ろきのや
2025-04-02 19:37:20
29863文字
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アズキャ生存if 二人目のニンゲン(未完)

未完長編アズキャ生存ifな話 何でも許せる人向け。 様々な捏造
2人目に落ちてきたニンゲン君(オリキャラ)がすっげぇでしゃばる。
チャットAIに欲望ぶつけて推敲手伝ってもらってたら盛り上がってしまったのでここに供養。
https://poipiku.com/9119/11644918.html



ウォーターフェルのゴミ捨て場。水が轟々と流れ落ちていく。

地上から流れ着いた品々が積もり、それはモンスターの生活に役立つものであったり、地下で暮らす者達の娯楽にもなっていた。

色褪せた雑誌や壊れたおもちゃ、使い古された日用品が山となり、堆積している。

「何か面白いものでも流れ着いてるかな」

ダミアンは軽い調子でその辺のゴミ山をつつき、何かのパッケージを見つめている。

モンスターたちは気を遣っているのか、ここまで様子を見に来てはいないようだった。

「君って随分モンスター達に慕われてるんだね」

ダミアンがふと口を開いた。

「いろんなモンスターと話をしてみたけど、みんな君の事が好きなんだなって伝わってきたよ。おかげで僕もすんなり受け入れて貰えた。どうやって取り入ったの?」

キャラが眉根を寄せる。

モンスターに関わる話になれば、キャラは無関心ではいられない。
ダミアンはそれをよく分かった上で、キャラの感情を揺さぶる言葉を選んでいた。

「君はニンゲンで、ここはモンスターの世界だ。それなのにどうして君はこうやって受け入れられてるんだろう。普通、殺し合うべきなのに」

ニンゲンの価値観としてはダミアンの主張は間違っていないのだろう。
ニンゲンとモンスターは、戦争していたのだから。

「ああ、君はニンゲン達から逃げて来たんだっけ?じゃあ争う必要もないね。ここなら安全だって思ってたの?」

キャラは、ここに来たばかりの時の事を思い出していた。

キャラだって最初から完全に彼らに心を開いていた訳ではなかった。
孤独で警戒心に満ち、今よりも面倒な子供だった。

それでも自分を助けにやって来たアズリエルをきっかけに、彼らに絆されていくのは時間の問題だった。

子供の頃のキャラには、不思議な力があった。
何回でも時を戻し、やり直せる力。リセットの力だ。

その力で何度も時間をやり直し、みんなと友達になり、みんなの問題を解決し、親切にして回っていた。失敗しても、誰かを傷付けてしまっても、時間を巻き戻せばいい。

そうすれば自分の居場所が作れたし、この世界の役に立っているという実感はキャラの心を満たすものだった。自分がここにいてもいい理由を、その力で築き上げていった。

しかし、ある時気付いてしまったのだ。自分がいくらみんなと仲良くやっていこうとも、この世界の閉塞感を解決する事は出来ず、自分の行いは、ほんの慰めにしかならないのだと。

自分の魂を使えば、問題を解決出来る手段があるのに。何でも試す事が出来たキャラにとって、やれる事をやらないという選択肢はなかった。

それは決意の力だった。運命を変えたいと望み、夢と希望を実現させる力。
しかし、キャラ自身にあの力の正体がなんだったのかははっきりしないままだった。

アズリエルに計画を断られて以降、決意が尽きた今のキャラの前に、あの輝きが現れる事は二度と無く、今となってはその力は失われてしまっていた。

「何か面白い事でも思い出した?」

キャラの長い沈黙に、ダミアンは首を傾げるが、そんな話を彼に語るつもりはなかった。

……そういうお前はどうなんだ。私と大差ないんじゃないか?まともな環境に身を置いてる奴が、あの山を登る訳が無いだろ」

ゴミ捨て場に水音だけの静寂が続く。

ここへ流れ着くのは、地上で不要品として打ち捨てられたものだ。

この場に存在するものたちの奇妙な類似性が、キャラの言葉を重くしていたが、ダミアンは薄く微笑んだ。

「僕、外で君の事見た事があるんだ」

ダミアンの唐突な発言は、妙に曖昧な表現だった。彼は地下世界の天井を見上げ、キャラは地上での話だと思わざるを得なかった。

一瞬動揺したが、すぐに反論した。

「知らないぞ、お前なんか」

「そうだろうね。君が他人に興味無かっただけじゃない?」

そう言われると、特に反論する程の言葉は出て来ない。思い出してみようとも思わない。

ダミアンというニンゲンはキャラを知っていた。その話の真偽が、確かめる価値があるほど重要とは思えなかった。

ただ、相手から一方的にこちらの何かを知られている感覚は、キャラをいい気分にさせるものではなかった。

……待て。まさか私を追って来たとか言うつもりじゃないだろうな」

怖気が走って、キャラは思わず後ずさる。
ダミアンの青い瞳が、一瞬鋭く光ったように見えた。

「信じちゃった?そういうところは素直だね」

微笑むダミアンに、キャラは舌打ちした。
いちいち真に受けるのも馬鹿馬鹿しくなってくるが、心の奥で何かがざわついていた。

「ここに来てからモンスター達から君の話を聞いてたからさ。知り合いみたいな気持ちになってたってだけだよ」

ダミアンは言葉を続ける。

「君からすれば僕なんて嫌いなニンゲンの挙句、初対面から馴れ馴れしくて不愉快に映っただろうけど、僕には僕の理由や理屈がある」

自分の正当性を主張しようとするダミアンに、キャラは言いくるめられる気はなかった。

「だから仕方なかったって言いたいのか?最初に扉の前で突っ立っていたのはなんだったんだよ」

キャラの声には苛立ちが滲んだ。
あの不気味な気配を思い出すだけで、背筋が冷える。

「君が出てくるまで気を遣ったんだよ」

どうとでも言えるのだろう。ダミアンが語る言葉には不可解な点が多かったが、僅かに真実も含まれている事が全てを曖昧にしていた。

キャラに分かる事は、「よかれと思って」を口実に、相手を傷付けておきながら無実をアピールする、ダミアンの性格の悪さだけだった。

このニンゲンと関わる事は仕方ないとしても、やはり好きになる事は出来そうにない。