✣5章
このコロシアイには、裏で糸を引く人間がいるはずだ。
最近は専らこの話題になることが多かった。
希依音の話によると、以前のコロシアイでは参加者側に幕側の人間が二人もいたらしい。
死んだと思っていた人物が実は死んでいなかった、ということもあったらしく、中々強烈だった。
新庄「前と同じやつが黒幕って可能性はないのか?」
来栖「それは多分ないんじゃないかなあって思うけど
……」
彼女はその目ではっきりと、その人たちが死ぬのを目撃したらしい。
クロが特定された後に行われるオシオキ。それが実行されたのをしっかりと見たのだというが、どうにも生きている可能性を否定しきれないのだとか。
……まだまだ、分からないことだらけだ。
このコロシアイがどうして行われたのかも。どうして俺たちが集められたのかも。
前回起こったというコロシアイと同じように、俺たちの中に幕側の人間がいるのかどうかすら。
……そもそも、本当にコロシアイなんてする必要があったのか?
もし、皆で力を合わせて脱出を試みていたら。誰一人欠けることもなく、今まで通り暮らせていた可能性だってあったんじゃないか。
今更どうしようもできないことくらい、分かっている。
仮定の話は仮定でしかなくて、後からごちゃごちゃと考えることがどんなに無駄なことなのか。
四月一日「私たち、いつになったらおうちに帰れるんだろうね」
暗雲が立ち込めている。
🦄
例えるなら、全身が沸騰しているかのような痛みだった。
胃からせりあがってくる何かがどうしても抑えられなくて。
口から零れだしたそれは、どろりとした血液だった。
腹を一度、刺されただけなのに。どうして全身が悲鳴を上げているんだ。
理解が追い付かなくて、ただただ混乱するばかりだった。
やっとナイフに何かが塗られていた可能性を考えた時には、そいつは次の行動に出ていた。
電源コードのようなものが、手に、足に。色々なところにぐるぐると巻き付けられていく。
その光景をぼんやりと眺めていた。
こいつ、念には念を入れすぎだろ、と思いながら。
瞬間、意識が焼き付く。何が起こったのか、まるで分からない。
けれど、先ほどまで感じていた苦痛が全く感じられなくなって、声を出すことすら億劫で。
俺は死ぬのだろう、と確信した。
絶対に、死ぬわけにはいかなかったのに。
あいつらのこと、守ってやらなきゃいけなかったのに。
俺がこう思うように、今まで死んで行ったやつらにも、やりたいことややらなくちゃいけないことがあったのだろう。
死んだら悲しむやつがいたんだろう。
……コロシアイなんて、どんな理由があっても起こしちゃいけないことだ。
俺はもう、指先すら動かせなくなってしまった。
後は頼んだ。もう、誰も死なせないでくれ。
テメーらならきっと、このコロシアイをおわらせてくれるはずだ。
🦄ㅤ
とても、とってもいい考えだと思ったんですよ。
それを知ったきっかけなんて、些細なことでした。経緯を知ったところで、何になるというのでしょうか。
本当にくだらないですね。
詠「協力していることがバレたから、殺したんだ?しかもあんなに念入りに」
だって、ここでバレたら大変でしょう。楽しくないでしょう。
私に全部の罪を擦り付けて、本当の黒幕は素知らぬ顔して貴方たちの中に紛れ込んだはずですよ。
寧ろ感謝してほしいくらいですね。
ファルマー「キミはあくまでも、協力しただけって言いたいんだねえ」
ええ、そうですよ。
……そうだって、言ってるじゃないですか。
五光木「まさか、バレないようにと思って取った行動が、裏目に出てしまうとは思いませんでしたよ」
あのまま彼を放っておいておいた方が良かったかもしれませんね。彼の言うことを嘘だと信じさせれば、良かったんですし。
そう言うと、皆さんは到底受け入れられない、といったような表情を浮かべました。
矢張「嘘、だろう?そうだって、言って欲しいのだよ
……」
そう言われても、困ってしまいますよ。
もう私は認めるしかないんです。
……それしか、取れる選択肢はないんです。
イカサマをするには遅すぎたんです。
モノリィ「では、オシオキにうつりましょうか」
五光木「おや、私にもオシオキが用意されているのですか?」
モノリィ「ええ。ルールには則ってもらわないと」
……このアーム、傍から見ていた時は分かりませんでしたけど、締める力が物凄く強いんですね。
ちょっと苦しいですよ。
抗議の視線を向けることなんて、しませんでした。
なんだか負けを認めたみたいで癪だったので。
だから、最後は笑顔で。
一人残された貴方に、激励の意味も込めて。
✣5章シロ→新庄晴空様
5章クロ、内通者→五光木ニシキ様