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ムクロジカ
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文字/Ibパロ
【失笑の歌と蒼い月】
自陣Ibパロ/まとめ読み版
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ガシャン!!
派手な音を響かせて、カンジのすぐ下の床からイバラが飛び出す。カンジがようやく動けるようになった時には、既に二人の間にはイバラが檻のような壁を作っている。濃い紫色のそれらに阻まれて、先を歩いていたソウゲツは元の道に戻ることが出来なさそうである。
「な、なんやこのイバラ
…
!? ソウゲツ! ソウゲツ大丈夫か!」
「オレは平気だ。そっちはどうだ? 怪我してないか?」
「おう! オレはだいじょーぶ!」
イバラの隙間から、ソウゲツが心配そうにこちらを見る。なんとか動かそうと強くイバラを握り引っ張るが、生えている大きいトゲを避けるようにすると掴みづらい。上手く掴めても、カンジの力ではビクともしない。力技以外の方法で、どうにか退かすことはできないだろうか。
ガタンッッ!
「うわっ!?」
何かないかとポシェットを開いた瞬間、カンジの背後で何かが落ちる。硬いものが床に当たる音で、カンジは勿論ソウゲツも驚いた顔でそちらを見やる。そこには先程までなかったはずの、空っぽの額縁が存在している。
途端に、カンジは内臓を引き寄せられる錯覚に目を見開く。恐怖、嫌悪、拒否などの黒い感覚に紛れる、確かな安心感。突如溢れた異質な感情に操られるように、カンジは額縁に一歩近付く。
空虚な額縁はただ、そこに在る。床に倒れているその様子は、まるで穴が空いているようにも見える。あるいは、口を開いている怪物のようでもある。
「カンジ!!!!」
切羽詰まったソウゲツの声を最後に、カンジの意識は完全に失せた。
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