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botanin5
2024-11-14 02:55:10
41522文字
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薬さに♀(小説)
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そして好きを知る
ハッピーエンド
・獅子王→女審神者の表現があります。
・軽めですが、戦闘の描写があります。
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「あれ?薬研は?」
今まで通りに振る舞おうと決意して、近侍を薬研に戻し二日が経った。日課やりに行くよ~と薬研へ声をかけに広間を訪れてみたが、いない。今朝は以前のように私を起こしに来てくれて、朝ごはんも隣で食べた。うーん、どこに行ってしまったんだ。
「薬研って今日は非番じゃなかったか?」
「あ、」
そうだった
…
!不思議そうな獅子王に言われて気づく。近侍の休日は基本的に審神者と揃えてあるのだが、希望を出されれば休みにしないわけにはいけない。今月の初めに「この日は休みにしてくれ」と言われていたことをすっかり忘れていた。
「忘れてた
…
代理の近侍、誰にも頼んでない
…
」
「おっ!じゃあ俺がやる~」
「え?獅子王は今日洗濯当番の日でしょ」
「一人くらい、いなくても大丈夫だって!な、いいだろ堀川!」
いいですよ~と笑う堀川に甘えて、今日の近侍を獅子王に頼むことにする。
獅子王のことを『好き』になれば良いんじゃないか、という考えは、ひとまず保留にしていた。そんな簡単に薬研への気持ちが消えてくれるはずがないということもあるが、獅子王だってこんな代わりのような『好き』を向けられても納得しないだろうと思ったのだ。
「今週の日曜は花火大会だな!」
「そ、そうだね~!」
鍛刀部屋へ向かうために並んで歩いていると、獅子王が突然そんなことを言い出した。じくりと胸が痛む。だめだ、すぐ思い出してしまう。
「主は誰かと行くのか?」
問われて獅子王の目を見る。薬研と行くのか?そう聞かれている気がした。
「ううん。特に決めてないよ。ってか、行かないでおこうかな~、って思ってたり」
「はぁ~!?花火大会は年に一回しかないんだぜ!?去年はみんなで行ったじゃん」
「そうなんだけどさ~」
だって。花火大会に行って、もし、薬研とあの子が並んで歩いているところを見てしまったら。想像しただけで軽くめまいがした。
「今年は各々が好きなように過ごしてくれたらいいかなって」
「それなら、さ。」
「うん?」
「それなら、
…
俺と行こうぜ。花火」
なんとなく、そう言われるかもしれないとは思っていた。獅子王と花火。きっと楽しい。でも、もし薬研を見つけてしまったら。それが、本当に怖い。
「うーん、でもなぁ
…
」
「あの時の、お願い聞くってやつ。今使わせてくれよ」
「へっ?
…
あ、」
「こういう時に有効活用しないとな!とっておいて良かったぜ」
そうか、例の襲撃事件で助けてくれたお礼になにかお願いごとを聞くと伝えていた。あれから獅子王がなにも言わないから、すっかり忘れてたよ
…
!
それを出されたら仕方ない。もう、腹をくくって、行くしかない。
「わかった。行く」
「よっしゃー!主、絶対浴衣着てくれよな!」
「えっまじで!?」
「あたりまえだろー?花火デートだぜ?」
「でっデートとか言わないで!」
薬研が帰ってきたのは晩御飯が終わってからだった。何をしに、どこへ行っていたんだろう。少し気になったけど、あの子に会いに行ってたなんて言われるのが怖くて聞けなかった。
お風呂から出て自室に向かっていると、廊下で何やら話している獅子王と薬研を見かけた。暗くて二人の表情までは見えない。なに、話してるんだろう。話しかけに行く勇気が持てなくて、足早に部屋へと向かって布団をかぶった。
目を閉じてむりやり眠ろうとする。浴衣
…
どうしようかな。あ、レンタルできたっけ。薬研とあの子に会っちゃったりしたら、どうしようかなぁ。ぐるぐると思考がまとまらないせいで、一向に眠ることができなかった。
「朝だぜ、大将」
「
…
おはよ」
「おはよう。なんだ、眠れなかったのか?隈できてるぜ」
すい、と薬研の手が目元に伸びてきたので、思わず後ろに身を引いて避けてしまう。こちらに届かなかった薬研の手はぴたっと一瞬止まったが、そのまま下に降りた。沈黙が落ちる。
「
…
花火大会は獅子王と行くらしいな」
「えっ」
なんで知ってるの?少し考えて思い当ったのは昨日の様子だ。獅子王、薬研に報告したの?なんだかそわそわと落ち着かなくなってしまう。まてまて自分。薬研への気持ちは忘れることにしたじゃないか。動揺するな。
「宣戦布告された」
「
…
は?」
宣戦布告?なんの?今日、手合せとかするの?
薬研が何のことを言っているのかよく分からなくて、頭に?マークがぽこぽこと浮かんで行く。
「出遅れちまったのは俺だからな、今回は譲るが
…
」
「えっ、う!」
「
…
勝負には、負けねぇ」
独り言かと思うほど一方的に話す薬研が私の顔を下からむに、と片手で掴んだ。タコのように口が突き出る。え、急に何すんのこの人。そのまま、薬研の顔が近づいてくる。
え?まって、まってまって待って!!!思わず目を閉じると、ぴたりとおでこがくっつく。薬研の息が、唇を掠める。
頭が真っ白になった。
必死に息を止めていると、ぱっと手が離れた。
「そろそろ朝飯食いに行かねぇとな。髪、跳ねてるから直した方がいいぜ。じゃ、先に行ってる」
私の頭をひと撫でして、薬研が部屋を出て行く。
は、な、なんだったんだ今のは!!!じわじわと体が熱くなって、自分の顔が真っ赤に染まっているのが分かる。
薬研、あの子のことが好きなんじゃないの?今の、なに?私、何か勘違いしてる?本当は私のことどう思ってるの?
もしかして。もしかしてもしかして。でも
…
。
自分の都合がいいように、解釈してしまいそうになる。
しかし、あの公園での場景が浮かれる頭に待ったをかける。
「も~~~~、わかんない!!!!」
気持ちをどうにか静めたくて、枕にばふんと飛び込んだ。
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