トウメイ希望
2025-10-11 16:20:19
21571文字
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【ルデナナ】道の先へ

牧場物語「三つの里の大切な友達」の二次創作。ルデナナです。
 一年目。春から夏へかけてぐらい。
 憧れを胸にその道に飛び込んだお嬢さんが、現実を知って、悩んで、乗り越えて、強くなっていくのっていいよね。そんな妄想を収穫しました。
 ルデナナは甘さ控えめ、ほんのり香る程度。
 初めて書いたルデナナ小説です。今見返すと恥ずかしいよう。以前は某所で公開していたのですが、諸事情により非公開にしたためこちらで公開します。



「それデ? 本当にのこのこ帰ってきたワケ?
 ナナミを放っておいテ? 親戚のおじサマとだけはぺちゃくちゃ喋っテ?」
 
 時は、少し前にさかのぼる。

 フランクと別れた後、『カロセロ』で集荷物を広げていると、イゥカが腰に手を当てて詰めてきた。細身だが、篝火の力を借りるとその影は大きくなる。
 帰りが遅くなったせいで、海はすっかり真っ黒になってしまった。
 日没後、篝火のもとでの検品はやりにくい。

「信じらんナイ」
……役立たず……
「育て方を間違えたかノウ」
「なんだヨ、ババサマまで……

 ルデゥスは嫌そうに眉をひそめた。篝火が、顔の掘りを尚更深く見せる。
 集荷物の検品には、イゥカとシゥカ。それに帰りが遅くなったからだろうか、祖母のトトタラまでもが様子を見に来ていた。女三人寄れば姦しい。しかもなぜか、その全員がルデゥスに手厳しいからたまらない。ナナミのこととなると、その傾向は特に強まる。

 ナナミだって、牧場経営の暗い実情など、あまり知られたくは無いだろう。
 そう思って、遅くなった理由は濁そうとした。
 したのだが、女たちを口先で誤魔化そうとするのがそもそも無謀なのだ。口下手なルデゥスでは、尚更。

「仕方ないダロ。牧場経営はフランクが専門だし、身内だからナナミの性格も良く知っていル。
 そのフランクがそっとしておけって言ったんだゼ?」
「そりゃ、男の考え方じゃロ。辛い時にほっぽりだされて喜ぶおなごがおるカ」
 トトタラにバッサリと切り捨てられて、一瞬口ごもった。彼女は普段は孫バカな、おおらかな老婆だが、女心を語らせると面倒、いや失敬、こだわりが強い。

「つってもなぁ……今までだって、ナナミには声をかけてたんだゾ?
 あえて黙っていたってことは、知られたくなかったんダロ。
 見られたくないところを見られた時は、落ち着くまでそっとしておいた方が、プライドが保たれるんじゃないカ?」
「プライド! いかにも男の考え方じゃノウ!
 あーァ、ワシの孫は目端が利く癖に、女心となると、どうしてこんなに鈍いんジャ……
 一斉にもれたため息に、ルデゥスは再びむっとした。

 だが口を開く前に、イゥカが畳みかけてきた。
「あのねぇ……そりゃ、ナナミは黙っているでしょうヨ。
 助けてほしい時に素直に助けてって言えたラ、苦労しないワ。迷惑かけるんじゃないかって考えたら、自分で背負った方が楽だモノ」
 シゥカが、くすっと笑い声をもらした。あまりにも静かだから、眠っているとばかり思っていたが、聞いていたらしい。
 なにヨ、とイゥカが鋭い目線を向けたが、シゥカは全く動じない。
「イゥカ。……ずいぶんと、実感がこもってるネ」
「なッ……
 むしろ、たじろいだのはイゥカの方だ。サッと頬が赤くなるのが、篝火の元にもはっきりと分かる。
「ちょっとシゥカ! どういうことヨ!」

 わちゃわちゃとじゃれ始めた双子に、ルデゥスは眉をひそめた。
「そうかァ? イゥカが遠慮を語るなんて、違和感しか無いガ……
 シゥカに取っ組みかかっていたイゥカが、ぴたりと動きを止める。
 シゥカもイゥカも、トトタラまでもが、ルデゥスをじっと見つめると──三人そろって、盛大な溜息をついた。

「まぁ……アンタって、そういうやつよネ……
……サイテイ……
「すまんノウ、ワシの育て方が悪いばっかりニ……

「な、なんだヨ……


 ……という、あまり格好のつかない理由で牧場に戻ってきたことは、ナナミには内緒にしている。