八上
2026-03-17 17:22:38
16185文字
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鬼の打掛

夜昂と玖寂の話。夜昂の因習実家関連の決着話(予定)




 ――夫に離縁され、石女の出戻り娘と罵られたことは数知れず。何度も涙を流してきた。血が出るほど流してきた。
 何故女に生まれただけでこんな仕打ちを受けなければならないのか。神に問えども仏に問えども答えは出ず。
 だが転機は突然訪れた。蔵の引き出しを整理した時に見つけた女物の着物の帯。そこには恐ろしげな鬼女が描かれていた。それを見て、天槻家に伝わる『金翠山の鬼女』を思い出した。そして年月を掛けて古い文献を漁り、『彼女』の正体に近づいた。
 ああ、やっぱりこの家は間違っている! ”家のために女を鬼にしておいて”こんな扱いが出来るなんて、男はなんて愚かなのだろう。
 私の人生に生き甲斐と目的が出来た瞬間だった。

 そして今夜、”使命”は叶うだろう。
 すべてをあるべきかたちに。天槻よ、私の勝ちだ。