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ssまとめ

2000字未満の文はこっちに入れようと思います。
新しいの書いたら追加していきます。
カプごちゃ混ぜです。


才陽


「いらっしゃい、伊織くん、魅上くん。どうしたの?」
 深水と蒲生が住む部屋へ来たのは毎度の如く伊織と魅上だった。今日は集まる約束はしておらず、突然の訪問である。時刻は午後三時であり食事目当てではなさそうだ。
 二人は深水に出迎えられると玄関で靴を脱ぎ始める。手から何かが大量に入って膨れ上がっているビニール袋を提げていた。
「さっき近くで依頼を終わらせて来たんだけど、お菓子をたくさん貰ってさ。一緒に食べようぜ」
「ぼくたちは何もしてないけど貰ってもいいの?」
「いいんだって。みんなで食べた方が美味いだろ」
「ありがとう。じゃあぼくは飲み物用意するね。伊織くんは牛乳、魅上くんは水でいいかな」
「おう!」
「それで頼む」
 深水が食器棚からコップ等を取り出している間に二人は奥の居間へと入っていった。そこには蒲生がおり、台所にいても話し声が聞こえてくる。
「よっ、慈玄。……それ、絵本?慈玄って絵本も読むんだ」
「俺が読むために借りたものではねえ。子ども相手の読み聞かせを頼まれたから予習をしていたところだ」
「へえ、なるほど」
「伊織陽真、この太陽は赤色だ」
「本当だ。やっぱり太陽が赤でも変じゃないよな」
「太陽の色がどうかしたの?」
 深水がコップや急須が載った盆を持って居間に入る。蒲生が持っていた絵本に目を向けると表紙に赤色の太陽が描かれていた。蒲生の向かい、魅上の隣に座りそれぞれに飲み物を配っていく。
「はい、どうぞ」
「サンキュー紫苑」
「恩に着る」
「いつも悪いな」
 魅上はコップを受け取ると一口水を飲む。伊織は牛乳を勢いよく飲み、およそ半分残してコップを置いた。
「この前の依頼でお世話した子が太陽は黄色って言ってたんだよ」
「黄色?珍しいな。大抵は赤か橙だろ」
 蒲生が急須のお茶を湯呑みに注ぎながら喋る。湯呑みに注目が入っており伊織の方を向いてはいない。
「おれもそう思ってたけど、その子に俺の方が変わってるって言われたんだよ」
「オレが直接空を見上げて確認したら白かった」
 魅上がそう発言すると深水は心配そうに眉を顰めた。
「直接見たの?危ないよ」
「確かに目が痛くなった。以後気をつける」
 会話が途切れて一瞬静かになった。すぐさまこの沈黙を伊織が破る。あっそうだ、と言って持参した袋を机の真ん中に広げて置いた。中には小袋のラムネやスナック菓子などの駄菓子が乱雑に入っている。
 伊織は早速お菓子を一つ手に取った。ブリスター容器に入っているカラフルな糖衣チョコレートであり、緑色のものを一粒取り出して口に入れる。
 魅上はその様子をじっと見つめ、真似するように袋からブリスター容器を取り出した。そこから橙色を一つ選んで食べる。小さいため数回だけ噛んですぐ飲み込み、続きを食べるためではなく質問のために口を開いた。
……何故太陽の色が人により異なるのだろうか」
「赤を連想するのは日本以外ではあまりないらしいな。お国柄によるんじゃないか」
 蒲生はそう言うと袋からバットを模したチョコレート菓子を取り出し食べた。
「確かにその子日本に来て日が浅いって言ってた。だから赤は変だと言ってたのか」
 伊織は納得し、プチプチと包装を破り次々とチョコレートを頬張る。魅上はまだ疑問が残っており手元のチョコレートに手をつけていない。
「何故日本人は赤を思い浮かべるんだ?そして先ほど橙も一般的であるような口ぶりだったが何故橙なんだ?」
「知らん、そういうものだからだろ」
 蒲生は話はこれで終わりと言わんばかりの強い口調で語り、お茶を啜った。それを受け、深水は一旦小さなドーナツを食べるのをやめて魅上の方を向く。
「赤は日の丸の色だからじゃないかな。橙は朝焼けや夕焼けのイメージから来ているのかも」
「なるほど」
 深水は魅上が納得したのを感じとり再びドーナツを食べ出す。魅上もまたお菓子を食べようと橙色のチョコレートを一粒取り出した。それを手で摘みながら、チョコレート越しに向かいに座る伊織を見つめる。
「オレも太陽は赤もしくは橙がいい」
「まあ日本人なら当然そうだろうな」
 蒲生がしたり顔色で頷く。その一方で深水はおそらくそうではないことを感じ取っていた。ここで蒲生相手に訂正してもよかったが、深水が魅上の言葉の真意を語るのは野暮だろうと思い黙っていることにした。

2025.5.11