はしびろこう
2026-02-09 19:02:03
20954文字
Public
 

治安悪ラヴァ

アシュヨダ前提🐮ラヴァわちゃわちゃ
アッパー集団🐮ラヴァが書きたかった



 今日、アシュヴァッターマンは二丁拳銃を携えている。[#「今日、アシュヴァッターマンは二丁拳銃を携えている。」は中見出し]
 一つはサプレッサーの着いた、威力が高い代わりに引き金が重く連射に向かないものと、もう一つは軽く速射性に優れた銃である。
 軽いとは言っても弾の残弾をそこまで気にしたくないのでドラムマガジンをつけている分は重いのだが、アシュヴァッターマンの握力と体力ならば問題ない。
 実弾を使うサプレッサーの消音、発砲音の軽減は実は結構音は響くのだが、使い道はある。
 ——距離と方向の誤認。
 通電は元から、建物の中は物理的に切ったので光がなく、音による探索がより必要になる——また、建物の造りが複雑であるがゆえに音の響きで距離の認識をしてもなんら不思議ではない。目玉が光になれる速度は、暗闇から明転の方が圧倒的に早い。明るさから暗闇への完璧な順応は三十分かかると言われる。しかもここは、いかがわしいことを理解している建物の内部。通路の窓は最小限だ。
 音が小さい、距離は無論、現場へ向かう途中の距離の誤認は命取りである。
 侵入後、暴れたときに使ったのはサプレッサーをつけた銃だった。実際より、離れた位置を想定していることだろう。
 戦闘員が集まり始めるだろうので、天井のすみに腕を突っ張り張り付いて待てばすぐに三人組が通る。
 斥候、次にハンドガンとナイフを携えた副隊長、次にハンドガンを持ちながら通信をする男。
 最後の男が通り過ぎた瞬間、落下しながら体重を使い、撫でるように頭頂部をひねり首を折る。音がしないよう静かに倒して、二人目を背後から——チャクラムの刃で首を切る。
 二人目まで静かに始末したところで、血飛沫に気づいた斥候の男が振り返り声を上げようとしたので顎を手で掴みながら壁に後頭部を叩きつけ、顔を近づけて幼子にするように声を落とす。
「しーっ」
「‥っ!っ!」
 喉に横に刃を入れて、黙らせた男をまたそっと地面へ。最初に始末した男の耳に付けられた通信機を耳に入れ、他の対の動きとかわかったらめっけもんだわなと思いながら今度は速射性の銃を構える。
 これで銃で死んだものと、刃物で死んだものの死体が出来上がった。別の武器を持ったものが複数人侵入した、とおもってくれればいいのだが。
 少し装備を漁れば、閃光手榴弾を見つけたので拝借しておく。
「さて、人数と距離の誤認で少しは撹乱できっかなァ」
 あとは派手に暴れるだけである。閃光手榴弾《オモチャ》も手に入ったことだ。
 これ一回使ってみたかったんだよなぁ、なんて考えながら移動していけば、別の隊が螺旋階段を上がってくる音を聞く。

 あとは十六分、派手に他人を惹きつけなくては。
 ダンダンダン!階段の照明器具に弾丸を撃ち込み、新たな敵にガラスを振らせて——第二幕だ!!

 ※

「じゃ、頼んだぞ」
「貴様の目が節穴か、確認できる機会だ」
 お前が選んだのだからなんの問題もなく解決してみせる、とのことである。
 重畳重畳。さすがわし様のカルナ。
 二人を伏せたドアの前で、咳払い。
「おいおい、わし様に歓待の酒もなしとかありえるかぁ?」
 ドアを開ければ、ポカンとした顔がこちらを覗く。教祖と幹部三人。
 幹部の銃口がこちらへ向くが、こいつらからして、わし様は明日神に捧げられる生贄。傷ひとつあることは罷りならん身である。
 そういうところが厳格だ。
「お前、なぜ——
 教祖の視線が資料の大量に入った棚に滑るのを見逃さないが、ゆっくりと歩を進める。
「なぜ?お前たちがこんな辺鄙なところに攫ってきたのだろうに」
「貴様っ!教祖様に気安く——
 カンッ、地面を叩いた反動を使い、腕を伸ばしてくる不届者の眉間に杖の先端を向ける。

「気安く触るな、はこちらの台詞だ」

 刺すような意識を向けていれば、目の前でのけぞりながら動けなくなった男と——背後で動く男にふと鼻で笑う。
 杖についたボタンを引っかければ、仕込み杖からかちり鞘が抜け——足を滑らせて背後に振り向き地面をスライドさせながら抜けた刃物を水平に抜き付け、重心を滑らせた足に移動して立ち上がりながら、体を真ん中から半分に切り上げる。
「わし様は言ったぞ。気安く触るな、と」

「やっ——やめろ!!」
 声を上げたのは、部屋の奥で控えていた教祖——取り囲んでいた男たちが振り返ったそこには、カルナが静かに、鎖骨の上に刃を当てている。
「っ!?」
 力を抜いても、入れてもつるりと刺さり死に至るその位置にある刃物に、教祖は震え上がり、残った幹部の二人も瞠目している。
 一瞬だった。
 ドゥリーヨダナに三人が意識を向けた、その一瞬の出来事だったのだ。
「い——いつの——まに」
「その目は節穴なようだな、貴様がドゥリーヨダナを見ている間に、以外の回答があるのか?」
 教祖に視線がいっている幹部二人の首を、ドゥリーヨダナが一閃で跳ね飛ばす。
 首から噴水の如く血が吹き出した男たちが、操る糸が切れたようにどしゃっと自分の血溜まりの上に落ちるのを、もはやなんの興味もないとばかりに飛んだ血飛沫で汚れたと何度か払いながら嘯く。
「早く落とさんとシミになってしまう」
 カルナが生殺与奪の権を握る男を振り返った。

「初めまして、教祖殿。わし様はどこかな?」