トウメイ希望
2025-10-11 16:20:19
21571文字
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【ルデナナ】道の先へ

牧場物語「三つの里の大切な友達」の二次創作。ルデナナです。
 一年目。春から夏へかけてぐらい。
 憧れを胸にその道に飛び込んだお嬢さんが、現実を知って、悩んで、乗り越えて、強くなっていくのっていいよね。そんな妄想を収穫しました。
 ルデナナは甘さ控えめ、ほんのり香る程度。
 初めて書いたルデナナ小説です。今見返すと恥ずかしいよう。以前は某所で公開していたのですが、諸事情により非公開にしたためこちらで公開します。

 暴く気は無かった。だが、タイミングが悪かったのだ。
 ルデゥスは牧場の入り口で立ち尽くしていた。ナナミの家から、言い争いが聞こえてくる。

 ナナミのほかに、男が一人いるようだった。彼の声には、いらだちが滲んでいた。ナナミも興奮しているのだろう、負けじと言い返している。
 聞いてはいけない、と思う。
 自分で力になれるのならば、ナナミはとっくに相談に来ていたはずだ。
 あえて沈黙を守っていたのは、聞かせたくなかったからだろう。
 だからこういった形で、彼女の悩みを知ってはいけない。
 頭ではそう思うものの、足が動かない。

 会話を聞いていれば、口論の相手が誰なのかは分かった。
 他の里の住人故に、ルデゥスとは接点が薄い。だが、ナナミにとっては近しい間柄だった。
「やめて──もう聞きたくない! こんなもの……
 ナナミが叫ぶ。悲痛な、痛切な嘆きは、聞く者の胸に突き刺さった。
 次の瞬間。
「いい加減にしろ!」
 バン、と何かが叩かれる音がした。男の声は酷く興奮していた。
 ルデゥスの脳裏に、もんどりうって倒れるナナミの姿がひらめいた。
「ナナミ!」
 考えるよりも先に体が動いた。気が付けば、扉を開けて踏み込んでいた。
 二対の目が、ルデゥスを見つめていた。二人は、突然現れたルデゥスに呆気にとられ、口論を忘れている。
 二人は机を挟んで対峙していた。
 ナナミは興奮に顔を赤くして、白い何かを握りしめていた。男は机に手をついて身を乗り出している。先ほどの音は、おそらく机を叩いた音なのだろう。

 最初に声を上げたのは、ナナミだった。
「ルデゥス? ……なんで?」
 部屋に踏み行ったのは、失敗だった。
 ナナミにけがは無い。
 冷静に考えれば、彼がナナミを叩くはずはないと分かったのに。
「あ、イヤ……すまなイ。盗み聞きするつもりは無かったんだガ……
 自分でも滑稽なほど、しどろもどろとした口調だった。
 ナナミも、男も、答えない。三人は見つめ合ったまま、硬直した。