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Hizuki
2018-04-22 23:04:57
30628文字
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FF14
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黒き竜の果て
【FF14】エス光。3.3~4.0のニーズニャンIF話。いつも以上に捏造設定山盛り仕様。本当に何でも許せる方向け。注意書きをご覧のうえでどうぞ。
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「さあ、竜の眼を雲海の底へ!」
ニーズヘッグを討ち、散っていった友人達の力を借りて竜騎士の鎧から引き剥がした竜の眼が自分の手の中にある。
アルフィノと顔を見合わせて頷くと、雲廊の端から雲海に投げ捨てた。
これで、全てが終わる。
―
はずだった。
「そんな、まさか
…
!」
先に後ろを振り返ったアルフィノから聞こえたのは絶望に満ちた声だった。
エスティニアンの身体から離れたはずのニーズヘッグの影が空中に留まっている。
影に引き寄せられるように立ち昇る蒼い光、その中に黒いものが揺らめいているのが見えた。
「エスティニアン!」
駆け寄ってきたアイメリク卿が名前を呼ぶ。
アルフィノも、私も。
「エスティニアン殿!」
「エスティニアン!」
光は次第に消え、また先程と同じ邪竜の姿を形作る。
ゆっくりと地面に下りて辺りを見回すと、静かに口を開いた。
「
…
やっぱり、こうなったか」
姿はニーズヘッグ、けれど声はエスティニアンの声。
まるでこうなることを知っていたかのようにそう言った。
復讐の炎に燃えていた紅の瞳ではなく、エスティニアン自身が持っていた青灰色。
「ニーズヘッグの奴に乗っ取られすぎたらしい」
ヤ・シュトラとクルルが言っていたことを思い出す。
もし邪竜のエーテルと本人のエーテルが混じってしまっていたら、竜の眼を引き剥がしたとしても人間には戻れないかもしれない、と。
混じってしまう可能性は同化していた時間に比例して高まっていく、と。
「
…
そっか」
誰もが言葉を失っている中、すっと声が零れた。
槍を石畳の上に置いて、ゆっくりと竜に向かって歩き出す。
「でも、エスティニアンには違いない」
硬い鱗に覆われた皮膚に手を伸ばせば、そこに確かに彼がいた。
命を絶たれたというわけではない。
姿形は違ったとしても、エスティニアンであることに変わりはなかった。
「無事じゃないけど、無事でよかった」
「
…
そうだね」
私の言葉にアルフィノが頷き、アイメリク卿もそれに続く。
穏やかな空気が流れ始めたのも束の間。
「
…
この場に長く留まるわけにはいかない、か」
エスティニアンが再度辺りを見回し、小さく呟いた。
兵達の間に動揺が広がっている。
消えたはずの竜がまた姿を見せているとなれば、それは自然なこと。
どうにかしなければ。
でも、どうやって。
「
…
その身を隠すのにうってつけの場所があろう」
「ドラゴンズエアリーか」
「さよう」
いつの間にか子竜の姿を見せていた幻竜ミドガルズオルムの言葉に、エスティニアンが答える。
確かに元々ニーズヘッグがいたドラゴンズエアリーならば、今のエスティニアンの身を隠すのに何の問題もない。
「
…
少しばかり荒事にはなるが」
ミドガルズオルムはそう言うと子竜の姿を解き、ニーズヘッグと同等の大きさへと姿を変えた。
天に向けて咆哮を放てば、その声は大気を震わせ、兵達の視線を集める。
空へ飛び上がり翼を広げてもう一声。
勢いをつけ、そのままエスティニアンに向かっていき、黒竜の身体が雲廊から突き飛ばされる。
巻き起こった風が止み、目を開けると、そこに2体の竜の姿はなかった。
残されていたのはニーズヘッグの血で変質した竜騎士の甲冑を纏ったエスティニアンの身体と大きく形状の変わった槍だけ。
「我らは無事だ。今のうちに兵を退かせよ」
竜の姿が消え、兵達から徐々に歓声が上がる。
聞こえたミドガルズオルムの声にその行動の意図を知る。
人々に脅威は去ったと示す必要があった。
そして事情を知らない人目がある間に竜達は動けないということも。
同じ声を聞いたらしいアイメリク卿、アルフィノと顔を見合わせて頷く。
まずはこの場を収めなければ、これからのことを考える時間を取ることもできない。
アイメリク卿が蒼剣を天高く掲げ、戦いの終わりを告げる。
一人、また一人と雲廊から引き上げていく様子を横目にもう一人の蒼の竜騎士の側に歩み寄った。
しゃがみ込んで顔に触れてみても熱は感じられない。
姿は違えども、確かにエスティニアンは生きている。
それでもやはり叶うのならば、人間の姿で助け出したかったと悔やんでしまう。
とにかくここにエスティニアンを寝かせたままにはできない。
安全な場所に連れて行かなくてはと、彼の身体を起こそうとした時だった。
「私が運ぼう」
「アイメリク卿」
「これくらいは、させてくれ」
そう言うとアイメリク卿はエスティニアンの身体を難なく抱き上げる。
自分よりも大分大きいエレゼン族の身体をどうこうするのは不可能だった。
「ありがとう、ございます」
お礼を言って、前を歩いていく蒼の竜騎士の親友の背中を追う。
私にとってエスティニアンが特別なように、この人にとってもまた彼は特別であることを知っている。
アイメリク卿の心中を推し量っていると、ばさり、と別の羽ばたきが耳に届く。
「邪竜の影ではあるが、邪竜ではないことを感じ取ったのか、眷属共も退いたようだ」
ふわりと目の前に舞い降りたのはニーズヘッグとの戦いで片翼を失ったフレースヴェルグだった。
「ご助力に感謝します、偉大なる聖竜よ」
「望ましい結果ではないにせよ、命だけでも繋がったのは幸いだった」
「
…
はい」
フレースヴェルグがアイメリク卿に抱えられているエスティニアンを見てそう言った。
「その者を真に救う手立てが見つかるよう、我も祈っておこう。さらばだ、人の子らよ」
別れを告げるとゆっくりと空に去っていった。
イシュガルドという場所に来てからというもの、物事の転換点に巡り合った時の空は決まって同じ色をしていた。
あの時も、今日も。
聖竜の羽ばたきに紛れて聞こえた二竜の羽ばたきの音も次第に遠ざかっていく。
こうして1000年に及ぶイシュガルドとドラゴン族の戦いは集結を迎えたのだった。
―
そしてそれは、私にとって新たな始まりでもあった。
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