✣4章
空気は重く、淀んでいるようだった。
1対1で話している時はまだある程度の明るさがうかがえる。
けど、大人数で集まった時はどうしてもいなくなった人たちのことを考えてしまって。
常に明るい様子だった希依音も、ここ最近はあまり元気がないようだった。
どうしたものかと考えあぐねていると、急に叫び声のようなものが聞こえてきた。
『な、何があったんだ
……?』
五光木「ああ、ミスタ雅彦でしたか。突然スライムが暴れ出したので、それで
……」
ニシキが指し示す先には、足を振り上げかかと落としをする風雅の姿があった。
ファルマー「あらあら、凄いねぇ」
全くその通りだ。
スライムは尚もぼこぼこと沸騰したかのように体を震わせている。
今にも襲い掛かって来そうな様子を俺は固唾を飲んで見ていた。
モノリィ「
……何してるんですか」
冷たい声だった。
いつの間にか俺たちの後ろに立っていたモノリィは、明らかに怒ったような表情を浮かべていた。
モノリィ「
……優しくしてあげてください。この子たちは弱いんですから」
半ば倒れるように座り込む二人を一瞥し、モノリィはスライムを抱き上げた。
そしてそのまま、またどこかへと消えていったのだった。
矢張「だ、大丈夫か
……?」
すぐに手当しようと駆け寄る。
風雅の髪の毛も掠めたのだろう、床にそれが散らばっている。
広がる血だまりを見て、誰かが「酷い」と呟いていた。
こういう時、指示してくれる人はもういないのだとぼんやり考えた。
🦄ㅤㅤㅤ
あ、もうすぐ死ぬんだな。と思った。
意識が遠のいていって、手も足もろくに動かせなくて。
声を出すことすら煩わしかった。
死んだら紀サンと同じところに行けるのかな。
……でも、どうしても、残されるあの子のことを考えてしまって。
ねえ、誘夢。俺、誘夢だけには幸せになって欲しいな。
生きて帰れなんて言わない。辛いなら無理しないでいいから。
死ぬまで幸せでいて欲しいんだよ。
心の底からそう願ってる。じゃあ、またね。
🦄ㅤㅤㅤㅤ
最初から、隠し通せるものではないと思っていた。
人殺しは重罪だ。それは十分承知している。
けれど、自分にとっては日常茶飯事だった。だからと言って、罪悪感が全くなかったわけではないが。
私はただ、帰りたかっただけなのだ。
帰って、皆の無事を確かめたかっただけなんだ。
四月一日「そんなの、皆同じなのに」
ローゼ「それは
……私だって、痛いほどに分かっている」
人の命がどれだけ尊いものなのか。
何も言われなくとも、そんなことは分かっていた。
ローゼ「
……もういいだろう。さっさとオシオキにうつってくれ」
モノリィ「いいのですか?もう少し皆さんと喋っていかれなくても」
不思議なことをいうものだと思った。
許しを請えば、彼らの私を見つめる目は柔らかくなるのだろうか。
失った命は戻らない。
それを奪ったことをいくら謝罪したところで、もう取返しはつかないのだから。
✣負傷→五光木ニシキ様、詠風雅様
4章シロ→葉々がじゅ丸様
4章クロ→Rose・d'Arc様