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ssまとめ

2000字未満の文はこっちに入れようと思います。
新しいの書いたら追加していきます。
カプごちゃ混ぜです。


ふかがも


 真面目で努力家で、他人の喜びを守るために日々闘うぼくの同居人。厳しくも優しい彼に、いつからか惚れていた。
 彼は今机に向かってノートに何かを書いている。とても集中しているようで、ぼくが「お風呂出たよ」と声をかけても全く気づかない。そっとしておいた方がいいのかもしれないけれど、あまり遅くなるとお風呂のお湯が冷めてしまう。仕方なく隣に座って肩を叩き、名前を呼ぶと、彼は驚いた顔でこちらを向き、慌ててノートを閉じる。その直前、『恋愛とは』だとか『愛することを』といった彼らしからぬ文言が見えた。
「ふっ、深水!?いつからここに!?」
「少し前からいたよ。ぼくはもうお風呂から上がったから蒲生くんも入ってね」
「ああ……。そうする」
「すごく集中していたみたいだけど何を書いていたの?」
「まあ、なんだ、その……格言のようなものだ」
 歯切れの悪い回答だ。隠しておきたいという意思は伝わるけれど、先ほど見えた文言がどうしても気になって仕方がない。
 昨日、蒲生くんに「好きです」と告白をした。同居している以上気持ちを隠すことはできないと思ったためだ。返事はまだ聞いていない。だから、返事のために珍しく恋愛関係のことを考えているのかもしれないと思うと気が気でなく、ついつい深追いしてしまう。
「恋愛に関する格言?」
……見たのか」
「ごめんね。見ようとしたわけではないんだけど、ちょっとだけ見えちゃった」
「見られたものは仕方ねえ……。確かに恋愛の格言だ。昨日深水が告白してきたから、今日は一日中恋愛とは何たるかを調べていた」
 蒲生くんは頭を掻きながら観念して答える。
 やっぱり、告白を受けて真剣に考えてくれていたんだ。返事がどうであれ、その事実だけで嬉しくて心が満たされる。
 ただ、と蒲生くんが言う。まだ続きがあるようだ。彼が真剣な表情をするので、ぼくも緩む口元を正して真剣な表情を作ろうとする。上手くできているか自信はない。
「これに関してはきちんと自分の言葉で伝えたい。今考えてはいるが返事が少し遅くなりそうだ。悪い結果にはならないはずだからもうしばらく待っていてくれ」
 ……それはつまり、さっき見た内容は誰かの格言ではなく蒲生くん自身が考えた言葉で、告白に対して承諾するのは決まっているということ?
 ぼくが呆気に取られながらもかろうじて「うん」と返事をすると、蒲生くんは平然と机上の筆記用具を片付けはじめた。どうやら自分が告白の返事をしたも同然であることに気づいていないらしい。
 胸が高鳴って顔が熱くなる。口元が緩むのをもう抑えられない。でもぼくが蒲生くんの回答に気づいていることはまだ隠していたい。だって言葉を大切にする彼がぼくのために言葉を送ろうとしてくれているんだ。その気持ちを無碍にしたくない。
 蒲生くんが「風呂に入ってくる」と言って立ち上がる時、一瞬こちらを見た。変な表情をしていてバレないかなと思ったけれど、何事もなく浴室の方へと向かって行った。杞憂に終わってほっと一安心する。
 ノートの中身を追究したことで、先に返答を知ってしまった。そこは失敗したなと反省する。
 でも、彼がどんな言葉でぼくに気持ちを伝えてくれるのかはまだ知らない。
 返事、楽しみだなあ。

2025.7.20