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黒竹
2022-05-30 22:11:18
32290文字
Public
スタリラ
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黄金の地平 銀の地図
【スタリラ】【晶栞】
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一房だけ跳ねた前髪を揺らしながら生徒会室のドアを開けると、おなじみの生徒会長がソファに腰かけていた。ドアが開く音で気づいたか、こちらを振り返り、「しぃ」と立てた人差し指を唇に当てる。
言われたとおり音を立てないように入ると、ソファの背もたれで隠れていた座面、そこに横たわる少女の姿があった。その頭は晶の膝に乗っている。
「なにしてるの」
公共の場ですけど、ここ。
皮肉を知ってか知らずか、晶はひどく穏やかな笑みを崩さないまま、そっと少女の髪を撫でた。
「私が頼んだんだ。昨日少し話し込んでしまったせいで寝不足だったからな」
「あのねえ、生徒会長自ら生徒の体調管理を邪魔してどうするの。体調管理は健康的な食事と適度な睡眠から、だよ」
「分かっている。このような不手際は二度としない」
「も〜、結局ミチルの心配してたとおりになってるし。勘弁してよ、晶」
「そう言うな。今日だけだ。明日からまた、完璧な
白金の君
フラウ・プラティーン
に戻るさ」
「だといいけど」
戻らなかったらお説教だ、と心の中で決意するミチル。
「心配、か。ミチルは少々心配性がすぎると思うがな」
「晶が楽観視しすぎなんだよ。いい? このメンバーでやるエリュシオンは一回きり、加えて、ミチルたちはこれが最後のエリュシオンなんだよ。絶対に失敗は許されない。心配に心配を重ねたって、やりすぎなんてことはないよ」
「ああ、お前がそうだから心強いよ」
晶が小さく喉を鳴らす。その笑声は絶対の信頼から来るものだ。
「昨日から、不思議なほど爽快な気分なんだ」
「ん?」
「お前は私に守るべきものが増えることを危惧していたようだが、私としては、守るものが増えた途端、ひどく心地が良くて、しかし思考はクリアだ。こんな状態に今までなったことがない」
その表情に嘘はない。それは、王の顔。獅子の顔である。
獅子はより多くの個体を率いる者が強い。
獅子の王なら、なおさらだ。
「どこまでも行けそうな気分なんだ」
愛しい少女を膝に乗せ、生涯の友を見上げて、王は言う。
「お前は常に私の前にいろ。お前がえがく先に、私の進む道がある」
「晶
……
」
それは。
それは、鳳ミチルが、ずっとずっと、望んでいたことだ。
「もちろんだよ、晶」
八年前と変わらぬ視線が、鳳ミチルを包む。
「さあ、次は何をする?
我が戦友
フラウ・ザフィーア
」
「そうだね、何をしようか、
我が戦友
フラウ・プラティーン
」
ワクワクする。
明日からも、楽しくなりそうだ。
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