レゾン・デートル|CASE. 01 緋色の邂逅

曰く、人は彼女を天才と呼ぶ。

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学術研究都市〈いとしま医学特区〉を舞台に描く、現代ドラマ×オカルティックサスペンス! 厚生労働省の〈螺旋捜査官〉市ノ瀬咲良は、ある任務のために学術研究都市〈いとしま医学特区〉へ赴く。彼に与えられた任務はとある人物の監視だった。
その人物の名は──四宮椿。ある一方では〈医学における万能の天才〉と呼ばれ、またある一方では〈忌まわしき名探偵〉と呼ばれる彼女と共に、咲良は殺人事件へ挑むこととなり──? いとしま医学特区の港湾部にて、逆さ吊り状態で発見された遺体。科学で解けない殺人事件、二人の邂逅が導く真実とは?(CASE FILE.01)

※同人誌版の原稿をそのまま移植しているため、改行が少なく横書きでは読みづらいと思います。縦読みリーダー表示をお勧めします。

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 其方には今、三つの道がある。

 低く、耳の奥によく響く。
 男とも、女とも取れない声だった。

 そのうち一つの道だけがイアルの野へ繋がり、もうひとつには苦難と絶望がある。
 もうひとつを選べば、諦観と寧静へ身を委ねることになるだろう。

 ——其方がここへ至るのは七度目だな。
 だが、一度として其方は違う解を出さなかった。此度もそうであろう?

 首を縦に振る。

 これまでの道のりは、実に長い贖罪の旅路であった。それも、他が罪のな。

 其はそう言って私を見据える。
 白い羽がふわふわと揺れていた。

 ——其方の魂はすでに解脱を得ている。それでもまだ歩みを止める気はないと言うのか?

 私は地を這い、腐った果実を食む。
 目が光に焼き潰される。其は容赦なく私を見下ろしている。
 黒い影が地面に落ち、私はゆっくりと顔を持ち上げる。

「知りたいからだ」

 答えを探している。
 あの日——鮮血を浴びて、罪に塗れた中で、生を望まれた意味。
 私の心を突き動かす、知識の奔流がどこからやってくるのか。

 そして何よりも——

 理解している。其方のことは誰よりも。其方は必ずその問いを口にする。
 其方の背骨に深く刻まれたその問いを——決して手放さないこともな。

 其は膝をつき、地面で這いつくばっている私の方へ黒い手を伸ばす。

「行くがいい」

 其は私を包み込む。身体が溶け合い、一つを模る。
 私は二本足で立ち上がり、前へ一歩踏み出す。決して戻らぬ、向こう側へ。


「鳥は、空を飛ぶために生きている。
 ——其方が明かすために生きているのと、同じように」

諸注意
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