
……
」
血と瘴気と亡霊が渦巻いて、見るに堪えないことになっている。短刀達にあれが見えないのは幸いなことだ。神威が高まるのも考えものと、太郎太刀は顔を顰めるのだった。
28、こっそり飼っている
謙信公の元にあった同士だからか、五虎退と謙信景光は仲が良い。双方が人見知りであることと、どこぞの織田のような要らぬ対抗意識があったらどうしようかということで、保護者の間で事前の話し合いが持たれたりもしたが、全くの杞憂であった。
さて、このふたりだが、この頃は人目を忍んで何かをしていた。なにか獣をこっそり飼っているのではというのが専らの噂だが、鼻のきく者達に言わせれば獣の匂いはしないと言うので、害無しと見做されていた。数珠丸恒次が「神仏の加護を得ている謙信殿と白虎を連れている五虎退殿です。そう変な物は寄りつかないでしょう」と判じたのも大きい。
では、結局の所、このふたりが何をしているのかと言うと、やはり飼っていたと判明した。飼っていたのは犬でも猫でも狸でもなく、小さな人形であった。世に言うねんどろいど。しかも燭台切光忠と一期一振の、だ。この二体、驚くことに野良であったという。
「このいち兄のお人形さん、すごいんです!ぼくが小鬼さんに追いかけられていた時に、助けてくれたんです」
「ちいさなみつたださまも、かまいたちをおいはらってくれたんだぞ!」
必死に庇うふたりの姿には、一期一振も燭台切も滅多なことは言えず、結局人形は本丸で暮らすことになった。
人形は今日も元気に燭台切の家事を手伝い、一期一振と共に五虎退や謙信と遊んでいる。
「ですが、あれからは邪気も感じませんが、付喪神の気配もないのです
……
」と数珠丸が密かに悩んでいるが、おおむね平和で問題は無い。
29、胴のない猫
他所よりはかなり色々なモノが彷徨いている本丸ではあるが、胴のない猫にはさすがに皆がギョッとした。前足と後ろ足の間が綺麗に何も無い。上半身と下半身は別個体では無いらしく、ちょうど無い部分を手で隠す様にして見ると、普通の猫に見える。
堪りかねた大包平が空虚部分に手刀を落としたことがあるが、当然ながら見事にすり抜けた。大包平曰く、微妙に生暖かったそうだ。
石切丸は猫好き故に祓いたがらないし、にっかり青江は幽霊じゃないからねぇとはぐらかす。太郎太刀と次郎太刀はその大きさ故に猫に逃げられた。残るは数珠丸恒次だが、彼も首を横に振る。
「腹の無いものに、掌底打ちは当たりません」
なるほど尤もだと納得したのは大包平ぐらいなもの。なんで刀が怪異を拳で解決しようとしているのか、皆そう思いながらも口を噤むのであった。
30、人形
矢鱈とけったいなものが棲みついたり出て行ったりする本丸であるが、今回はかなりスタンダードなものが現れた。呪いの市松人形である。果たしてこれは付喪神になるのか、人形にとりついている憑依霊なのか、そのあたりの判別がつかないため、なあなあで対処が先延ばしにされていた。
この人形だが、当初はどういう訳か大包平のことが大層お気に入りであった。大包平の行く先々で、微妙に不気味な配置から彼を窺っている。その観察者っぷりから、宿っているのは鶯丸の生霊なのではないかとまで囁かれていた。しかし、よしんばそうであったとしても、鶯丸本体もまた大包平を観察している。二重の視線は流石に重い。
そしてその状況に、とうとう大包平が爆発した。
「そこに直れ!正しい人形の在り方というものを、この俺がじっくり教えてやる!!」
愛でられるものとして、もっと自覚と節度を持った行動をとらんか!と人形を叱りつけた。偶然居合わせた三日月宗近は「真剣必殺ぐらいの気迫であったな」と語った。
以来、人形と大包平の立場は逆転した。大包平は人形を見つけるやいなや説教を始め、人形はそれが嫌で大包平の居ない場所を探して彷徨う。そして、何故か三日月が人形の居場所を大包平にリークする。最後が一番意味が分からない。年寄りの考えることが一番けったいだと、皆見て見ぬふりをするのだった。
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