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ユキ
2025-12-25 16:03:41
33785文字
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🌲🎏アドベントカレンダー
同棲している杉元と鯉登が過ごす12月をまとめたものです
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【⠀12月11日⠀】
「結構遅くなっちゃったなぁ」
吐いた息が白くなるのをぼんやりと見てさぁ帰るか、と駅の外へ足を踏み出そうとした時ドン、と肩に何かがぶつかってきた
「っは?な、に
……
」
「おかえり」
びっくりして横を見るとにやりと笑う見慣れた顔、朝出かけるのを見送った時と同じ格好の鯉登が隣に立っていた
「
……
お前なんだその手は」
「えっ
……
あ、あーーははは」
思わず作っていた握り拳をほどきながらへらへらと誤魔化すように笑う。呆れたような顔を浮かべてピッタリくっついていた身体を離した鯉登が歩き始めたのを慌てて追いかけて声をかけた
「おかえり」
「ん、ただいま」
ふ、と柔らかく緩む顔にさっきまで感じていた疲れが少し軽くなった
一人の時よりも気持ちゆっくり歩く帰り道、時々ぶつかる身体にそわそわする
とん、とぶつかる肘より下をチラチラ見ながら歩いていると、ふはっと軽い笑い声が上がる
「見すぎ」
笑いながら手袋を取り外しん、と差し出される右手
慌てて同じように手袋を外した手を取られてぐいっとポケットの中にふたつの手が突っ込まれた
「
……
なんか今やばい音しなかった?」
「気のせいだろう
……
ふふ、あったかいな」
無理やり突っ込まれたダウンジャケットは心配だけど
……
うん
「
……
あったかいね」
寒いならもっと早く歩けばいいとは分かっているけど、ぴったりくっついて歩くこの時間をもう少し味わっていたい
さっきよりも小さくなる歩幅に何も言われないからこいつも同じこと考えてるんじゃないかな、とにやけてしまう顔を慌てて引きしめる
「手汗」
「
……
へ」
そんなことを考えながら歩いていたらずぼっと入れた時と同じように唐突にポケットから引き出された手
ポカポカと熱いくらいだった手が急に放り出されて呆然としていれば俺の服で手のひらを拭った鯉登が手袋を付け直してさっさと先を行く
「
……
お前、お前マジでそういうとこぉっ!」
「なんだ急に」
こんな夜中に迷惑だろう、とか呆れたような顔で正論を言ってくる鯉登にかなり、かなりムカつくけど
ほら早く来い、とちょっと先で待っててくれるのを見て大きくため息を着いてからそこまで走った
「
……
お前帰ったら覚えてろよ」
「なんなんださっきから」
お腹空いた、とのんびり呟く鯉登をじとりと睨みつけても本当に何も分かっていないらしくきょとんとした顔で返される
家まであと少し
帰ってからの段取りを考えながら足を速めた
【⠀12月12日⠀】
「
……
腰が痛い」
幾分か寒さが和らいだ昼過ぎ
今日はゆっくりしてていいよ、とにこにこ笑いながらのたまった男の顔を思い出してぎゅっと眉間にシワが寄る
あいつの言う通りにするのも癪で、夕飯の買い物に出かけたはいいが、じんわりと重い腰に本当に何もせずに家に入れば良かったと溜息がこぼれた
うどんでいいだろうと何個か買った惣菜を入れた袋を手に帰る途中、この寒い中でも色鮮やかな花屋が目に止まる
店先に置かれていた黒板に描かれていたの今日の日付とバラの花、それと
「ダズンローズデー?」
聞き慣れない言葉が気になって近寄り小さく書かれた説明を読む
「
……
なるほど」
うんうん、と一人頷いて顔をあげると店員と目が合う。にこりと笑ってこちらへ近付いてきた店員に一際鮮やかな赤色を指差した
「ただいまー」
「おかえり」
帰ってきた杉元がテーブルの上に置かれた花瓶をきょとんとした顔で見ているのを上がりそうになる口角をおさえながら観察する
「どうしたの?これ」
うーん、としばらく悩んでからこちらを見てそう聞いてくる杉元に優しく、穏やかに、にっこりと笑いかけるとひくりと杉元の顔が引き攣った
「あ、あのー」
「今日はダズンローズデーらしい」
へ?とビクビクしながら聞き返してくる杉元の手をそっと握る
――
ひぃっという悲鳴が聞こえた気がするが気のせいだろう
「愛する恋人に12本の薔薇を贈って普段気恥ずかしくて伝えられない愛や感謝を伝える日らしい」
「へ、へぇ」
「
……
杉元」
甘い声で名前を呼び、ちょっと照れをにじませてはにかむように笑ってやる
――
その方が好みだろう?
「愛してるぞ」
「すみませんごめんなさい許してくださいおねがいします!!!!」
血の気が引いた顔で叫ぶ杉元に笑いそうになるのをぐっと堪えて拗ねた顔を作る
――
少し上目遣いで唇を尖らせるのがポイントだ
「
……
うれしくないのか」
「うれしいです!!!」
青くなったり赤くなったり忙しいやつだな、とくるくる表情を変える男の顔をしばらく楽しんでからぱっと手を離す
「よし、さっさと風呂入ってこい」
「
……
は、え?」
「今日はうどんだ
……
素うどんでいいな?」
「
……
やっぱり怒ってんじゃん!」
わっと叫びながら部屋を出ていく杉元についに堪えきれなくなって声を上げて笑ってしまった
別に怒ってない、ちょっとした意趣返しなだけだ
それに
「
……
ひとつも嘘は言ってないんだがな」
くふくふと笑いながら、ちゃんと二人分買ってある惣菜を用意するためにキッチンに向かった
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