あの時見た
観用少女達も美しかったが、今はどんな子がいるのか少し気になった。椅子から立ち、飾られている
少女達の顔を覗き込む。やはり皆、美しい顔立ちをしているが、どうしても彼と比べてしまう。わたしの中の一番はやはり彼だと再認識し、そろそろ椅子に戻ろうかと思い始めた時、後ろから服の裾を引っ張られる感覚がした。振り向くと白い髪の少年と金髪の少年がわたしを見上げている。
「
…?他のお客さんの子供?」
辺りを見るが、わたし以外にお客さんらしき人はいない。2人の少年はわたしの顔をじっと見つめてくる。あの時、彼と出会ったときのような感覚が思い起こされる。永遠のように感じられるその時間、わたしは少年達から目が離せなくなっていた。
「まぁ!あなたってば
観用少年と相性がいいのね!」
はっと現実に意識が戻された。いつの間にか戻ってきていた店主が、綺麗に包装された箱をテーブルの上に置いた。
「本当に稀になんだけど
観用少年と波長の合う人がいるのよ。まさかあなたがその中の1人だなんて。運命の導きなのかしら。その子達、あなたの存在に起こされたみたいね」
うふふと店主は笑っていたが、わたしはそれどころではなかった。
観用少年は気に入った人間から離れようとせず、その人間と共にいられなければ、愛情が貰えずに枯れてしまう。わたしは彼以外の
少年を迎え入れる余裕はないはない。つまりこの2人の運命は
……。
「あら、お困りごと?あなたの考えてること、当ててみましょうか!『あの子だけでも家計が厳しいのに2人も増えちゃったら火の車だわ!どうしましょ~!』
…どう?当たってる?」
店主には私の考えてることなど、全てお見通しのようだ。わたしのことを気に入ってくれる
少年と出逢えたのは嬉しいが、わたしはただの庶民で、そこまで裕福に暮らしているわけではない。だが、わたしが見捨てるとこの子達が向かう結末が決まってしまうので返答に困ってしまっていた。
「そうねぇ。あなたは悪い子ではないから、あの子達を拐っちゃうことなんてできないわよね。それなら、これくらいならどうかしら?」
とんでもない発言をした店主はサラサラと紙に筆を走らせ金額を提示した。タダ同然の金額にわたしは目を疑った。
「あたしもこの子達に枯れてほしい訳じゃないもの。これなら問題ないかしら?」
わたしは何度も頷いた。彼の洋服を取りに来たはずが、大きな買い物をすることになってしまった。以前と同じように契約書にサインを書き、増えた人数分の必需品を購入して帰路に着く。勿論、2人の
観用少年と共に、だ。家でわたしの帰りを待つ彼はどんな反応をするだろうか、この2人を受け入れてくれるだろうか
…。不安は尽きないが、この2人の少年がわたしに向ける笑みを見ると幸福で心が満たされた。
□□□□□□
2人の
観用少年を連れて帰ってから、想像していたものより、わたしと彼の生活は大きく変わらなかった。2人を連れて帰った時の彼の反応は、最初は驚いたのか見たことない程に目をまん丸くして2人を凝視していた。しかし、白髪の
観用少年は活発で社交的な性格らしく、物静かな彼と積極的に関わろうとしていた。反対に金髪の
観用少年は大人しいが、白髪の
少年に挑発でもされてるのか、よく2人で遊んだり、わたしが食事の準備をしていると、興味があるようでキッチンを覗きに来ていた。先輩である彼は、2人の
少年とほとんど関わろうとせず、お気に入りの怪獣の人形と遊んだり、与えた本を1日中読み耽っていた。それぞれの個性が顕著に見えてきて、それを見ているだけでも楽しく、わたしの私生活は彼らのお陰で賑やかなものになっていた。
「さあ、明日もお仕事だから寝よっか」
皆でお風呂も済ませてから、わたしのこの一言が就寝の合図になっていた。各々が自分のベッドへと潜り込む。わたしはそれを確認してから部屋の電気を消し目を閉じる。明日はこの子達と何をしよう、この子達からどんな反応が返ってくるだろう?想像するだけで胸を躍らせてしまう。そんな期待を抱きながら微睡んでいく。しかしそれは小さな気配で現実に引き戻された。どうやら誰かがわたしのベッドの縁にいるようだ。わたしはうっすらと目を開ける。そこにいたのは──
彼だった
白い髪の観用少年だった
金色の髪の観用少年だった
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