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ユキ
2025-12-25 16:03:41
33785文字
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🌲🎏アドベントカレンダー
同棲している杉元と鯉登が過ごす12月をまとめたものです
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【⠀12月7日⠀】
「いってきます」
「いってらっしゃーい」
ぴしりと伸びた背を見送って鍵を閉める。あんな颯爽と歩いてる男がさっきまで寒いから外出たくないと駄々を捏ねていたなんて誰も思わないだろうなぁ
なんて、そんなちょっとした優越感にふんふんと鼻歌を歌いながら昨日の鍋の片付けに取り掛かった
「
……
プレゼント、どうしよっかな」
大勢の人で賑わう日曜日の百貨店をうろうろとさまよい歩いて早一時間
(マフラー、は去年あげたしなぁ)
うーん、と店頭に並べられた商品を眺めていると様子を伺っていたらしい店員さんに声をかけられる。何かあれば、とぐいぐいくることもなくすっと差し出された言葉に軽く会釈を返す
(
……
あいつも仕事中はあんな感じなんかな)
普段はお世辞にも愛想が良いとは言えないが、仕事には真面目で手を抜かない恋人の事を思い出して口角が上がる
「
…………
あ」
そういえば、と鯉登が以前話していた事を思い出してぱっと顔を上げて店内を見渡した
「ありがとうございました」
その後、お目当てのものを探して何店舗か巡ってイメージに合うものを見つけられた
手に持った小さい紙袋をブンブンと降ってしまいそうになるのを抑えて外に出ると、暖房がきいた建物内で歩き回ったせいか軽く汗ばんだ身体に冷たい風が吹き付けてくる
きゅっと首を縮めて手をポケットに突っ込み足早にキラキラと飾り付けられた街中を歩く
昼でこれだけ綺麗なんだから夜明かりがつけられたらもっと綺麗なんだろうな
パシャリとビルの壁を昇るサンタの姿を撮った写真をあいつに送る。あいつこういうの好きだから実際に見たらめちゃくちゃ喜ぶだろうな
今は隣にいない鯉登がきらきらした顔ではしゃぐのを想像して笑って
――
ちょっと寂しくなった
(
……
いっしょに見たかったなぁ)
そう、考えていたらぶぶっと握ったままだったスマホが震える。送られてきたスタンプはきらきらと目を輝かせていて、それがさっき想像した鯉登の顔とそっくりで吹き出してしまった。くつくつと笑いながら返信しようとすると続けてメッセージが表示される
『見に行きたい』
『いつ行ける?』
はく、と空気を飲み込んで慌ててカレンダーを確認する
そのままぽんぽんとやり取りして数日後の仕事終わりに二人で待ち合わせて見に行くことが決まり、じゃあ戻ると鯉登が送ってきたメッセージにいってらっしゃいと返してふぅっと息を吐いた
顔を上げた先の景色がさっきよりも輝いているように見える自分の単純さに笑うしかない
せっかくだし、鯉登が好きそうな食べ物屋さんでも探しておこうかな
数日後の楽しみをより楽しいものにするために
ウキウキと心を弾ませながら賑やかに飾り付けられた街中に足を踏み出した
【⠀12月8日⠀】
「鯉登ー?」
「んー」
「鯉登さーん?」
「んー?」
「
…………
なにしてんの?」
「
……
んー」
はぁ、と溜息をついた後カチャカチャと食器同士が触れる硬い音が抱きついた身体越しに聞こえてくる
ぎゅぅと杉元の身体に回した手に力を込め、ぐりぐりと頭を背中に擦り付ける
どしたの?とさっきよりも柔らかい声で問いかけられるが特に何かあったわけじゃない
そのまま無言で抱きついていればきゅっという音と曲がる背中
「はい終わりー」
「っうわ!」
ぐっと腕が引っ張られて向き合うように抱き込まれる
ぽんぽんと背中を叩く温かい手と顔を埋めた肩口からする嗅ぎなれた匂いにほぅっと息を吐いた
「どしたの?」
「
…………
」
「んーー
……
なんかやなことあった?」
「
…………
ない」
「そっか、ならいいや」
笑いを含んだ柔らかく低い声と頭を撫でてくる手にぐっとさらに体重をかけて寄りかかる
重っ、とちょっと慌てる様子にふふっと笑いがこぼれる。お前ねぇと言いながらもゆらゆらと揺らされる身体と自分よりも高い体温に包まれてどんどんとまぶたが重くなってくる
「
……
明日さぁ」
「
……
ん?」
「家出る時間大体一緒じゃん?ちょっと早起きしてさ、どっかで朝ごはん食べていかない?」
「
……
うん」
決まりー、と寄りかかっていたシンクから身体を起こした杉元に寝室へ連れて行かれる
「俺まだ歯磨いてないからちょっと待ってて」
布団の中に押し込まれてぐしゃぐしゃと頭を撫でてくる手にぐっと頭を押し付ける。一瞬動きが止まってからもう一度待ってて、と言って体温が離れていく
まだ冷たい布団の中できゅっと身体を丸める。触れた足先はすっかり冷たくなっていて、ぐにぐにと揉んでもなかなか暖まらない
…………
遅い
まだ五分も経っていないのは分かっているけど、しっかりと閉じられた扉をじとりと睨みつける
しばらくして開いた扉の先は真っ暗で、もう寝ていると思っているのか静かにこちらに近付いてきた影に手を伸ばして掴んだ腕を引っ張った
「
……
うぇっ?!」
「遅い」
「えぇ
……
?」
ごそごそと隣に潜り込んできた男の足に冷えた足を絡めると冷たいと悲鳴が上がる
「つめた?!え?なんでこんな冷えてんの?
……
うわ手もやば?!」
「うるさい」
理不尽!と叫びながら冷えた足先に添えられた高い体温と手を包む自分よりも少し大きく温かい手
ちょっとずつ温まってくる身体にどこか強ばっていた身体の力が抜けていく
「
……
すぎもと」
「んー?」
「
…………
おやすみ」
「
……
うん、おやすみ」
額に触れた柔らかさにカッコつけめと笑いそうになりながら目を閉じた
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