ろきのや
2025-04-02 19:37:20
29863文字
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アズキャ生存if 二人目のニンゲン(未完)

未完長編アズキャ生存ifな話 何でも許せる人向け。 様々な捏造
2人目に落ちてきたニンゲン君(オリキャラ)がすっげぇでしゃばる。
チャットAIに欲望ぶつけて推敲手伝ってもらってたら盛り上がってしまったのでここに供養。
https://poipiku.com/9119/11644918.html



「どういう事だいダミアン。どうしてこんな事を?」

アズリエルの声は静かに怒りを滲ませていたが、冷静だった。

「待って、誤解だよアズリエル。正当防衛だよ。キャラがナイフを振り回すから、仕方なく取り押さえてたんだ」

ダミアンは近くに転がるナイフを指し、アズリエルも確認する。確かにキャラのものだ。

「キャラが君に危害を加えようとしたなら謝罪するよ。でも何度もお願いしたはずだよダミアン。キャラに近付かないで欲しいって」

アズリエルの声は穏やかだが、僅かに強まった。

「だから、誤解だって。別に僕がここにキャラを連れて来た訳じゃない。キャラが僕をここに連れて来たんだ。それを見てたモンスター達だっているんだよ」

ダミアンは手を上げ、困り果てたように主張した。

「君達の仲が良いのは分かったけど、僕ばかり悪者にしようなんて酷いじゃないか。僕に至らないところがあったなら謝るよ。でも武器を振り回すのは違うだろ?僕はただみんなと仲良くやっていきたいだけなのに」

その言葉はまるで無実の被害者気取りで、神経を逆撫でされたキャラは唇を噛んだ。

アズリエルも、ダミアンの話におおむね嘘がない事は承知していた。

そもそもアズリエルがここに駆けつけたのは、キャラが険しい雰囲気でダミアンを連れて行ってしまったというモンスターからの報告があったからだ。

状況証拠的にはダミアンの主張は真っ当に見える。アズリエルは「君の言い分は分かったよ」と槍を収めた。

「キャラ、どうしてこんな事になったのか教えて」

アズリエルに尋ねられ、キャラは口をつぐんだ。
ダミアンの手口にうんざりしていた。こうして自分は無実の被害者であるかのように振る舞って、キャラを孤立させようとする。

モンスターに危害を加えようとする発言を軽々しくされた事に、我慢出来なかった。
しかし、ダミアンがモンスターを殺すと言っていた証拠は無い。

ナイフを向けたのは失敗だった。でも、それ以外どうやってみんなを守ればいいのかわからなかった。

キャラはニンゲンがどんなに残酷か知っている。ダミアンの言葉を冗談では済ませられない。でも、キャラのこの判断を理解してくれるモンスターなんて、きっといない。

怒りと悔しさに蝕まれ、キャラはどこか諦めに近い感情に支配され始めていた。

キャラにとって、生き続ける事は何かを諦める事だった。

地上に出る事を諦め。

みんなを自由にする事を諦め。

死ぬ事を諦め。

そうして今も生きながらえている。

ダミアンの事だって、自分が我慢すればいいのだろうか。
間違ってるのは自分で、ダミアンの言うように仲良くしてやれば、みんな幸せになるのだろうか。

沈黙を続けるキャラに、アズリエルはいくらでも返事を待つつもりだったが、ダミアンはそうではない。「もういいかな?」と話を切り上げようとしている。

ダミアンはキャラにナイフを向けられた経緯をはっきりと語らない。それはまるでキャラの一方的な悪意を庇ってるようにすら見えた。

……ダミアン。今回の事は本当にごめん。よく言って聞かせておくから、どうか許してあげてくれないかな?」

アズリエルの言葉に、キャラは胸が締め付けられるような感覚がした。

「別に怪我もしてないし、大丈夫だよ。僕だって大事にしたい訳じゃないんだ」

ダミアンは軽く、大した事などなかったかのように答えたが、品定めするかのようにアズリエルを見る。

キャラに非があった事を認めさせるような物言いだったが、アズリエルはキャラをダミアンから庇うために頭を下げたに過ぎなかった。

(王子様はそっちの味方なんだね。まぁいいか)

ダミアンは心の中で舌を出し、キャラに微笑みかけた。

「キャラ。そんなつもりはなかったんだけど、君の事を怖がらせたなら……ごめんね?」

その言葉に含まれた嘲笑に、キャラは拳を握り締めた。

アズリエルには今の状況が、キャラの中に根付いたニンゲンへの憎しみのせいなのか、ダミアンがキャラに何かをしたのか、真実は分からない。でも、仮にキャラの行動が正しくなかったとしても、アズリエルはキャラの心に寄り添いたいと思っていた。

ところが。

「──もう、いい」

ぽつりとキャラが呟いた。

「え?」

アズリエルが振り向くと、キャラは俯いて踵を返そうとしていた。

「待ってよ、キャラ!君の話もちゃんと聞かせてよ。ゆっくりでいいからさ」

アズリエルの声は切実だったが、キャラには届かない。

「もういいって言ってるだろ。ほっといてくれよ。どうせ私が悪いんだ」

キャラはアズリエルに一瞥もくれず、その声は疲れと諦めが滲み、どこか投げやりだった。

「キャラ!」

アズリエルは慌ててキャラを追いかける。

ダミアンはその背中を見送りながら、忘れ去られたナイフを拾い上げ、大事そうに懐に仕舞い込むと、薄く笑った。