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オンパロス男性組 プランツ・ドールパロ

・オンパロス男性黄金裔3人(アナイクスメイン)
・マルチエンディング式夢小説
・ネームレス主人公
・全5ルート
・メリバ要素多め
・なんでも許せる人向け



ぽよぽよと揺れる双葉の浮き毛は、白髪の観用少年プランツ・ドールの特徴で、すぐにこの子だと分かった。わたしと目が合うとキラキラした視線を向け、頭には子犬の耳とブンブンと振る尻尾が見えたような気がした。

「そんなにわたしと寝たかったの?じゃあ一緒に寝よっか」

わたしが彼のために寝るスペースを空けると、パァッと顔を輝かせてジャンプし、わたしのベッドに飛び乗った。彼を抱き締めると、麦畑のような澄んだ香りと太陽のような温かさがわたしを包む。それはとても心地がよく、再び夢の世界へと誘ってくる。彼の青空のような瞳も、だんだんと重くなっている瞼に隠れ始め、わたしと彼は共に夢の中へ落ちていった。



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ああ、なんだか不思議な夢を見ていると夢の中のわたしは認識した。夢の中のわたしは社会人で何かを失って、その心の穴を埋めるために何かを買って、心が満たされて、そして──

「──………………起きて!遅刻しちゃうわよ!」

可愛らしい声でわたしの意識は現実へ引き戻される。目の前には桃色の髪をした少女が、わたしの顔を覗き込んでいた。

「やっと起きたわね。いつもならちゃんと起きてるはずなのに、今日はどうしたの?夜更かしでもしちゃった?」

少女を見ると学生服を着ていて、そしてわたしは見覚えのない部屋で眠っていたようだ。少女の言葉の意味を理解するため、部屋を見回すが、壁に掛かる時計が目に入った。時刻は学校の始業時間まで残り30分わたしは飛び起きた。

「ふふっ。お寝坊さんはちゃんと目覚めたわね。急いで!そうしないと、あたしも彼も遅刻しちゃうから!」

少女はわたしの部屋から出ていく。改めて部屋を見回した。先程は見覚えのない部屋だと感じていたが、今はこの部屋で過ごした記憶が次々と浮かんでくる。わたしは何を勘違いしていたのだろう。ここは私の部屋で、今、わたしを起こしてくれたのは幼馴染みのキュレネだ。わたしは急いで身支度を整えてから、キュレネと同じ制服に着替え、玄関へと向かう。キュレネは玄関で待っていて、わたしの母と話をしていたようだ。母に寝坊を非難されてしまったが、返事もそこそこにわたしとキュレネは手を繋いでドアを開けた。そこにはもう1人のわたしの幼馴染みが待っていた。

「おはよう。ははっ、君が寝坊だなんて珍しいな」

白髪と双葉の浮き毛、そして青空のような澄んだ碧眼の青少年は眩しい笑顔を2人に向けてきた。

「ファイノン、笑ってる場合じゃないわ!本当に遅刻しちゃう!」

「そうだね。流石にこの時間はまずいしよしっ、こうなったら全力ダッシュだ!」

「え"、ちょっと待って!わたし朝からそんな体力あ~~~」

キュレネと繋いでいた反対の手をファイノンに握られ、わたしはキュレネとファイノンに引き摺られながら校門を潜ることになった。



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「朝はどうなることかと思ったけど、ギリギリ間に合って良かった。僕達、運がいいみたいだ」

ファイノンは購買の戦利品であろう大量のパンの1つを開けてかぶりついた。幼馴染3人揃って昼食を取るのは、誰かが言い出したり、決めたわけでもない。たまに他の友人達も混ざりに来ることはあるが、ファイノン、キュレネ、わたしの3人で昼休みに中庭のベンチに集まることが学校での共通認識になっていた。キュレネは可愛い柄のお弁当箱を広げ、手作りであろう中身を美味しそうに食べている。対してわたしは、普段なら自分で作るが、今日は寝坊をしてしまったため、昼の学校の戦場と化す購買での購入を考えていた。しかし、家を出る直前に母が作っておいてくれたお弁当を持たせてくれた。わたしの好物ばかり入っているお弁当箱の中身を口に運ぶ。

「そういえばファイノン。今日は購買で買えたのね。この前はお昼休みに出遅れたら買えなくて、ずっとお腹鳴らしてたものね」

「あの時は本当に参ったよ。2人のおかずを分けて貰えなかったら、僕は午後の授業に集中できなかっただろうね」

あの頭も切れて運動神経抜群のファイノンが出遅れただけで買えないのだから、わたしなんかがあの購買の戦争を勝ち抜けるわけがない。お弁当の有り難みを感じつつ、帰宅したら改めて母にお礼を言おうと考えていた。

「でも君が僕のために毎日お弁当作ってくれるって約束してくれてたから、購買に行く必要はそのうちなくなるよ」

ファイノンの発言で噎せた。視線を向けると、王子様のように微笑みながらわたしを見ている。幼い頃、わたしのおままごとがしたいというわがままにファイノンは付き合ってくれていた。その時わたしが言った「大きくなったらファイノンに毎日お弁当作ってあげる」という約束を高校生になっても覚えていて、いつまでも待っているのだという。子供の頃の口約束なんて、その場の思い付きで言ったものであり、わたしはその事をすっかり忘れていたし、ファイノンに言われなければ思い出すこともなかった。

「それに大人になったら僕のお嫁さんになりたいとも言ってたな。まぁ、僕はいつでも受け入れる準備ができてるけど」

「ファイノン、大好きな気持ちはわかるけど、あまりいじめすぎるのはよくないわ。女の子の心ってとっても繊細なんだから」

キュレネが救いの手を差し出してくれたが、ファイノンの発言を否定しなかった。でも、確かにわたしの中にあるものは恋心と言うのだろう。しかしそれはあまりにも幼馴染として長く一緒に過ごしすぎたためか、親愛なのか愛情なのか、自分の中でも判断がしづらいものになっていた。そのため、わたしは彼の発言に困惑したり曖昧な返事しかできないでいる。

「あら、そういえば次はアナイクス先生の授業だったわよね?確か日直が授業の準備をしないといけないんじゃなかったかしら?」

キュレネが話題を変えてくれたが、今日の日直はわたしだ。アナイクス先生の授業の準備を忘れると執拗に小言を言われてしまうため、先生の授業がある日の日直は気が休まらない。そしてわたしも呑気にお弁当を食べている場合ではなかった。残りのご飯とおかずを掻き込み、急いで片付けて2人に声をかける。

「キュレネありがとう!すっかり忘れてた!わたし、先に教室戻るね!」

ファイノンとキュレネはいってらっしゃいと声を揃えてわたしを見送った。



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ねぇ、ファイノン。あなたどうするつもりなの?」

キュレネの眉尻が珍しく下に向いた。

「なんのことだい?」

「とぼけないで。少しだけど、あたし覚えてるの。世界を書き換えるなんて、あなた以外にできる人はいないんだから」

キュレネには記憶があった。その世界の自分は不思議な店の店主という役割が与えられていた。しかし今は、2人の幼馴染と共に高校生活を満喫する1人の女子高生という枠に収まっている。

「ははっ。流石に君の記憶全てに干渉はできなかったか。僕はただ、彼女と一緒にいたいだけさ。この『能力』を悪用しようとか考えてないよ」

ファイノンの言ったことは彼の本心なのだろう。だがその言葉の影に隠れた本音があると、キュレネの女の勘は告げている。彼女は、本来の世界線なら、初めて購入した観用少年プランツ・ドールと添い遂げる運命にあった。それは何があっても変わるはずのない事実だ。しかし、彼女は選択した。してしまった。最初に購入した観用少年プランツ・ドール以外の観用少年プランツ・ドールを2人、連れて帰るという選択を。その上、そのうちの1人は危険な因子を持った少年プランツとして、目覚めないようにキュレネの店の奥で管理されるはずだった。しかし少年プランツは彼女という運命に起こされ、そして選ばれてしまった。そこまで考えて、キュレネは1つの見解に行き着いた。

……もしかしてだけど、あの子の初めての観用少年プランツ・ドールになれなかったことが悔しかったの?」

ファイノンの表情は笑みから変わらなかった。しかし、いつもなら口達者な彼が無言を貫いている。ポーカーフェイスが上手い幼馴染が、子供のように分かりやすい反応を返してきたことに目を丸くしてしまったが、『再創世』の能力を悪用しているわけでは無かったことに安堵した。前の世界のキュレネは、悪用しないことを分かっていたため、危険因子を持つ彼をあえて送り出したのかもしれない。しかし、それを知る術は今の世界にはもうないことをキュレネは理解していた。

「そうねぇ。あたしも前の世界の店主とお客さんの関係より、幼馴染の方があの子と仲良くできるから、これ以上は口煩く言わないでおくわ。でもあの子を悲しませるようなことは絶対にしちゃダメよ!約束してくれる?」

「もちろん。約束するよ」

「それじゃあこの話はこれでおしまい。あたし達も教室に戻りましょ」

キュレネは弁当箱を綺麗に包んで立ち上がった。ファイノンもその後に続く。ファイノンが中庭から校舎を見上げると、廊下を歩くアナイクスと目があった。一瞬交差した視線は、アナイクスの方から外し、廊下を歩き去っていった。その時、ファイノンは確信した。キュレネと同じように、アナイクスにも前の世界の記憶があるのだろう。そうでなければ彼の瞳の奥にある燃えるような妬みの炎が、ファイノンに向けられるはずがない。遠くからでも分かるのは、前の世界でファイノンがアナイクスに向けていたものが全く同じものであったから。本来ならアナイクスが彼女に一番近い立ち位置にいたはずが、ファイノンの『再創世』によって世界が書き換えられ、彼がいたはずの居場所はファイノンに奪い取られてしまった。教師という役を与えられ、教え子であるファイノンをぞんざいに扱うこともできず、今の彼は八方塞がりで、この状況を打開することもできない。

大丈夫だよ、アナイクス先生。彼女は僕が代わりに幸せにするから」

ファイノンは薄笑いを浮かべ、キュレネの背中を追いかけた。

『再創世』END