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Hizuki
2018-04-22 23:04:57
30628文字
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FF14
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黒き竜の果て
【FF14】エス光。3.3~4.0のニーズニャンIF話。いつも以上に捏造設定山盛り仕様。本当に何でも許せる方向け。注意書きをご覧のうえでどうぞ。
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翌朝、数人の護衛と治療師と共にポルタ・プレトリアを出発した。
警戒していた襲撃もなく無事に辿り着き、あらかじめ連絡が回っていたのだろう、受け入れる態勢が整っていた。
前日同様、特に俺にできることは何もなく、相棒の治療を待つ間にラールガーズリーチを一通り見て回ることにした。
相棒が見てきた景色、見てきた人々。
いつかの手紙に書かれていたのはこれかと、拠点中央のラールガー像を見上げる。
先日初めてギラバニアに来た時には他の場所に寄っているような余裕はなかった。
落ち着いたら各地を回るのも悪くはないと、そう思った。
治療師が俺を呼びに来たのは日が落ちてきた頃。
通されたのは病院の奥、天幕で仕切られた部屋の中で静かに眠っていた。
ベッドの側に置かれた椅子に腰掛けて、そこに横たわる相棒に視線を落とす。
治療師によって手当てが施され、俺にできることは待つことだけ。
持ち前の回復力のおかげか、ラールガーズリーチに運ばれた時点で一部の大きめの傷を除いてほとんど癒えていた。
装置に入っていたことで引き起こされたエーテルの乱れが落ち着けば目覚めるだろうというのが治療師達の見解だった。
時の流れる感覚は遅く、何もできないこの時間がもどかしい。
…
あの時竜の身に宿った俺が目覚めるのを待っていたあいつも、こんな思いをしていたのだろうか。
ミドガルズオルムの先導でドラゴンズエアリーに向かったあの日、どうやら俺は着いてから間もなく眠ってしまったらしい。
そして俺が眠ってすぐ、自身の傷の手当てもそこそこに相棒が飛んできたと。
起きるまでどれだけかかるか分からない、とミドガルズオルムは止めたそうだが、相棒は俺が起きるまでここで待つと言って譲らなかったそうだ。
当時とは立場が逆だなと顔を見ながら思う。
もうどれだけ相棒の声を聞いていないのか。
いや、期間が開くなんていうことはこれまでもあった。
なのに気になってしまうのは、すぐ側にいるからだ。
神に祈る、なんていう柄ではないが、少し目を閉じる。
どうか早く目を覚まして欲しい。
そう心の中で呟いた時だった。
「ん
…
ここ、は
…
」
すぐさま目を開き、相棒を見た。
まだ焦点が定まっていないようでぼんやりと視線を彷徨わせている。
「ラールガーズリーチの病院だ」
「びょういん
…
」
らしくない様は心の奥に押し込んで、そう言った。
ゆっくりと顔を動かし、辺りを見回している相棒と目が合う。
まだ俺だとは気付いていないらしい。
「
…
ようやくお目覚めか」
声を聞いて勢いよく起き上がった相棒が俺を見て目を丸くする。
「え、エスティニアン
…
?何で
…
?」
「俺がいることに不満か?」
「あ、そ、そういうわけじゃなくて
…
」
からかってみせれば、しどろもどろに取り繕う。
冗談だ、と一言挟むと、ふぅと落ち着かせるように息を吐いた。
改めて俺の姿を見て表情が緩む。
「
…
よかった、ちゃんと戻れたんだね」
「ああ、お前のおかげでな」
相棒のおかげで、俺は今ここに生きている。
一度ならず二度までも。
「
…
それはそうと、無茶はするなと言ったはずだが?」
敵国との交換条件とはいえど、まさか自分の身を差し出すとは思いもしなかった。
問いかければ相棒はふいと視線を逸らす。
「
…
だって、それしかなかったんだもん」
「全く
…
」
本来敵地に単身で乗り込んだことで起きてしまったことについては、後々自身で決着を付けるつもりでいたのだろう。
だが、問題になった相棒の偽者の動きは止まり、その必要もなくなってしまった。
詳細は後でアルフィノ達から聞くだろう。
「お前そっくりの偽者まで出てきて各地で大混乱だったみたいだぞ?まぁ無事片付いたようだが」
「
…
そっか、ごめん」
「謝るのは俺じゃなくてアルフィノ達に、だな」
「
…
うん」
いつか本当に戻る方法を見つけてくるとは分かっていた。
だが、戻るのは今すぐでなくてもよかった、と言ったらお前は怒るだろうか。
自らの身を危険に晒さなくても済む、もっと安全な方法があったのではないかと。
相棒も俺も無事に戻れたからいいようなものの、もしそうでなかったなら。
考えるだけでゾッとする。
「
…
ありがとね」
もしかしたら、を考え出したらきりがないというのは分かっている。
悪いことであるなら尚更。
それを断ち切ったのは相棒の声だった。
「エスティニアンが助けてくれたんでしょ?ぼんやりだけどエスティニアンの力が流れ込んでくるの、分かったんだ」
同じような装置が並ぶ中、相棒がどこにいるのかを知るために使ったエーテルが俺の存在を知らせたということか。
あまり深くは考えていなかったが、結果的に見れば正解だったと言える。
「
…
ミドガルズオルムの奴も力を貸してくれた」
「ミドさんが
…
。もしかして、あの光かな
…
」
ミドガルズオルムは相棒も予想していなかったようで、出てきた名前に驚いていた。
何か思い当たることがあるのか小さく呟いた。
個人のために原初の竜が動くなど、誰も思いはしないだろう。
「それに、礼を言わなきゃならないのはこっちの方だ。危険を冒させることになって悪かった」
「やりたいことやってるだけだって前も言ったでしょ。私がエスティニアンを助けたかったから、そうしたの」
助けられるかもしれない、と俺のところに来た日のことを思い出す。
確かにそう言っていた。
本当に、こいつは。
思わず椅子から腕を伸ばして抱き寄せる。
「
…
お前が無事でよかった」
この日が来ることをどれだけ待ち望んでいただろう。
相棒から身体を寄せられることがあっても、竜の身体では抱き締めることもできなかった。
「
…
エスティニアンも」
けれど今、その熱が腕の中にある。
腕に力を込めれば同じように返される。
ただそれだけのことなのにこんなにも嬉しい。
しばらくしてどちらからでもなくゆっくりと離れていき、相棒がこちらを向いたまま目を閉じた。
頬には落ちたばかりの雫の跡。
求められているものを察して肩に手を添えた。
…
視界の端に影が映る。
「
…
続きは今度な。どうやら『見回りの先生』がいるようだ」
目を開けた相棒に部屋を仕切っている天幕の向こう側を示せば、薄くなっていく影と遠ざかっていく足音。
向こうからも同じように影が見えていたに違いない。
一瞬で顔を赤く染め、思い出したように相棒が呟く。
「そうだった、ここ病院だった
…
」
先生には悪いことをしてしまったと心の中で謝る。
実際さっきの人影が誰だったのか知る術はない。
「まずお前はしっかり休め」
「うん。まだやらなきゃいけないことあるから」
相棒が自分の手の甲で目元を拭った。
もう目の前の顔に憂いはない。
「全部終わったら、な」
やらなければならないことがあるのは相棒だけじゃない。
俺自身も、過去に決着を付けなければ。
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