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ユキ
2025-12-25 16:03:41
33785文字
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🌲🎏アドベントカレンダー
同棲している杉元と鯉登が過ごす12月をまとめたものです
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【⠀12月3日⠀】
『唐揚げと生姜焼き』
『どっちがいい』
休憩室の簡素なテーブルの上で震えたスマホの画面にぽんぽんと連続で表示された通知が三つ
短い問いかけ二つと何が良いのかはよく分からないけど鯉登が気に入っているキャラクターが小首を傾げて頭上に?を浮かべているスタンプが一つ
とりあえず考え中と打ち込んで出てきた候補の中からなんなんだそれはと顔を顰められたものを選んで送信すれば既読マークがついてすぐになんとも言えない微妙な顔をした犬っぽい動物がポコンと画面に現れた
――
まったく、この可愛さが理解できないなんて
やれやれと思いながら、手元にある空の容器に視線を落とす
毎週水曜日の揚げ物の日名物、ガッツリ濃い味の唐揚げ弁当、昼時に買いに走っても買えるかどうかは半々な一番人気
うむ、とひとつ頷いてスマホに指を滑らせる
『生姜焼きがいいです』
返ってきた親指を立てるスタンプにぺこりとお辞儀をするくまを送ったところでそろそろ休憩時間が終わることに気が付いた。横のボタンを押して暗くなった画面ににやけた自分の顔が映る
(
……
なぁんだ、あんな事言いながら結構気に入ってんじゃん)
自分のお気に入りのキャラクターが左側にいるのがなんだか嬉しくてふんふんと鼻歌を歌いながら席を立つ
気分も良いし甘いものでも買って帰ろうかな、そう思いながらあと半日頑張ろうと頬を叩いて気合を入れた
「
……
ねぇねぇおとちゃん」
「なんださっちゃん」
「これなぁに?」
「?照り焼き」
「
……
てりやき」
「あぁ、ぶりだ」
美味しそうだろうと机の上に皿を並べる鯉登はにこにことすごく機嫌が良さそうで
忙しいだろうに仕事終わりに買い物に行ってこんなに美味しそうなご飯を作って俺が帰るまで待っててくれて
「
……
うん...すごく美味しそう.....」
そう、返すことしか俺には出来なかった
「スタンプ?あぁ、アレこの間お前がプレゼントしてきたやつだぞ」
「なん
…
だと
…
?」
【⠀12月4日⠀】
ふっと音が耳に触れた
頬に触れる枕の肌触りと身体を覆う布団の重さ
遠くの方から時々聞こえてくる音が気になって少しだけ目を開けるとドアの隙間から黄色い光が見える。さっきまで閉じていた目にはそれが少し痛い
(帰ってきたのか
……
)
ふぅっと息を吐いて落ちてくる瞼に逆らわず、目を閉じる。ざぁざぁと聞こえてくる微かな水音に耳をすませているうちに寝入っていたらしい
ガチャリとドアが開く音とこちらに近づいてくる気配に意識が浮上する
「ただいま」
すぐ近くから聞こえてくる声に言葉を返したいのに目も口も重たくてもどかしい
そのままするすると髪をすいているらしい手の感覚が気持ちよくてすうっと落ちていきそうになった時
ぽたりと冷たい水が落ちてきた
ぱっと目を開くと首にタオルをかけてこちらを覗き込む杉元の驚いた顔が目に入る
「
……
おかえり」
「あ、うん
……
ただいま」
ごめんね起こした?と申し訳なさそうな顔の男の顔をじとりと睨みつければ、きゅぅとでも音がしそうな顔をされる
温かい布団の中から伸ばした手が触れた髪はやっぱり濡れたまま
「
……
あぁーー」
ぎゅっと眉間に皺を寄せれば、罰が悪そうな顔をして目線をそらすから少し強めに髪を引っ張る。気を使ったのかなんなのか知らないがそれで風邪でも引かれたらたまらない
はぁ、と大きく溜息をついて身体を起こし、ぶつかりそうになって慌てて避けた杉元の足元に揃えていたスリッパに足を入れて立ち上がる
「鯉登?」
不思議そうな顔の杉元の腕を掴んでリビングへ
されるがままの馬鹿をソファに座らせて洗面所からドライヤーを持ってくれば、何をするのかやっと理解したらしく慌てて立ち上がろうとするのを座れ、と睨みつけて黙らせる
ブォンと鳴りながら出てくる温風を少しパサついた髪に当てて乾かしていく。最初は緊張していたらしくピンと伸びていた背筋がぐにゃりと曲がり時々かくん、と頭が揺れているのが面白い
大体乾いたのを確認してかちりとスイッチを切ればビクッと跳ねる肩
――
寝てたな
ドライヤーを片付けに洗面所に向かう自分の後ろをなにか言いたそうにしながらついてくる男に歯は磨いたのか聞けばうん、と頷いたのでそのまま寝室へ
やけに大人しい杉元と一緒にまだ温かい布団の中に潜り込んでほっと息をつく
「
……
ごめんね」
恐る恐るそんなことを言ってくる馬鹿の身体に抱きついてやればびくっと震えてから腕が回される
ぐりぐりと胸元に頭を擦り付ければくすぐったいと笑う声
「馬鹿は風邪ひかないっていうのは迷信だぞ」
「俺馬鹿だと思われてるの
……
?」
「なにをいまさら」
あーはいはいと言いながらぽんぽんと背中を叩く手とさっきよりも狭いけど温かい空間にゆっくりと眠気がやってくる
「
……
ありがと」
聞こえてきた小さい声に遅い、と軽く足を蹴って目を閉じた
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