ろきのや
2025-04-02 19:37:20
29863文字
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アズキャ生存if 二人目のニンゲン(未完)

未完長編アズキャ生存ifな話 何でも許せる人向け。 様々な捏造
2人目に落ちてきたニンゲン君(オリキャラ)がすっげぇでしゃばる。
チャットAIに欲望ぶつけて推敲手伝ってもらってたら盛り上がってしまったのでここに供養。
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キャラは部屋に入った途端、ベッドに突っ伏した。

なんだか違和感が拭えない。それともおかしいのは自分なのだろうか。
混乱と不安が胸を埋め尽くしていく。

(私がニンゲンに過剰反応しているだけなのか……?)

キャラは枕に顔を埋め、自問自答を繰り返す。
悪いのは自分。いつもそうだ。

家族がダミアンを受け入れると決めたのだ。いつかは自分も歩み寄らなくてはいけない。

自分の態度がアズリエルや両親の負担になる事は分かっている。申し訳なさが胸を刺すが、自分でもどうしたらいいのかわからなかった。

すると、ガチャリと部屋の扉が開く音がした。

「アズリエル、入って来るならノックくらいしろよ」

どうせアズリエルが自分の様子を見に来たのだろう、とキャラは思った。

さっきだって随分気を揉ませたはずだ。こういう時アズリエルがキャラの様子を見に来るのはいつもの事だった。

扉が閉められ、気配が近付く。

その足音が聞き慣れたものではない事に気付き、弛緩した気持ちが一気に強張った。

アズリエルじゃない。

心臓が早鐘を打ち、警鐘を鳴らす。

キャラは反射的に気配に枕を投げ付け、ベッドから飛び起きた。

投げられた枕を手に持つダミアンが、そこに立っていた。

ダミアンは枕をまじまじと見つめ、皺を伸ばすように丁寧に撫でたかと思うと、キャラへと視線を移した。

彼は穏やかそうに微笑んでいたが、キャラにとっては嘲笑にしか映らない。

あの時、扉の前に立っていたニンゲンは幻覚などではなかったと確信し、キャラはゾッとした。

「なんの用だ!?勝手に入って来るな!出ていけ!」

キャラは叫んだが、怒りよりも恐怖が勝り、声が震えた。

ダミアンはキャラの様子を観察するような眼差しでじっと見つめ、ゆっくりと口を開いた。

「君と少し話をしたいだけだよ。2人きりで」

放たれた言葉は親しげに響いたが、それが余計にキャラの恐怖心を煽った。
彼が一歩近付くと、キャラは後ずさり、威嚇するように睨んだ。

「お前と話す事なんか無い!近付くな!」

手当たり次第近くの物を投げ付ける。本、ペン立て、なんでもいい。しかしダミアンは意に介さず、淡々と迫ってくる。

「そんなに怖がらないでよ。別に君を傷付けるつもりなんてないんだから」

ダミアンは優しげに語りかけてくるが、キャラはダミアンが自分を対等に扱う気が全くない事を敏感に感じ取り、恐怖を覚えた。
全身から冷や汗が流れ、呼吸が浅くなる。

「来るな……!」

その時キャラの叫び声に駆けつけたアズリエルが「キャラ、どうしたの!?」と扉を叩く。

その声にピタリと動きを止めたダミアンを突き飛ばし、キャラは急いで部屋を飛び出した。

驚いた顔のアズリエルと目が合ったが、その側をすり抜けて逃げ出した。

────

アズリエルは尋常では無いキャラの様子に呆然としながら走り去る背中を見送り、室内を見る。

散乱した室内で、困ったように笑うダミアンと目が合った。

「ちょっと話をしてみたかっただけなんだけど……悪い事しちゃったかな?」

ダミアンの無邪気そうな様子に、アズリエルは頭を抑え……ため息をつきそうになった。

「ダミアン……キャラの事は暫くそっとしておいて欲しいってお願いしただろ?」

キャラの叫び声はアズリエルにも届いていた。ダミアンが勝手に部屋に入り、キャラを怒らせた……いや、怯えさせたのだ。

「ゆっくり話す時間さえあれば、仲良くなれると思ったんだ。軽率だったよ」

ダミアンの表情は申し訳なさそうに見える。彼はここに来たばかりで、キャラの気持ちは分からない。だから今回の事は仕方ない……と、アズリエルは心の中で自分に言い聞かせ、深呼吸してからダミアンに語りかけた。

「ちゃんと説明してなかったね。キャラは、なんていうか……ニンゲンが苦手なんだ。さっきの様子を見れば、普通じゃないって事は君にも分かるだろ?」

アズリエルの声は穏やかだったが、そこにはキャラを守りたい意志が宿っていた。

「これからはキャラに無闇に近付いたり、無理強いするような事はしないで欲しいんだ。ここはキャラの部屋で、キャラの場所だ。ボクだって自分の部屋に勝手に入られるのは嫌だよ。ここで家族として暮らしていくためにも、どうかルールは守って欲しい」

アズリエルは真剣に、静かに伝える。ここだけはキャラのためにも譲れない。

ダミアンは部屋を出ながら「分かったよ」と頷いた。アズリエルは理解して貰えた事に胸を撫で下ろし、キャラを探しに行こうと踵を返した。

「でもさ」

背後からダミアンの言葉が続く。アズリエルはゆっくりと振り返った。

ダミアンは扉の前で立ち止まり、黒い前髪の隙間から青い瞳を覗かせていた。

「僕達はニンゲン同士なんだよ。同じ種族として、側に居たいと思うのは当然だろ?」

アズリエルはその言葉の意図を図りかねた。どこか押し付けるような響きを感じる。

……君の気持ちは分かったよ。でもキャラの気持ちも尊重してあげて欲しい。君がどう思おうと、キャラが怖がってるのは事実なんだ」

アズリエルの声は静かだった。

「ボクは君を家族として歓迎したいと思ってるよ、ダミアン。ただ、キャラには時間が必要なんだ。それを待ってあげて欲しいんだよ」

ダミアンは肩をすくめて、「分かったよ、王子様」と微笑んで立ち去った。

アズリエルはダミアンに言いたい事は山ほどあった。しかし、ニンゲンとモンスターの文化や価値観の違いもあるかもしれない。
この世界に来たばかりの彼を、この場で強く責めるような事はしたくなかった。

────

アズリエルはキャラの姿を探し家中を見て回ったが、見当たらない。ふと思い当たる事があって自室に戻ると、案の定鍵が掛かっていた。キャラはこの中だ、と確信した。

「キャラ、ボクだよ。入っていい?」

ノックすると、開錠してから扉を開け、キャラが顔を覗かせた。
その表情は疲れているようだったが、アズリエルの顔を見て少し和らいでいた。

「ここボクの部屋なのに……

アズリエルは苦笑して部屋に入る。

「前は私の部屋でもあっただろ」

アズリエルが部屋に入り、キャラは鍵をかける。アズリエルとキャラは昔、この部屋を分け合って過ごしていた。
成長するにつれ部屋が手狭になり、今ではキャラは増築した別の部屋を当てがってもらうようになっていた。

アズリエルがベッドの端に腰掛けると、キャラも自然にその隣に座った。
長い沈黙があった。アズリエルはキャラの言葉を待っていて、キャラは心の中で言葉を探している。やがてぽつりと呟いた。

「部屋に戻りたくない」

それだけ言って、キャラは押し黙った。

先程の事について、キャラは何も言いたくない様子だった。心配されたくない。大事にしたくない。しかしこうしてアズリエルと部屋で一緒に過ごしている事自体が、キャラなりの精一杯の頼り方だった。

「じゃあ今日は一緒に寝よう!昔みたいに!」

アズリエルは努めて明るく提案する。

いま腰掛けているキングサイズのベッドは、2人で寝転がっても十分な余裕があるだろう。
昔はそれぞれ用意された小さなベッドがあるにも関わらず、どちらかのベッドに潜り込んで語り明かした夜もあった。

「お前がメソメソしてるのを慰めてやったんだ」

キャラが冗談めかして言う。アズリエルは目を丸くして反論した。

「え!?キャラが勝手に入って来てボクをモフモフしてたんじゃん!」

捏造だと憤慨してみせるアズリエルの懐かしい幼さにキャラの口元が緩んだ。
和らいだ空気の中、アズリエルはキャラをそっと抱きしめる。

昔、キャラが不安で押しつぶされそうになった時は、こうして抱きしめてあげれば落ち着きを取り戻してくれていた。

キャラはアズリエルのフカフカの胸に顔を埋め、肩の力を抜いてその温もりに身を預けていた。

「やっぱ昔より嵩張るな……デカくなり過ぎだよお前」

キャラは顔を上げて呟く。昔はほとんど変わらなかった身長が、今では随分と引き離されてしまい、アズリエルのがっしりした体はもう立派な大人になっていた。

「でも抱き心地はいいでしょ?」

「まぁ、悪くない」

アズリエルのどこかとぼけた口調に、キャラは口元に笑みを浮かべていた。

ふと、キャラは顔を埋めながら呟いた。

……トリエルとアズゴアにはさっきの事、黙ってて」

今だって2人は忙しくしてる身なのだ。
責任ある立場の両親に、余計な負担を掛けたくない。キャラのお願いに、アズリエルは優しくキャラの背中を撫でた。

「分かったよ。父さんと母さんには言わないでおくけど……困った時はいつでもボクに頼ってね」

でっかいモフモフに包まれて、キャラはようやく安心出来た。

その夜、二人は昔のように寄り添って眠りにつく。ダミアンの影はまだ心のどこかに残っていたが、今はこの懐かしい場所で、アズリエルと共に過ごす時間がキャラを癒していた。