浅羽ネム
2024-01-28 21:21:37
12269文字
Public ウルトラマンブレーザー
 

禁じられた遊戯

ヒルマジュンに囁く声は神の導きかそれとも悪魔の誘惑か。
非公式ウルトラマンブレーザー二次創作小説「禁じられた遊戯」
父と子、ふたつの思いがぶつかり合う。
【要注意】ここに出るメフィラスはあの外星人とは別個体です。「二代目」なので結構格は低いです。あとマンダリン草に捏造設定あり。きっとタロウ世界のマンダリン草とはまた違う習性なんだよ!
なお19話と20話の間の時期、11月中旬の出来事として書いています。


 翌日は怪獣の現出もなく、ゲントは久しぶりに早めの帰宅をした。事務処理をすると言っていたのを部下たちにたまにはちゃんと帰るべきと押し切られたものであり、早めとはいっても玄関のドアを開けた時には夜の9時前になっていたのだが。
「パパおかえりー。」
 サトコが笑って出迎える。
「ただいまジュン?」
 サトコの後ろでジュンが黙って立っている。
「パパに訊きたいことがあるみたいなんだけどどうする?先にごはんかお風呂にする?」
「いや、それは後でいい。ジュン向こうで話そうか。」
 ゲントとジュンはテーブルに向かい合って座る。サトコはジュンの側で立ったまま様子を見守るつもりのようだ。
「パパ。」
「何だ?」
「ぼうえいたいは怪獣をよってたかっていじめる人たちなの?」
 〈メフィラスに何を吹き込まれた?いや今はそれよりもどう答えるか考えなければ。ごまかすか?いやジュンの目は真剣だ。〉
 ゲントは頭に手をやりながら次に何を言うか考えている。ジュンは黙ってその様子を見つめている。
「防衛隊は───人を守っているんだ。」
 ゲントが口を開いた。ジュンは黙ったままでいる。
「怪獣をそのままにしていたら人が襲われたり家が壊されたり、それではみんなが困るだろう?だからそうならないために───」
「命を奪うの?」
……ジュン聞いてくれ。俺たちいや防衛隊は決して好き好んで怪獣の命を奪っているわけじゃないんだ。人の命を守るために他の生物の命を奪うのは確かに身勝手かもしれない。でも自分たちの命が奪われないためにはこうするしかないんだ。」
「ブレーザーもそうなの?」
「ブレーザーそうだよ、ブレーザーも命を守るために戦っている。彼も楽しんでいるわけじゃないんだと思う。」
 ───その時ゲントのズボンのポケットに入っているストーンが急速に熱を帯びた。
「熱っつ!!!」
 秋の夜に急に熱がる父親を怪訝な眼差しで見つつ、ジュンはこれまでの怪獣災害のことを思い出していた。街を破壊するバザンガ、奇声を上げてゲードスに槍を刺すブレーザー、レヴィーラに砲撃するアースガロン、苦戦するアースガロンを庇うブレーザー、子供を庇ってミサイルを撃たれるデマーガ、デマーガ親子を庇って防衛隊に立ち向かうブレーザー、インターネット機能を破壊するゲバルガ、そのゲバルガから逃げるブレーザー、外に出られなくなる毒ガスを吐くイルーゴそして崩れるビルから自分を庇ったブレーザー───。
 『だがガヴァドンは消えてしまった。』
 メフィラスの言葉が脳裏に蘇り、ジュンは顔を覆った。
 〈命を守る?そのために別の命が奪われる?ガヴァドンの命はぼくたちの命を守るために───?〉
「ジュン!もう寝ようか。ね?」
 サトコに抱きしめられてジュンは顔を上げて頷き、部屋へ戻った。
俺ろくなこと言えてなかった。」
 項垂れるゲントの隣にサトコが座る。
前にね、ジュンが私たちに気を遣いすぎてて心配だって言ったじゃない?あの後すぐだったかな、ジュンが服をすごく汚して帰ってきたことがあったの。それすごく安心したのよね、あの子もあの子なりに頑張ってることがあるんだろうって。今はいろいろ考えちゃうんだろうけどいっぱい悩んで悩んであの子なりの答えを見つける時が来るんじゃないかな?」
「だといいんだけど。」
 落ち込む父親と寄り添う母親の会話は眠りに落ちるジュンの耳には聞こえなかった。