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トウメイ希望
2025-10-11 16:20:19
21571文字
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【ルデナナ】道の先へ
牧場物語「三つの里の大切な友達」の二次創作。ルデナナです。
一年目。春から夏へかけてぐらい。
憧れを胸にその道に飛び込んだお嬢さんが、現実を知って、悩んで、乗り越えて、強くなっていくのっていいよね。そんな妄想を収穫しました。
ルデナナは甘さ控えめ、ほんのり香る程度。
初めて書いたルデナナ小説です。今見返すと恥ずかしいよう。以前は某所で公開していたのですが、諸事情により非公開にしたためこちらで公開します。
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「じゃ、始めるゾ。悪いガ、ナナミも手伝ってくれると助かル」
「うん、お願い」
レンガと、木材と、小さな木材。仕事道具とそれらを携えて牧場を訪ねる。
頷いた顔は緊張していた。
答えた声には迷いがあった。
だが、自分で道を決めた。
ナナミは、抱えたものを、ぎゅっと胸に押し当てた。
ルデゥスはちらりと一瞬、それに視線を向けた。だが、少し微笑んだだけで、何も言わなかった。
ナナミが抱えた、数枚の白い紙。
それは、くしゃくしゃと折り目がついていたが、丹念に伸ばした後があった。
よく見れば、フランクの力強い筆跡に、重ねて線が書き込まれている。
幾度も書き、書いては塗りつぶしたナナミの筆跡が、びっしりと。
迷いながら、進むべき道を探った、試行錯誤の跡が。
トマトの実はまだ青く、太陽の色を集めていた。
ハイビスカスのつぼみは、まだ若草色のつぼみを固くその身に巻き付けているが、先端からは待ちきれなさそうに、鮮やかな色が覗いている。花は明日にも目覚めそうだった。
うっとうしいほどのセミの鳴き声が、あちこちから聞こえてくる。しゃらしゃらと梢が音を立てていた。
季節は、本格的に夏を迎えようとしていた。
作業は順調に進んだ。額から零れ落ちる汗をぬぐいながら、ただ無心で手を動かす。
必要なものは、いつでもナナミが近くに運んでくれたから、普段以上に作業がはかどった。
屋根を仕上げながら、ふと、物珍しい、だがどこか懐かしい音楽が聞こえた気がして、頭を上げた。ずっと手元に集中していたせいで、背中が強張っていた。
あたりを見渡すと、高くなった視野に、三つの里が見えた。
三つの里を繋ぐ三叉路から、フランクがこちらにやってくるのが見えた。
見上げれば、手を伸ばせば届くのではないかと思うほど近くに、もくもくと入道雲が浮かんでいた。それは夏の強い日差しを遮ってくれた。
夏風が、ルデゥスの髪の間を抜けて、牧草の白い葉裏を撫で去った。
ここにいると、様々な音が聞こえてくる。
ウェスタウンの家畜の聲。
つゆくさの竹林の聲。
ルルココの潮騒の聲。
とん、と改めてトンカチを下ろす。とん、とん、とぉん。遮るものの無い牧場で、音を重ねるように。
それらは、三つの里から届いたしらべと、空で当たり、溶け合い、調和して、心地よいうったえとなった。
「ルデゥスー? どうかしたー?」
遠くへ飛ばしていた意識が、引き戻される。見下ろすと、ナナミと牛が並んでいた。
一人と一頭はぴったりと寄り添いながら、ルデゥスのことを見上げていた。
全く同じ、眩しそうな二対の目で。
知らず、微笑みがこぼれ落ちた。
「アァ
……
この牧場で打つ木は、音が良いナ、と
……
そんなことを、思っていタ」
我ながら、ずいぶんと変な言葉になったものだ。
だが、思いの外深く、ナナミに響いたようだ。丸い瞳が大きく見開かれると、次の瞬間には嬉しくって仕方がないという様子に細まった。
そうでしょーう、とナナミが歌うように答えると、もーぅ、と、もう一頭の声が重なった。
それはどこまでも遠くへ伝わった。どこまでも、遠くへと。
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