DRRV11037
2024-05-09 11:07:11
11486文字
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金を喰らう魔物

楸谷徹の過去を描いた短い話です。DRRV本編のネタバレはありませんので、お気軽にどうぞ。



『生理??また言い訳ですか』

『海綿でどうにかなさいよ、僕のこと好きなら頑張れますよね?なんでできないんですか?』

『もういい、裏切られました』

『そんな口先だけの言葉信じられません』

『本当に僕を愛しているなら身をもって示してください』

『こういうとき頼れるのは貴女しかいなくて』

『僕には貴女が必要なんです、お願い捨てないで』

『今更逃げる気かよこのクソ女』

『飛んだら殺すからな、身元割れてんだぞお前』

『お出かけというよりデート、の気分です』

『貴女は僕の特別なおひとですから』



「ねえ、ピアス開けさせてよ」

僕は画面から顔を上げた。

「はい?ピアス……?」

僕のエース──唯姫は、いつも突然で結構ワガママなひとだ。細いツインテールに、ピンク色のこの街のユニフォーム。いつも長く濃い睫毛を整え、やけに力を込めて涙袋を演出する癖がある。

彼女は可愛らしい趣味のバッグから、四角い箱のような装置とボトルを取り出した。

「これピアッサーと消毒!」

僕は尋ねる。
……なんでこんなもの持ってるんですか」

「開けるから!」

「開けるんだ」

「うん」

「へぇ

どうやら僕に拒否権はなさそうだ。ピアス、ピアスか。聞いたことはあるが今まで興味もなかった。

「まぁ、いいですよ。エンジェル3本も頂いたの初めてですし……。所有の証みたいで、ちょっと嬉しいです。僕は貴女のものですから、素敵な飾りを選んでくださいね」

……♡」

唯姫がにんまり目を細めると、睫毛が黒く艶めいた。



膝に、唯姫の身体の重みを感じる。倒れてしまわないようにベッドに手を着いた。
ブラッドピンクの瞳が欲望をこちらに向けているのを肌で感じると、僕は自分の身体が何も抵抗しないよう、力を抜こうと努めた。

消毒で濡れた耳に、何かがあてがわれる。

「動かないよ〜、動かない動かない

……怖い。針は苦手だ。本能的に体が避けてしまうわないよう、頑強な理性で抑えつける。

めっちゃ目ぇ逸らすね。もしかして怖い?」

「こ、怖くねーし!?」

唯姫は可愛がっているのか面白がっているのか分からない笑みを浮かべて──耳元でバチン!と音がした。

「いっ……!?」

僕は目をぎゅっと瞑って……拍子抜けした。

……たくない。」

「えー、もっと痛がってよ。左耳いきまぁす♡」

早い早い早い覚悟ができていない!?
また音がして左耳が熱くなった。

「っ〜!」

「っふふ、あはは♡」

「笑うな!ってかそもそもこれどこに開けたんですか。」

「ちょっと、動いていいなんて言ってなくない?」

「っ、すみません」

………………よ〜し完成!動いていいよ。ふふ、よく出来たね、可愛いね」

褒められると無条件に嬉しくなってしまう。

「アッ釘みたいなの刺さってる」

「暫く付けたままね。そのうち私が可愛いピアスあげるから。何にしよっかな〜。猫の鈴みたいにチャリチャリ鳴るやつはどうかな?それともお揃いにする?」

唯姫は甘えるように、僕の首に腕を回した。

「覚えてる?最初に会ったとき」

そろそろ重たくなってきて、僕はゆっくり身体を後ろに倒していった。ベッドに仰向けになり、唯姫を見上げる。

「トオルくんは男本に載ってるピカイチ美形な新人ホストでさ、私は振られたばっかの女で、」

僕は微笑んで言葉を継いだ。

「覚えてますよ。もう5回目。理由は毎回『愛が重すぎる』」

「そーなの。トオルくんだけだよ、受け入れてくれるのは。」

唯姫は嬉しそうに耳を撫でて囁いた。
恐怖と快楽が綯い交ぜになっている。