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オンパロス男性組 プランツ・ドールパロ

・オンパロス男性黄金裔3人(アナイクスメイン)
・マルチエンディング式夢小説
・ネームレス主人公
・全5ルート
・メリバ要素多め
・なんでも許せる人向け



その言葉を聞いて、彼はこてんと首をかしげた。

ううん、なんでもないよ。心配掛けさせてごめんね」

その言葉を呟いた後、あまりにも自分にとって都合のいいことを呟いてしまったと思い、誤魔化すように彼の頭を撫で返した。彼に意識が向いたせいか、少し落ち着いてきた。これで良かったんだと思う。今までわたしはあいつに騙されていて、良いように使われてきたんだ。そんな奴はこっちから願い下げだ。心の傷はすぐに癒えることはないが、この子がいてくれれば、わたしは大丈夫。あいつのことは早く忘れて、明日からまた彼のために生きていこう、そうに考え、わたしは明日には腫れてしまうであろう目を冷やすために洗面所へと向かった。



□□□□□



「じゃあ仕事に行ってくるね」

玄関で靴を履きながらわたしを見送りに来てくれた彼に声をかけた。いつも見慣れた朝のルーティンだ。そして行く前に彼を抱き締めることもでも、何故かその日は違和感があった。言葉では説明できないが、なんだかいつもと何かが違う気がした。引っ掛かりがあったが、わたしは気にせずにそのまま仕事へ向かった。次の日も次の日も。でもその違和感だけは日に日に増していくのだった。そして、その違和感の正体に気付いた時には、もう既に何もかも手遅れだった。

「ただい…………?」

「ああ、お帰りなさい。遅かったですね」

普段なら返事はなく、でも小さな足でわたしに駆け寄ってくるはずだった彼はいなくなっていて、代わりに見ず知らずの男性が出迎えに来た。わたしが混乱して動けなくなってしまったのに気付いたのか、目の前の不審者は笑みをこぼし、わたしの手を引いて部屋に招き入れた。

「驚かせてしまいましたね。私は貴女が育てていた観用少年プランツ・ドールです。不審者ではありません」

わたしを落ち着かせるために不審者もとい彼はミネラルウォーターをコップに注ぎ、差し出してきた。よく見れば、やわらかな青緑の髪に左目の眼帯、そして控えめに笑みをこぼす癖は間違いなくわたしが今まで一緒に暮らしてきた観用少年プランツ・ドールそのものだった。でも何故突然彼は成長してしまったのか。観用少年プランツ・ドールが成長してしまうのはミルクや砂糖菓子以外のものを与えた場合であり、それは絶対に与えないようにしてきたはずだ。ミネラルウォーターを飲んで少し落ち着き、考え込むわたしに彼は口を開いた。

「私は自ら望んで育ちました。あの時、貴女もそれを“望んだ”からです。私が貴女の恋人であればよかったと」

はっとした。あの最悪な日に口走った言葉を思い出した。だがあれは言葉のあやであり、本気で言った訳ではない。しかしもう何もかも手遅れだったのだ。こうしてわたしの言葉を純粋無垢な観用少年プランツ・ドールは受け止めてしまい大人へと変質してしまった。

「それにあの時、貴女が抱いていた感情が私にとってあまりに刺激的で甘美なものだったのです。普段、穏やかな愛情を私に注いでいた貴女から、あれほど陰鬱な感情が溢れていたのに興味が湧きました」

彼はわたしに迫ってくる。ああ、だめだ、彼に捕まってはいけない。本能的に思い、わたしは後退りをする。

「その朗らかな愛情だけでなく、もっと複雑で陰湿な感情を私に向けてくれたらと」

背中が壁にぶつかる。目の前にはわたしの知らない顔をした彼がいた。だめだと何度も頭の中で否定する。しかし、それは無駄な抵抗であり──

……責任をとってくれますね?」

もう彼は愛されるだけの観用少年プランツ・ドールではなくなってしまった。わたしがそうしてしまったのだ。わたしは彼の所有者として責任をとらなければならない。わたしの抵抗の意志がなくなったことに気付いた彼は、純粋だった観用少年プランツ・ドールの彼と変わらない笑みをこぼした。しかしその瞳の奥には愛情以外の、もっと違うなにかが渦巻いていた。

育ってしまったEND