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botanin5
2024-11-14 02:55:10
41522文字
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薬さに♀(小説)
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そして好きを知る
ハッピーエンド
・獅子王→女審神者の表現があります。
・軽めですが、戦闘の描写があります。
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手早くみんなの手入れを終わらせて食堂で晩御飯をかきこむと、さっさと入浴を済ませて誰にも会わず執務室に籠った。通信機器を早く直して少しでも眠りたいという思いもあったが、なにより、薬研と顔を合わせて平生でいられる自信がなかった。
PCで通信機器のサポートページを開く。こんのすけに頼んで取り替えてもらっても良かったのだが、多少の故障ならば自分で直せば済むし、今は何かに集中していたかった。
音声解説に従って通信機器を解体していると、小指の爪ほどの大きさの白い骨のようなものが入り込んでいることに気が付いた。PCに表示されている図面にはこの骨のようなものに関する記載はない。どうやらこれが原因らしいと骨を摘まむと、指に激痛が走った。先が尖っていたらしい。驚いて指を離すと、骨は畳に転がり出た。その瞬間、それは赤黒い炎を纏って浮き上がり、宙を裂いた
ばぁん!
と障子が吹き飛ぶ音が本丸に轟く。
入浴を済ませた刀剣たちが各々の時間を過ごしている最中のことであった。
何事だ!敵襲か!?と状況を確認するために彼らは本丸を駆け回る。廊下を彷徨う敵短刀と最初に遭遇したのはへし切長谷部だった。敵の姿を目に留めた瞬間、渾身の力を腹に込めて叫ぶ。
「敵襲だぁ!配置につけっ!」
長谷部の声を聴きつけた短刀が本丸を駆け回り、刀剣たちに敵の襲来を告げる。本丸に敵が現れた場合に各々がどこで立ち回るかは、幾度も交した会議の中で事前に決めていた。
近侍である薬研藤四郎の持ち場は、審神者の自室であった。
「大将!いるか!」
勢いよく障子を開けて部屋の中に飛び込むが、そこには敷かれた布団がぽつんとあるのみで、審神者の姿はなかった。本来の取り決めに従うならば、ここで待機し、敵が来たら切り伏せることが役目。
しかし、焦燥感に駆られた薬研は、踵を返して再び廊下を蹴った
――――――
「げほっ、
…
はぁ、はぁ、
…
う、」
最初は、何が起こったのか分からなかった。
小さな骨が空間を切り裂くと、瞬く間に穴が広がり大きくなって、いつも通信機器越しに見て恐れていた敵が現れた。
まず敵の短刀が二体飛び出し、障子を破壊して廊下へと出て行った。次に出てきたのは脇差で、恐怖と驚愕でかちこちに固まってしまった身体を長い骨の脚で蹴り上げられた。後ろの障子を巻き込みながら隣の部屋になだれ込む。頭から左腕にかけてがとても熱くて、ぐらりと視界が揺れる。やばい、腕、折れたかも。私を攻撃した脇差も、廊下へと出て行く。息を殺していると、次々と出てきた敵の太刀や打刀はこちらに気づかず真っ直ぐ廊下へと足を進めた。二部隊分ほどの敵が出て行った最後、のっそりと姿を見せたのは、敵の大太刀だった。天井に頭がつかえるほど大きい。思わず「ひっ、」と息を飲んだ
ゆっくりと、目が合う
「へへっ、大物みーっけ!」
廊下から獅子王の声がする。そうだ、緊急時の執務室は獅子王の持ち場だった。相手には獅子王の姿が見えているはずだが、ゆったりとこちらに体を向ける敵の大太刀を見て、焦る。
「し、獅子王!」
「あ!?主!?まさか、ここに居るのか!?」
大声を出したら余計に視界がぐるぐると回りだした。やば、もう声が出ない。
あ、まずい、
「っ~~~~げぇ、ごほっ」
胃を捻り上げられたかのように、嘔吐した。
身体が重く、起き上がることができない。敵大太刀が一歩、こちらに踏み出すのが見えた。視界の端に映る、金色の髪
「っ!
……
殺す」
私の姿を見とめた獅子王が、敵大太刀へと切りかかる。
ここにいては、邪魔になってしまう。ぼんやりとした頭に浮かんだ考えは一気に私に浸透し、重たい体に鞭を打って這いずりながら移動しようと試みる。
どこか、邪魔にならない場所に身を潜めないと。どうにか廊下へ通じる障子の前へたどり着いて、右手をすべり込ませる。広がる視界が真っ先に捉えたのは、先ほど私を蹴とばした敵脇差の姿だった。
あ、
一拍置いて、鎌のような刀が振り上げられる。
「たすけて、やげん」
小さく呟いてぐっと目を閉じる。
けれど、覚悟した痛みは訪れなかった。
「うちの大事な大将に、何してくれてんだ」
いつもより数段低い聞きなれた声に、そっと目を開ける。
「
…
やげ」
振り下ろされたであろう敵の刀を、己の短刀で受け止める薬研藤四郎がいた。私を庇うように真っ直ぐと前に立ち、その表情は見えない。
頼もしい背中をしっかりと目に焼き付けて、私は意識を手放した。
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