Privatter+
Font
Serif
Sans Serif
Color
Light
Dark
auto
Font size
Large
Medium
Small
Language
Japanese
English
Sign in with Google
Sign in with ID and password
Account ID
Password
Sign in
Forgot password?
Create account
ムクロジカ
Public
文字/Ibパロ
【失笑の歌と蒼い月】
自陣Ibパロ/まとめ読み版
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
【三章】
足音を鳴らさぬよう、ゆっくりと階段を降りる。開けた場所に出る前に、階段から覗き見る。先程までの階層と違い、この階層は明るくポップな色合いである。青空を連想させる青色に、白い雲のような柄がある。
人の
…
〈作品〉の気配がないかを確かめて、階段を抜ける。ふと、壁に手をやった時に気付く。小さな穴が空いている。よくよく見れば、それは銃弾で貫いたような跡。注意深く確認すれば、床にも同じものが複数ある。随分と物騒な形跡に、この階層ははやく抜けたほうが良さそうだと思う。
駆けようと一歩踏み出して、ぞわりと悪寒がする。頭のてっぺんから足先まで、冷たく鋭い何かが駆け走る。
ズガンッッ!!
ほぼ無意識に、カンジはその場から飛び跳ねる。その瞬間には既に、床に穴が空いている。僅かに煙をあげるその場に、もし自分が居たならば。そのもしもの未来は、火を見るよりも明らかで。
ガチャリと、ドラマなどでしか聴いたことのないような音が背後でする。音源を見る間もなく、カンジは近くの部屋へ転がり込む。バタンとドアを背にし、バクバクと大きくなる心臓を抑える。
「ドコだ、ドコにいる」
男の声が、扉越しに聴こえる。どう考えても撃った人間
…
否、〈作品〉の声だろう。鋭く重い殺意に満ちた声色は、カンジを恐怖させるには十分である。
ふと、ピアノの音が遠くから届く。お世辞にも上手いとは言えないが、奇妙な優しさを含んだ歌声も混じれば印象が変わる。口から飛び出るんじゃないかと思うほど跳ねていた心臓が、ゆっくりと落ち着きを取り戻す。扉の向こうから気配が消えるその頃には、入った部屋を認識できる程度に冷静さを持てる。
この部屋は青い部屋
…
ではなく、青い画面のモニターに囲まれた部屋のようである。大小様々な画面が、鮮やかなブルースクリーンを写している。ずっと眺めていると目が疲れてしまいそうな気がして、カンジはモニターから視線をそらす。
「
……
!」
部屋の奥には、椅子に座って背を向けている子供が居る。危険な〈作品〉かと一瞬警戒するが、その子供は背を向けたまま振り返らない。カンジは直感で、この子供は自分を無視しているのだと理解する。
「
…
あの、」
「オレは作業中だ、話しかけるな。音を立てなければ、ヤツは気付かない。向かいの部屋のやつなら、協力してくれる。さっさとこの階から降りて帰れ」
「アッハイ」
確かに内容は聞きたかったことではあるが、こうもバッサリ告げられると困惑してしまう。強い敵意は無さそうなことに安堵しつつ、好意もないことをすぐ把握して入ってきた扉に耳を当てる。
相変わらずピアノの音と、美しい歌声が遠くから響いている。よく聴けば、歌声の主は男性のようである。優しく穏やか、それでも芯を持った不思議な歌。長く聴き入りそうになり、ハッと我に返りそっと扉を開ける。
やはり後ろの子供は、何の反応も返さなかった。
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11
12
13
14
15
16
17
18
19
20
21
22
23
24
25
Reaction
If you make a mistake, you can cancel it by pressing the reaction.
Custom color
Reset color
広告非表示プランのご案内