ユキ
2026-03-02 13:48:45
12513文字
Public 🌲🎏
 

🌲誕SSまとめ

こちらのワードパレット(https://x.com/torinaxx/status/2020069268432568568?s=46 )をお借りして🌲🎏ssを書かせていただきました
設定は違いますが、全部🌲の誕生日のお話です


5.『小手毬』(現パロ)

はらはら
からかうような
吐息ひとつ

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「何をしてもいい、と言ったら」
どうする?
からかうような声で、今まで見た事ないような顔で
仰向けに寝転んだ俺を覗き込んで笑う鯉登にごくりと唾を飲み込んだ

するりと頬を撫でる手入れされた綺麗な指に、軽く耳朶を引っ張られてびくりと身体が跳ねて、上に乗っている鯉登の身体が揺れた
なぁ、と甘い声で囁きながらどんどん下に降りていこうとする手をがしりと捕まえて、少し潤んだ目と目を合わせる

「しない」
…………ぇ」
「なんにも、しない」

気の合う友人たちに誕生日を祝われた帰り、少し寄っていいかと珍しく鯉登から声を掛けられて喜んだのもつかの間
途中で寄ったコンビニのカゴの中にどんどん入れられていく酒とつまみにあれ?と思っていたら、片想い相手がべろべろに酔っ払って上に乗っかってきた
誕生日だから、というこいつの言葉を跳ね除けられた自分を褒めてやりたい
迂闊に触ると暴走してしまいそうだから早くどいてくれと心の中で叫んでいた時
は、と吐息ひとつ分の短い声とともに
はらはらと温かい雨が降ってきた

……え」
……だめ、かぁ」
そう言って笑った鯉登の顔に衝動的に伸ばした腕で、離れていこうとしていた鯉登の身体を引き寄せて抱き締める

……はなせ」
「やだ」
グズグズと泣きながら逃げ出そうとする鯉登をしっかりと抱きしめ直して、肩の辺りにある頭を宥めるように撫でてやった
いつもだったら、本当に嫌だったら殴ってでも抜け出すだろうこいつのそんな言動にぎゅっと胸が締め付けられる
ぽんぽんと頭を撫でて背中を叩いてやっていたら、ずしりと上に乗っていた身体が重くなった
耳元に感じる呼吸は深い物に変わっていて、もしかしたら寝たフリかもと警戒しながらゆっくりと身体を横に向ける
やっと見られた腕の上に乗った顔は涙と鼻水でぐちゃぐちゃで、酒のせいか声を殺しながら泣いていたからか真っ赤な顔が少し痛々しい

腕をのばした先に何とか手の届いたティッシュを引き寄せて汚れた顔を出来るだけ優しく拭いてやっていたら、むずがるように顔を背けて胸に顔を埋めてきたバカで愛おしい男の髪をゆっくりと撫でてやる

「起きたら覚えてろよてめぇ」
なんにもしない
してやるもんか
酔った勢いなんて言い訳はさせてやらない

目が覚めたら逃げようとするだろうこいつをしっかりと抱き込んで形の良い頭に顎を乗せる
転がっていたスマホがブブっと震えたので見てみると、続々と届く誕生日を祝うメッセージ
それに返信してからスマホを伏せ、両腕を回してしっかりと抱き締めてから目を閉じる

「最高の誕生日にしてもらうからな」
ほんのり汗となんだか良い匂いのする髪に唇を落として言ってやれば、腕の中の意気地無しが小さく呻いたような気がした