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ユキ
2026-03-02 13:48:45
12513文字
Public
🌲🎏
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🌲誕SSまとめ
こちらのワードパレット(
https://x.com/torinaxx/status/2020069268432568568?s=46
)をお借りして🌲🎏ssを書かせていただきました
設定は違いますが、全部🌲の誕生日のお話です
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2.『踏青』(現パロ)
寝転ぶ
手招かれるまま
二人きり
-----------------------------
「
……
杉元」
「んー?あれ鯉登じゃん」
どしたの、ときょとんとした顔で聞いてくる男の額を指弾する
今日の主役が見当たらなくて探していたら、地面に仰向けになっているのを見つけた私の気持ちも考えろ、馬鹿者
「あー、ごめんね?」
「
……
煩い」
こんな時だけ無駄に察しの良い馬鹿にもう一発入れて、身体を起こす。濃い桃色の花びらがひらひらと舞って寝転んだままの杉元の上に落ちる
三月一日、北の地ではまだ雪が残っているがここはもうすっかり春めいて早咲きの桜が至る所で咲き誇っている。しばらく雨が続いていたから心配していたが、すっかり晴れて心地の良い日差しが花の隙間から差し込んでいる
「他のやつも探しているかもしれん、早く戻るぞ」
「んー」
上の空の返答
ぼんやりと空を見ている男にやはりどこか具合でも悪いのかと思っていれば、ぱちりと目が合った
「鯉登、こっち」
「
……
はぁ?」
ポンポンと自分の隣を叩く男につい怪訝な声を漏らしてしまった。寝転べ、ということか?
何がしたいのかが分からなくてそのまま立っていた私に向けていた杉元の目がキュッと細くなる
「いいから」
おいで、と手招かれるまま隣に寝転んではっと我に返る。すぐ隣にある顔が満足気に笑っているのが気配で分かって慌てて起き上がろうとしたが、いつの間にか回されていた腕に肩を掴まれて地面に逆戻りする。そのまま引き寄せられてこつりとぶつかった頭と首の下にある硬い筋肉の温度にぶわりと体温が上がる
「
……
なんなんだ一体」
「んふふ
……
ほら、あれ」
家の中、それも二人きりの時にしかしないような体勢が落ち着かなくてモゾモゾと逃げようとしてもガッチリと掴まれた肩に諦めて力を抜く。それに嬉しそうに笑う杉元が指さした先には花びらの隙間から覗く青い空
「ハートみたいじゃない?」
「
…………
はぁ?」
きゃっきゃ、と弾んだ声で可愛いよねぇと続ける男の脇腹に肘を入れて緩んだ腕の中から抜け出した
「くだらん」
「おまえ
……
せっかく、食った肉が
……
」
さっきまで競うように食べていたバーベキューの食材が出てきそうになっているらしい男を冷たい目で見下ろす
何とか抑えきって丸めていた身体を伸ばした杉元が拗ねたような顔で見上げてくる。その上にひらひらと落ちてきた花びらをつまみ上げて放り投げると風に乗って舞い上がった。それを目で追いかけると鮮やかな青色が目に入った
(
…………
あ)
まだブツブツと零している男の腕の上に頭を落とす。痛てぇっ、と叫ぶ声は無視してさっきよりも少し左の方を指差した
「雪だるま」
「
……
えぇ?」
ほら、と丸が二つ並んだ青色を教えてやればその先を追いかけるようにぐっと顔が近付いてくる。触れそうなくらい近くにある頬の、産毛がチクチクと当たっているようなこそばゆい感触にそわりと肌が粟立った
「あ、あぁー?確かにそれっぽい?かも?」
「さっきのマシュマロみたいだ」
あぁ、と気の抜けた笑いを零す杉元が思い出しているだろうバーベキューといえばこれだろう、と持ち込まれた雪だるま型のマシュマロ
火で炙ったのをクッキーで挟んで食べたのがすごく美味しかった
「
……
まだあるかなぁ」
「食べ尽くされているかもな」
じゃあ早く戻んないとね、と笑いながら身体を起こした杉元がパンパンと身体に着いた土を払っている横で同じように身なりを整え、当たり前のように差し出された手を取って賑やかな声が響いてくる方へ足を向けた
誕生日会の主役をいつまでも独り占めしていられないのは分かっていても、少し名残惜しくてキュッと握る手の力を強くする
「鯉登」
不意に呼ばれた名前
いつの間にか下を向いていた顔を上げれば少し頬を赤くした杉元が少し口篭ってから照れたように笑う
「今日この後さ、うち来ない?」
「
……
行ってやっても、いい」
「うん、来てよ」
ひひ、とこちらを振り向いて嬉しそうに笑う杉元の顔に反射的に手を振りほどいて、驚く杉元の横を走り抜ける
あぁ、どうか
多分、気を利かせてくれたのだろう友人たちの元にたどり着く前に
後ろから追いかけてくるだろう男が追いつく前に
この顔の熱が収まることを、祈りながら全力で足を動かした
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