DRRV11037
2024-05-09 11:07:11
11486文字
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金を喰らう魔物

楸谷徹の過去を描いた短い話です。DRRV本編のネタバレはありませんので、お気軽にどうぞ。


そう。ついに出会えた。
夜の底で、やっと僕は得意なことを見つけた。

好きでもない女性を口説いて、法外な額のシャンパンのために借金をさせて、風俗店にぶち込んで、死ぬ寸前まで働かせて飼い殺すことだ。

笑える。

でも、昼の世界に戻るつもりはなかった。
100個入りの業務用コンドームをまたポチるエースに謝罪すら言わないくらい気が触れたからか?そうでもあるが、もっと大きな理由がある。炭酸が舌を洗い、アルコールが喉を焼く感覚に依存したからか?いや、僕が依存したのはもっと上質な快楽物質だ。

金だ。

10万のボトルは、僕に10万の価値がある証。

100万のシャンパンタワーは、僕に100万の価値がある証。

1000万playerの称号は、僕に1000万の価値がある証。

口座に入った1億は、僕に1億円の価値がある証。

役職がつく。1番になれる。店長に褒められる。姫から次々求められる。高いボトルが入れば入るほど、僕に貼られた値札がきらきらと輝いていく。快感が脳の奥をとろとろ溶かす。
店長はこう励ましてくれた、昼職と比べなくていいって。僕は今やそんじょそこらの名門大卒サラリーマンより遥かに効率的で賢いビジネスマンなのだ。女を口説くだけの、社会の役に立てない仕事なのに、一晩で一千万稼ぐ。みるみるうちに口座に貯金が増えていく。札束掴んでいつかは億万長者!タワマンのてっぺんから、残業の光の煌々と灯るビル群を見下してやったらさぞいい眺めになるだろう。ああ、待ちきれない。


──もっと、お金が欲しい。お金が必要だ。


僕は、僕を売る。言葉を売る。時間を売る。身体を売る。選択肢を売る。人権を売る。尊厳を売る。魂を売る。

だから買ってほしい。

僕に値札をつけて、価値をつけて、求めて愛してほしい。いくらでも売るから、何だってする僕を買ってほしいのだ。




もうちっぽけな金喰い虫じゃない。
僕は羽化した。金を喰らう魔物だ。