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ユキ
2025-12-25 16:03:41
33785文字
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🌲🎏アドベントカレンダー
同棲している杉元と鯉登が過ごす12月をまとめたものです
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【⠀12月17日⠀】
「で? 何がいいの?」
「んー?
……
ふふ、任せる」
「えぇ
……
」
「
……
つってもなぁ」
精々頑張れ、とやけに楽しそうな顔で笑っていた鯉登の顔を思い出しながらスマホの検索画面をスクロールする
料理は苦手ではないけどそんなに凝ったものは作ったことが無くて、でもせっかくだからちょっと特別感のあるのにしたい
そんな事を考えながら言葉をちょっとずつ変えて調べていれば、ずらりと並んだ検索履歴は人に見られるのがちょっと恥ずかしいものになっていて
初めての誕生日って訳でもないのに何をこんなに悩んでるんだか、と休憩室のテーブルに突っ伏して唸る
好きな物も嫌いな物の結構知ってると思ってたけどまだまだ分からないことが多くてちょっと悔しい、でも
(
……
楽しみにしてるって言ってたもんなぁ)
よし、と気合を入れてもう一度調べようとした時にブブっとスマホが震えた
「えぇーかわいー」
鯉登から送られてきたひなたぼっこをしている数匹の猫の写真
そういや今日休みだっけ、と小さい窓から外を見ると雲ひとつ無い青空に気持ちよさそうだなぁと目を細める
『どこ?』
『スーパーの近くの公園』
高そうなコートを着た鯉登が猫の写真を撮っているところを想像してくつくつと笑う
動物が好きなのにあんまり好かれるタイプじゃないから恐る恐る近づいてったんだろうなぁ
そのまま取り留めもないやり取りを数回繰り返してそろそろ帰る、と鯉登が送ってきたのに気をつけてねと返す
――
もしかしてあいつ買い物袋持ったまま猫見てたのか?
さっき想像してた鯉登がエコバッグを持ってる姿に更新されて思わずふはり、と吹き出す
何も思いついてないけど、さっきより心も身体も軽い気がする
今日は豚汁だ、という今日の夕飯当番からのお知らせに喜びのダンスを踊るスタンプを返して仕事に戻るために立ち上がった
【⠀12月18日⠀】
「お、おはよー」
「
……
おはよう」
朝食を準備している男の珍しい格好をまじまじと見つめているとエプロンを外した杉元が首を傾げてこちらに近づいてくる
「鯉登?どした?」
「
……
スーツ」
体調でも悪い?と心配そうな杉元の胸元
緩く締められて胸ポケットに端っこがしまわれたネクタイの結び目をトンと指でつけばあぁ、と結び目に指をかけて軽く引っ張る杉元のまくられた袖から覗く腕が目に入ってドキリと心臓が跳ねた
「なんか急に今日はちゃんとした格好で来いって言われてさぁ」
クリーニング出しといて良かった、とぼやきながら洗面所に行った男の背をじっと見る。いつもの服より筋肉がしっかりついた身体の線がはっきり浮き出ているのにむっと唇が曲がった
冷める前に食べてね、と身支度を整えた杉元が戻ってきた横をすり抜けて自室の扉を開けて、机の上に置いていたものを掴んでリビングに戻るとちょうどジャケットを羽織るところで
「杉元」
「ん?」
「後ろ向いて、ジャケットちょっと持ち上げろ」
えぇ?と戸惑いながらも言われた通りに動いてあらわになった腰元にシュッと一吹き
ふわりと鼻をくすぐる慣れた香りによし、と顔をあげればこちらを見下ろしていた杉元と目が合った
「
………………
なんだ」
「
……
いやぁ?」
なんだか急に恥ずかしくなって顔を逸らしてさっさと行け、と杉元の背中を押すが全く動く気配が無い
「鯉登ー?音ちゃーん?」
「うるさい黙れその顔をやめろ」
見なくても分かるにやけ面でうへへ、と笑う杉元に手を取られた
「ちょっと待ってて」
ぎゅっと一度強く握ってから手を離した杉元が駆け足で自分の部屋へと入っていく。ドタバタと何やら騒々しい音の後に出てきた男の手には深い赤色のネクタイ
「付けてくれない?」
「
……
貸せ」
ぽんと手の上に乗せられたネクタイは私がプレゼントしたもので
こいつがそれを選んで持ってきたことが嬉しいけどなんだか悔しい
しゅるりと元々付けていたものをほどいて待っている杉元の前に立って首に腕を回した
腰に回された手が熱い。ふわりと漂うのは自分が付けた時とは少し違う香りでぎゅっと眉間にシワがよる
ほんの少しだけゆっくりと手を動かして最後にきゅっと形を整えてやる
ありがと、と嬉しそうに笑う顔になんだか気恥ずかしくなってどん、と強めに胸を叩いた
ゲホっと咳き込む男の肩を押して玄関の方へ向かう。さっきと違って素直に動くのが力の差を感じて少しモヤモヤする
「いってきます」
「
……
いってらっしゃい」
ヒラヒラと手を振りながら出ていく杉元を見送ってから用意された朝食に手を付ける
テーブルの上に置いてある香水
――
普段使っているものとは違う少し特別なものをつまみ上げる
今日はこれを付けていこうと決めて昨日の残りの豚汁を飲み干した
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