真嶋真嶋真嶋真嶋真嶋あかり真嶋真嶋真嶋あかり真嶋真嶋あかりあかりあかりあかり真嶋あかり真嶋真嶋真嶋真嶋真嶋あかりあかり真嶋あかりあかりあかりあかりあかりあかりあかり真嶋真嶋01
適度なざわめきの昼休みの教室で、ぼんやりと窓の外を眺めながら考えていたのは直前の授業中のことだった。
最初は偶然。その偶然が起きたきっかけを自ら作ってしまったのをあの瞬間、ほんの少しだけ後悔したけれど、その姿に惹かれてしまったのは必然だったのかもしれないなんて柄にもないことを考える。
教室の窓から射し込む陽が眩しくて、なのによせばいいのに夏やなあなんて思いながらうっかり窓の方に視線を向けてしまった。そこにあったのはきらきらと陽に照らされた透けた髪色。きれい、とすんでのところで声に出すのを堪えたのに手にしていたペンを落としたのは、その後の目線が離せなかったの短くて長い時間は何と言えばいいんだろう。
そんなことを、未だ瞼の裏できらきらとしているあの髪色と控えめに笑った顔を思い出しながら思った。
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数日前の席替えで隣になったその人は、数十分前の出来事のおかげで今までそうだと思っていた、周りから称されている印象とは違うのかもしれない、と思った。
男子バレー部で入学して間もない頃からレギュラーな事。双子で、校内のそこかしこで繰り広げられる通称「双子乱闘」なんてだいぶ物騒な名を冠した兄弟喧嘩。噓か誠かは定かではないけれど、ほとんど関わりのない自分にも耳に入るあまり良いとは言い難い、色のついた浮ついた話もほんの少し。それでもバレーの実力は本物らしく、見た目のそれも伴って校内外問わずファンが多くいるのだとか。
稲荷崎に入学して一年と少しの間で知った、その人
――宮侑の人となりはその程度だった。
二年になって同じクラスになって、それまで自身で見聞きした印象をだけを持ったまま関わりが特になく数か月後経ち、今に至る。それがあのほんのわずかなやりとりで一気に覆されたような気がした。
落ちたペンを拾い顔を上げるといつの間にか体勢を変え、こちらに視線を寄越していた。きっと眠っていたのだろう、不機嫌を隠さない真っ直ぐ強い視線。それに怯んだ訳ではなかったけれど、反射的にごめん、と小さく吐いた。その様子から悪態の一つでも飛んでくるかと思ったけれど、別に、と一言返し再び目を閉じる。授業中やけどまた寝るんやなと思った目を閉じる一瞬、向けられたその眼が少しだけやわらかく弧を描いた気がしたことが何となく心に留まった。
――もっと、いろんな表情を見てみたい。
これまでほとんど言葉を交わしたことはなかった。なのに、だからか、それともだから、なのかそう思ってしまってもう一度そちらに目をやった。まさか、同じようにその人の視線が向いているとは思わずに。
ぴたりと合った視線を外すことが出来ずどうしよう、と今度はさすがに怯んでしまった。目が合った瞬間ほんの少しだけ目を見開いた宮くんのその表情からは何を考えているのかが読めなくて、ほんの少しの好奇心も交えて意思を持って向けてしまった視線をどうか悪いように取られませんように、と願いながら何も言えないまま交わったままの視線を外すことが出来ずにいた
――その時だった。
「宮、起きとるかぁ?」
「
……っ寝てへん!」
「そうかぁ、寝てたんかぁ」
どのくらい時間が経ったかは分からないけれど、机に突っ伏していた宮くんに気付いたらしい先生の苦笑いの混じるよく通る声が前方から飛んできた。
呼ばれたその人はこれでもかというくらい、文字通り勢いよく飛び起きれば教室中で笑いが起こる。自分が名指しをされた訳ではなかったとは言えきっと宮くんと同じくらい驚いた。けれどぶつかったままの視線をどうしたらいいのか考えあぐねていたから助かった、とひっそりと胸をなでおろした瞬間、
真嶋も叩き起こしたってええからなぁとのんびりとした声で言われてしまって思わず肩を竦めた。
それはそうやけど、と声には出さずぼやけば隣で今は寝てへんし、と拗ねたようにつぶやく宮くんにじゃあ次、宮読んでと教卓の向こうからの追撃が飛んだ。
「はぁ?!」
「分からへんやろから
真嶋、どこからか教えたってや」
「
……え」
それは完全にとばっちりだ。思いもよらぬ指名に気の抜けた声を出してしまった。
色んな表情を見たいなんて、好奇心だけで動いてしまった数分前の自分を責めたい気持ちで早よしい、と言いたげに焦れたような顔の先生とどこか気まずい顔をした宮くんを交互に見遣る。どうやら教えないと終わらないやつか、と悟り教科書ごと宮くんに渡すとどうも、とそれを受け取った宮くんの顔がどこか人心地ついたようにほんのちょっとだけ笑顔になる。その顔がどうしようもなく印象的で目を奪われてしまった。
ああ、こんな風にも笑うんだ。
ついさっきまではほんのわずかだったその人のかけらが、急にきらきらと降っては落ちてきて目の前が開けたような、ぼんやりとしか見えなかったものがはっきりと見えた、そんな気がした。
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