「そういえば店主さんから怪獣の人形も譲ってもらったんだった。もしかしたらこの人形がお気に入りなのかも」
店主の少女が「せっかくの門出だもの!お洒落させてあげないとね!」と怪獣の人形の首に可愛いリボンを巻いてプレゼントしてくれたのを思い出した。家に届いていた幾つかの段ボールの内、一際大きな段ボールを開けると、そこには緩衝材に包まれた人形がぎゅっと詰め込まれていた。あまりにも窮屈そうな状態で詰め込まれていたのでクスッと笑うと、その様子を見ていた彼がわたしの近くへ寄ってきた。
「君のお友達も一緒に来てくれたよ。会わせてあげるからちょっと待っててね」
人形の体毛を傷付けないように、緩衝材をハサミで切りながら開封していく。やっとその姿が全て見えたとき、彼の目の色が変わった。人形に駆け寄り、その長い首にぎゅっと抱き付き、頬擦りをしている。彼に出逢った時、この人形の横で眠っていたのだ。この人形をとても気に入っているのだろう。
「
………」
あれだけ彼を夢中にさせている人形に少し嫉妬してしまったが、人形に嫉妬したのが少し恥ずかしくなったので、すぐさま頭を振って煩悩を掻き消した。しかし、それに気付いた彼がわたしをまたじっと見つめている。
「どうしたの?」
声をかけると人形から離れ、わたしに抱き付いてきた。そして人形にしたようにすりすりと甘えてきたのだ。わたしの感情を察したのかは分からないが、それでも彼からの思わぬ愛情表現に、驚きと愛おしさが溢れて、わたしも彼を思いっきり抱き返した。
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