望月 鏡翠
2025-07-01 01:19:03
23156文字
Public リアタイ
 

シズメ 03

シズメ/三角 麻弓/遊泳期間作品




 学校内でラジオが流れ出す。
 またあの霊能者の人がよくわからない話をワッと浴びせてくるのだろうかと身構えた麻弓は、聞こえてきたのが若い声であったことに安堵した。面白いことを企画してくれる人は大好きだ。
 人に何かを教えようとするのは、理解を深める一歩だ。それに誰かに素敵なことを見つけたら共有しようと思って日々を過ごせば、見慣れた校舎も新鮮になる。麻弓は生き物や自然が好きだから、外にいる生き物が普段、この辺りに生息するものと違うことや、渡り鳥がいたことに驚く。
 他の人には他の興味と驚きがあるのだろう。
 周りはざわざわとしていて、各々の選んだお昼ご飯の匂いが混ざりあう。
 ラジオが流れていると、窓から海を通した青い光が差し込んで、時折魚影が横切る以外は、普段の学校に戻ったみたいだ。
 ラジオの途中で始まった話が興味深く、思わずメモをとった。図書館に言ったら同じ本を見つけられるだろうか。
 民俗学は専門外だ。文系の人に聞いたらわかるだろうか。
 ただ、その場所で起こる不思議なことが、その地域の伝承に残っているとのはよくある話だ。それが自然現象であっても、当時の人に理解ができないことなら神話や伝承として残っていたりする。
 神様の仕業にしたり、吉兆にしたり凶兆にしたり。
 インターネットは思ったより万能ではないから、古い郷土資料なんかは地元の図書館にしか残っていないだろう。旧校舎が残っているようなそれなりに歴史ある学校に、その資料の一部が残っていたとしてなんら不思議ではない。
 海に飲まれるというのは、今の状況にぴったりでそして少し不安になるような内容だった。ただそれはその一部分だけ見れば、という話で物語として残っているのだからきっとそこから戻ってきた人がいたのだろう。
 暇だったら探してみてもいいのかもしれない。
 そんなことを考えた。