Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
ユキ
2025-12-25 16:03:41
33785文字
Public
🌲🎏
Clear cache
🌲🎏アドベントカレンダー
同棲している杉元と鯉登が過ごす12月をまとめたものです
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
【⠀12月23日 🌲⠀】
「いってきます」
「いってらっしゃい」
帰る前に連絡してね、というお願いに手を上げて答える鯉登を見送って扉を閉める
「さて、と」
ゴソゴソと台所に置いていた昨日届いた鯉登家からのダンボールを開ける
「いやぁ、昨日も思ったけどデカイなぁ」
よいしょ、と取り出したのは同封されていた手紙には少し早いけど、と書かれていた桜島大根
プチプチに包まれている調味料の瓶と厳重に梱包されていた麦味噌を開封して並べてよし、と気合を入れる
手紙と一緒に入っていた手書きのレシピは汚れないようにちょっと離れたところへ
ところどころに描かれている可愛らしいイラストがあいつの描くものと何となく似てる気がしてそんなところまで似るもんなんだなぁ、とちょっと笑ってしまった
家にある中で一番大きい鍋に水と昆布を入れてしばらく放置、その間に蕪に似ている大きい大根を切っていく
一個丸々は無理そうだから半分はラップに包んで野菜室に。後で鯉登に新聞紙に包まれていた葉っぱの使い方と一緒にどうやって食べるのが美味しいか聞いてみよう
切った大根をレンジで温めている間に沸かしていたお湯で豚のスペアリブをさっと湯掻いて、昆布をつけておいた鍋の中へ入れ火にかける
沸騰する前に昆布を取り出して煮込んでいる間に卵とこんにゃくを湯掻いて、さつま揚げと厚揚げを油抜きして
「
……
結構手間かかってるよなぁ」
実家にいた時は気が付かなかった大変さに、今度家に帰った時は手伝おうと決める
邪魔って言われるかもしれないけど
こまめにアクを取りながら煮込んでいた大きい鍋にレシピ通りの分量の調味料と麦味噌をこし入れて、大根とこんにゃくを入れてまた煮込む
くつくつと弱火で煮込んでいる間に、溜まっていたシンクの中を空にして冷ましていたゆで卵の殻を剥く
凹凸がある方が味が染みるはず、と手の中にあるボロボロのゆで卵からそっと目を逸らした
「全部入んないな
……
」
もうすでに蓋が閉まらないほどぎゅうぎゅうに詰め込まれた鍋の中と手元に残る材料を見比べてまぁ追加用ってことで、とラップをして冷蔵庫に入れる
レシピには10分ほど煮込んで味を整える、とあるけど食べた事がないから正解が分からない
「
…………
鯉登に仕上げてもらうか」
カチッとコンロの火を消して蓋をする頃にはもう昼を過ぎていた
(ケーキの受け取りは14時だからそろそろ家を出ないとだなあ)
昨日の残りと味見用にちょっとだけ取り分けた鍋の中身で昼ご飯を済ませてこれからの予定を立てる
帰ってきたら部屋の掃除をして、届いてたプレゼントと自分からのを確認して、あとは
ふっと視線を向けた先には十日ほど前に鯉登が買ってきたバラが生けられた花瓶
――
少し傷んでいるが、まだ綺麗に咲いている
「
……
なんか買ってこようかな」
浮かれすぎかなぁと苦笑して、着替えるために自室へと戻った
【⠀12月23日 🎏⠀】
「おかえりー」
「ただいま」
改札から出たところでヒラヒラと手を振っている男のところに走り寄ると、へらりと笑った杉元にどっか寄りたいところある? と聞かれたので首を横に振る
じゃあ帰ろっかと差し出された手に手を乗せる。びっくりした顔が面白くてそのまま恋人繋ぎに変えて歩き出せば慌てて付いてきた男が隣に並んだので少し歩くスピードを緩めた
「夕飯、何にしたんだ」
「んー、おでん。鹿児島の」
「
…………
鹿児島の?」
「そ、鯉登のお母さんに作り方聞いて作ってみた」
作り方聞いてみたら家で使ってる調味料とかこっちでは手に入れにくい材料とかまで送ってくれたんだよねぇ、と申し訳なさそうにでもどこか嬉しそうに笑いながら話す杉元の顔をぽかんと見つめる
「
……
なんで」
「え? あぁ、前さコンビニのおでん食べてる時に家のは味噌味だったって話したじゃん」
「
…………
そうだったか」
「あんなに力説してたのに覚えてないの?」
ふはっと笑う杉元にちょっと恥ずかしくなって、ドンと肩をぶつける
痛いってと言いながらもまだニヤニヤと笑っていた杉元の顔がふっと優しくなる
「調べたのでも良かったんだけどさ、せっかくだしお前の家の味にしたくて聞いてみたの」
「
……
うん」
「そしたら、すぐにレシピと材料送るって返信きてさぁ。届いた段ボール箱、お前が好きだって言ってたもんでいっぱいだったよ
――
愛されてんねぇ」
「
…………
ん」
優しく笑いながら語られる話にいつの間に連絡先を交換してたんだ、とか好きだって言ってたもの覚えてるのか、とか言いたい事はいっぱいあったけど
何も言えなくて俯く私の頭をぽんぽんと撫でる手が優しくて温かくて少し泣きそうになる
「レシピ通りに作ったし、味は良い感じだと思うんだけど仕上げは鯉登にお願いしてもいい?」
あんだけ自慢してたお前の家の味教えてよ
ひひっといたずらっぽく笑って顔を覗き込んでくる杉元の顔をグイッと押しのけて気が付かれないように鼻をすする
「
……
しょうがないから教えてやろう」
「ふふ、うん
――
お願いします」
歩く足を早めた私を追い抜かないように後ろを歩くこいつには気が付かれているんだろうな、とずずっと音を立てて鼻をすすった
コンロに置いてある鍋を杉元が温めている間に、部屋着に着替える
母にこっそり撮った鍋の前に立つ杉元の後ろ姿の写真と一緒にありがとう、とメッセージを送るとすぐに既読が付いて二回目の誕生日おめでとうが送られてきた
ふふ、と笑ってスマホをテーブルの上に置いて杉元のそばに行く途中書き込まれた紙をひょい、とつまみ上げる
「あーそれ、鯉登のお母さんが書いてくれたレシピ。絵も上手いよねぇ」
「あぁ、これ。おやっどが描いた絵だな」
「
………………
え!?」
慌てて振り返ってこっちを見てくる杉元にひらひらと紙を振ってやればすごいね、と呆然とした顔で言ってきたのでふふん、と鼻を鳴らして父の絵の上手さを自慢しておく
味を整えて、最後に大豆もやしを入れた鍋をテーブルの上に運ぶ
「「いただきます」」
揃って手を合わせてから、ほろほろと柔らかい大根を口に運ぶ。久しぶりの家の味にぐっと込み上げてくるものを堪えてもう一口
「美味しいねぇ」
「
……
ん」
いつもよりも言葉少ない食卓は静かで、泣きそうになるくらい温かかった
「「ごちそうさま」」
多すぎると思っていた鍋の中身はいつの間にかほとんど空になっていた。残ってる材料入れといて明日食べよう、と鍋をキッチンに持っていく杉元の後ろを食器を持って追いかければ、ひょいっと持っていたものを取り上げられる
「今日は全部俺にやらせて、ね?」
「
……
ウインクは余計だな」
えぇー、と不満気な声を上げた杉元に頼んだ、ともう片方の手に持っていた食器も渡すと、先にお風呂入っておいでと促されたので少し考えてからくいっと服の裾を引いた
「
……
一緒に入らないのか」
「うぐっ
…………
先に行ってて」
望んでいた言葉は返ってきたが、葛藤していたのが気に食わない
昨日と同じように一緒に入るだけのつもりだったが、気が変わった
まだ夜は長いんだからちょっとぐらいいいだろう、と煽って煽って長くなった風呂から上がり、少し逆上せた身体でソファに座れば、後ろにドライヤーを手に持った杉元が立つ
「至れり尽くせりだな」
「誕生日だからね」
カチリ、と風が止まったので見上げればサラサラと乾いた髪を撫でていた男がん? と甘ったるい顔で見下ろしてくる
(
……
誕生日だからとか関係ないだろう、お前)
自分でやると抵抗する杉元を誕生日なんだから言う事を聞け、と無理矢理座らせて髪を乾かしてやりながら視線を向けた先
赤と白のバラが生けられた花瓶にぐしゃぐしゃとほとんど乾いている髪を混ぜる手の力を強めた
暗くした部屋の中でゆらゆらと揺れるロウソクの火と歌い上げられるハッピーバースデー
ふぅ、と火を消せばぱちぱちと手を打ち合わせておめでとーとはしゃいだ声が上がる
――
子どもか?
パチリと付けられた部屋の電気に瞬きしている間にケーキからロウソクを取った杉元がナイフを手に取ったのを止める
「やってみたいことがある」
「え、なに」
「
――
ホールのまま食べたい」
ぽかんと口を開けた杉元の手からナイフを取り上げてフォークを握らせる
ほら食べるぞ、と声をかければ子ども? と小さく呟く声が聞こえたので、思い切り足を蹴ってやった
「はい、これご実家からの」
二人でなんとか食べきったケーキを片付けて、これも一緒に入っていたらしいほうじ茶を啜っていればすっと綺麗にラッピングされた包みが差し出される
受け取って横に置いて、杉元に向き合えばちょっとびっくりしたあとへにゃっと緩んだ顔でもう一つの包みが渡される
「誕生日おめでとう」
「ありがとう
――
開けていいか」
うん、と頷く杉元からのプレゼントを包装紙を破らないように開ける
手の中に収まる程の箱の中に入っていたのは
「
……
財布?」
「うん、仕事中に持ち歩く用の小さい財布があればってこないだ言ってたから」
いつの間にか正座をしていた杉元がソワソワしながら言うのを聞きながらそっと箱から茶色い財布を取り出す
ちょうどいい大きさと手に馴染む革の感触にふっと口角が上がった
「
――
ありがとう」
「
……
うん、おめでとう」
何回言うんだ、と笑えばこういうのは何回言ってもいいものでしょ、と笑い返される
両親と兄からのプレゼントを開けて、それを持った写真を送り電話をかける
何度も何度も電話越しに伝えられるおめでとうに段々と照れくさくなってくる
そっとあげた視線の先にいる杉元は柔らかく笑っていて、すっと伸ばされた手に優しく頭を撫でられて、ぐりぐりと温かい手に擦り寄る
(
――
しあわせだなぁ)
くふくふ、と笑いながら大好きな人たちと誕生日を過ごせる幸福を噛み締めた
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内