akinoshiroihana
2025-08-15 22:30:10
11438文字
Public
 

名刺置き場12



ゲッターx当時の流行歌
『青春時代』
歌う園児いたんですよ本当に!w




「なんとね。すげえやつら見ちまった」
学園の敷地方向から戻ってきた隼人が、いつもの知らぬ気に澄まし顔するでもなく言うからこれは聞いてほしいんだな、聞かせてくれるんだな、と竜馬は嬉しい顔をそのまま上げた。
「なんだ二人乗りするアベックでもついにこの学内にも出たのかい」
「いいや、そんな生易しいもんじゃねえ」
とは後から入ってきた弁慶だ。
「幼年部の子たちが『青春○代』歌ってやがった、ブランコ立ち漕ぎしながら」
「それは」
立ち漕ぎのフォームを軽くやってみたあと竜馬は、
「合うかもしれないなあ……
と真顔で返した。昨今のはやりの歌だった。

「俺達は『道に迷って』る暇もあったもんしゃねえや」
「まあ命あっての物種ではあるかな」
「ありゃ高校生か?俺はてっきり同棲してる元大学生の歌かと思ってたよ」
「うーん……?」
「それでどこに勤める何になるか、今の恋愛が結婚しようと思うものか決めようとしてさ」
「ううーん……。」

もしも自分が一緒に暮らすなら、それはもう大学卒業後の結婚も約束した相手ではないかと竜馬は誠実に思う。ので、そう言葉にしようとしてみて、二人ならぬ三人でひとつ屋根の下もう暮らしているではないかと思い直した。

だが、『後からほのぼの思うもの』になるだろうか?

全部が過ぎ去った事として遠ざかるものだろうか、自分達は既に武蔵を失った。その痛みも、自分に限りなく近い痛みを覚えているだろう隼人も、優しい思いで遠く感じるばかりの存在になる時が来るものだろうか?

「今が『胸に棘さすことばかり』だってのはわかるぜ」と真面目な顔する弁慶に、隼人は涼しげな一瞥を送り、こっそり薄ら笑うのが、以前ほど鼻持ちならないものではなく思え、許せてしまうあたり、自分もすっかり『道に迷って』いるのかもしれないと竜馬は思う。
もしくは、俺たちの費やした時間は、何で計るのがいいのだろうと、

もしくは
俺とお前もまた違うときを行く事になる時のことを、おまえも今から恐れていて、それが棘となってお前が痛いときはあるかい?
だったら俺はとても―――