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トウメイ希望
2025-10-11 16:20:19
21571文字
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【ルデナナ】道の先へ
牧場物語「三つの里の大切な友達」の二次創作。ルデナナです。
一年目。春から夏へかけてぐらい。
憧れを胸にその道に飛び込んだお嬢さんが、現実を知って、悩んで、乗り越えて、強くなっていくのっていいよね。そんな妄想を収穫しました。
ルデナナは甘さ控えめ、ほんのり香る程度。
初めて書いたルデナナ小説です。今見返すと恥ずかしいよう。以前は某所で公開していたのですが、諸事情により非公開にしたためこちらで公開します。
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動物小屋の影からそっと家を伺うと、すぐにルデゥスとフランクが家から出てきた。
フランクは迷わずに牧場の出入り口に向かって歩き出したが、ルデゥスがきょろきょろと牧場を見渡し始める。
ナナミはとっさに身を隠した。
やがてフランクがルデゥスを呼ぶ声がして、二人の話し声が遠ざかっていく。
どうやら帰ったらしい。
「
……
行ったかな?」
ナナミはほぅっと安堵の息をついた。今は一人になりたい。
なじみのある匂い。
体力が足りなくて、春が終わっても整備しきれていないラディッシュ畑が、みごとに白い花を咲かせていた。
育ててみるまでは、ラディッシュには花があることも知らなかった。よく考えれば当たり前のことなのに。
ラディッシュは花を咲かせ、種をつけるために生きていたのだ。
それを、花が咲くと不味くしてしまうからと、一番柔らかい、甘いうち引っこ抜いて、命をいただいている。
ナナミは鎌を取ると、猛然と掃除を始めた。
後回しにしていたラディッシュ畑を刈り取り、次の種を蒔けるように整備した。
それが終わると、今度は動物小屋に入って、小屋の掃除を始めた。
天井の隅にかかっていた蜘蛛の巣をはらい、饐えた香りのする牧草は外へ出した。
それも終わってしまうと、放牧中の牛の元に行って、ブラッシングを始めた。
体を動かして、頭の中を空っぽにしてしまいたかった。
大きな体を綺麗にしてやるのは、結構な重労働だ。
日は落ちかけていた。一人と一頭の影は、みるみる長く伸びていく。
キュルリキュルリ、ムクドリの大群が騒ぎながら、一斉に巣に帰っていった。
「もう。じっとして」
今日に限って、牝牛は落ち着かない様子で身じろぎして、ブラッシングがしにくい。
躍起になって毛並みを整えていると、ふうっと意識が遠のいた。
もーぅ、という鳴き声が、やけに遠く聞こえた。
しまった、また倒れる。
はやくベットに行かなきゃ。
違う、その前に放牧しているこの子を、小屋に返さなきゃ。
暖かくなってきたけど、朝晩はまだ冷えるから、風邪をひかせちゃう。
それに、野生動物に襲われちゃうかも。
そう思うものの、体は既に地に伏していた。
むせかえるような夜の香りが、やけに近かった。
ナナミは精一杯の力を振り絞って、体を動かした。
だがごろんと半回転して、仰向けになっただけで、なけなしの力は使い果たした。
やけに重たい瞼を、必死にこじ開ける。
何度も瞬きをしているのだと思った。そのくせ、目を開けるたびに、空は急速的に暗くなっていった。
かえるの合唱、ふくろうの鳴き声、星明かり。遮るものの無い牧場で、世界はどんどん夜へと向かっていく。
時間が加速しているかのようだった。
「
……
ミ
……
ナナミ! おい、しっかりしロ!」
肩をゆすられて、閉じていた瞳を無理に開ける。
はじめ、視界がぼやけて何も見えなかった。徐々に焦点が合って、ゆっくりと一つの影に収束していく。
月を背負った青年が、長い髪を垂らして、ナナミを覗き込んでいた。
「
……
ルデゥス?」
かすれた声で名を呼べば、その瞳が、少しほっとしたように緩む。
何故、帰ったはずの彼がここにいるのだろう。その疑問を口にする前に、再び意識が落ちた。
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