トウメイ希望
2025-10-11 16:20:19
21571文字
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【ルデナナ】道の先へ

牧場物語「三つの里の大切な友達」の二次創作。ルデナナです。
 一年目。春から夏へかけてぐらい。
 憧れを胸にその道に飛び込んだお嬢さんが、現実を知って、悩んで、乗り越えて、強くなっていくのっていいよね。そんな妄想を収穫しました。
 ルデナナは甘さ控えめ、ほんのり香る程度。
 初めて書いたルデナナ小説です。今見返すと恥ずかしいよう。以前は某所で公開していたのですが、諸事情により非公開にしたためこちらで公開します。



 とさり、と、袋が音を立てる。ナナミの牧場からの納品は、シゥカでも運べるほどに軽い。

 牧場からの出荷物の集荷は、当番制だ。
 誰が当番であっても、持ち帰ってくれば、浜茶屋『カロセロ』で一度中身を確認することになっていた。

 太陽は既に崖の向こうに沈んだ。
 海は、今は夕陽の照り返しできらきらと赤く輝いている。だが、これは一瞬のきらめきだ。
 間もなく夜空よりも黒くなる。そうなったら検品は難しい。

 夕焼けの中で、ルデゥスと巫女の双子は、思い思いの品物を取った。

「ン……ハマゴウ。うれしイ」
「アラ、ミントがあるワ。
 ナナミったら、アタシの好きなもの入れたのカシラ」
……そうだと思ウ。ハイビスカスも植えたって言ってタ……
「なかなか気が利くわネ。
 ほらルデゥス、アンタの好きな青色の羽毛も入ってたわヨ。
 どうせ足元に落ちてるんだから、わざわざナナミに拾わせなくってもイイじゃなイ」

 周囲の雑音を無視して、黙々と手元に集中していたルデゥスは、ふと気づいた。
「今日は落ち物が多いナ。作物が無イ」
 シゥカがこっくりこっくり頷く。
「ン。春が終わったカラ……夏の作物が、収穫できるのハ……まだ、先」
「そうカ、月初は収入が減るのカ。キツいナ……

 四季のことを失念していた。
 ルルココは、多少の変動はあるとはいえ、基本的には一年中ずっと暑い。
 そういえばナナミは、ここのところ配達やら何やらで、いつも以上に駆け回っていた。
 現金収入が無くて苦しいのかもしれない。

「卵はあったワ。畜産は季節が変わっても出荷できるのが救いネ。
 ……だけど、牛乳は昨日も今日も無いワネ」
「アア。牛乳は、次はいつ出せるか分からないそうダ」
「あまり量が取れないのかしら。もっと牛を増やしてほしいワ」

 簡単に言い放つイゥカに、ルデゥスは首を振った。
 牧場の施設や設備はほとんど自分が建てた。実情はよく知っている。

「そもそも、あんなに小さな小屋じゃ複数飼いは無理だナ。
 大きい動物小屋を建てなきゃ……そうすると、金がかかル。初期費用も、維持費もナ」
「ナナミも要領が悪いワネ。ルデゥスへの支払いなんてツケとけばいいのニ」
「あのなァ……ナナミはお前みたいに図々しくないんダ」

 とは言いながらも、それでナナミの助けになるなら、まけてやろうかと思ってしまう自分がいる。
 実際、最初に彼女の家を補修した時は破格の値段で建てたわけだし。
「それは、ダメ……

 だが、シゥカが首を振った。
「ナナミのためなら、なおさら、きちんとお金を取ル。
 支払えないナラ、どうせ立ち行かなくなル。
 力が足りないうちハ、させないぐらいがちょうどイイ」
 心を読まれたようで、ぎくりとした。

 シゥカは誰にも興味が無く、いつも居眠りばかりしているように見せて、時折本質を突く。
 他人への興味の薄さ故に、余計なことに囚われないのかもしれない。

 内心の動揺は、だが表情にまでは届かず、いつも通りの仏頂面のままルデゥスは溜息をついた。

「そこまで分かってるなラ、『カロセロ』の建築代を踏み倒すなヨ……
 文句を言った時には、シゥカはこっくりこっくり、船をこいでいた。
 明日の集荷当番は、ルデゥスだ。何が入っているだろうか。