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浦山野あずま
33113文字
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二次創作(とうらぶ怪談)
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狸本丸怪談・朔
これがそもそもの始まり。オールキャラ書くまで終われま10、一周目。
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56、父親ホットライン
本丸には、黒電話がひとつ引いてある。玄関近くに置いてあるそれは、基本的にはどこにも繋がっていない。とある番号に掛けると政府の窓口に繋がるだけの代物である。その電話を、小烏丸がしばしば使用している。しかも結構な長電話だ。
ある日、千代金丸が万屋に行こうと玄関に向かうと、小烏丸がまた電話を使用していた。何となく興味が湧いた千代金丸は、小烏丸の傍らに座り込んだ。小烏丸は当然それに気付いたが、鷹揚に笑って頷くだけで、電話を続ける様であった。
「うむ、そなたの末の子はいつもよくやっておる」
最近は長光と景光の子らも来たのでな、それは張り切っておるわ。ああ、心配せずとも、景光の短刀と伊達の者共がよく手伝ってやっている。直に修行に出る時も来る。その時はこの父がそなたの代わりにしかと見送ろう。
「では、そなたも息災でな」
受話器を置いた小烏丸を、千代金丸はじっと見詰める。
小烏丸は慈愛に充ちた笑顔を浮かべ、千代金丸の頭を撫でた。
「この小烏丸は日本刀の父のようなもの。そなた達の父なる刀工に、そなた達の息災を伝えるのも、父の責務よ」
なるほど、それは宜なるかな。千代金丸が納得した様子に満足し、小烏丸は次の刀工の元へとダイヤルを回した。
57、ふえる
近頃、本丸内で見掛ける諸々に新種が増えたという噂が囁かれている。木の上に見慣れない丸いのがいただとか、獅子とは似ているが何か違う獣が屋根の上で寝ていただとか。居ること自体は気にならないが、増えた理由はそれなりに気になる。
誰より長くこの本丸の在り様を見てきた加州清光と五虎退の見解に、皆が秘かに注目した。
「そんなの分かるわけないじゃん」
だって俺、別にここの妖怪の元締めとかじゃないし!
おやつに配られたサーターアンダギーを食べながら、加州は嘆く。
「刀じゃない皆さんの大将さんは山ン本さんですからね
……
」
同じくサーターアンダギーを食べながら、五虎退も溜息を吐く。
しばし無言でもっしゃもっしゃと咀嚼していると、そもそものサーターアンダギー提供者である千代金丸がおずおずと手を挙げた。
「ワッサイビーン
……
」
「わ
……
わさび
……
?」
「すまない、たぶんそれは俺のせいだ」
千代金丸が申し訳なさげに語るには、その見慣れない者たちは、自分についてきた南の物の怪達であるという。なるほど、それならば見覚えがないのも道理である。
「でも、もう島には返せんし
……
」
いつも鷹揚な千代金丸が、見事に縮こまっている。
が、別に、
「居るのは構わないんだってば。出自が知りたかっただけなんだから」
そうと決まれば、と加州は表情を引き締める。
「千代さん、そいつら集められる?なら、まずはご神刀組合に連れて行って、お墨付きもらって。で、それがすんだら台所。みっちゃんと歌仙にそいつらの好物教えたげて」
仲間が増えるのは、全然いいことなんだからさ。
加州の笑顔に、千代金丸の表情も明るくなった。いつに見ない機敏な動きで、外に飛び出していく。五虎退も「お手伝いしてきますね」とその背を追った。残された加州は「また賑やかになるよ、あるじ」と呟いて、膝の上に寝ている審神者の頭を撫でるのだった。
58、ぼくらの本丸
本丸は静まり返っていた。無人ではない。兎を追って団子を集めるという怪任務により、皆恐ろしく疲弊していた。すぐに動けなくなるので、順繰りに出撃している。屍累々の有り様で、人の気配はあれどもいつもの騒がしさは鳴りを潜めていた。
加州清光も疲労抜きの休憩中で、そのお供は団子ばかりでは飽きるだろうと燭台切光忠と小豆長光がこさえたクッキーである。
「この空気、すごい既視感があるんだよな」
考えながらも手と口は動く。菓子器に山盛りだったクッキーがとうとう最後の一枚になった時、加州は漸く思い至った。
「あー、あれだ。本丸の最初の頃だ」
この、姿は見えないのに気配だけは物凄く蠢いてる感じ。
この本丸、審神者が呼ぶのか、こうだからこの審神者が納まったのか、初めから物の怪やらなんやらが棲みついていたのだ。まるきり百鬼夜行が本丸を象ったみたいなものだった。
始めこそ、こちらもあちらも、どうすればいいか探り探りであったのだ。
「それが今や俺たち刀の方が多いんだもんな」
まあ、あちらもその分増えたのだけれど。
よくやってきたよ、俺たちも、あるじも。
なんとも感慨深いものだ。今日はちょっと多めに遊んでやろうかな、などと加州がしみじみしていると、廊下を走る音がする。
騒がしい足音とともに障子を開けたのは、和泉守兼定だった。
「加州!あるじが、雷獣と菓子を取り合って負けた!」
怪我しちまって、お前を呼んで鳴いて愚図ってるから来てくれ。
「あーもー、なにやってんの
……
」
お互いに慣れるにも程があろうに。いや、審神者は元々あちら側か。それに本をただせば己らもあちら側だ。まあなんにせよ。
「仲良くやんなきゃだめでしょ、あるじー!」
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