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望月 鏡翠
2025-06-20 12:53:48
13440文字
Public
リアタイ
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シズメ 01
シズメ/三角 麻弓/交流作品
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六月は憂鬱だ。ジューンブライドくらいしか気分を上げる言葉が見つけられないけど、高校生には関係がないイベントだ。今のところ憧れもあんまりない。
湿気で髪の毛が膨らむし、着替えは乾かないし、長雨で出かける元気もないし、傘が邪魔になる。
そう思っていたのだけど、梅雨は早めに切り上げてどこかへ行ってしまった。
途端にやってきた夏の暑さに、麻弓は別の意味でうんざりさせられた。確かに雨は少ない方が嬉しいけれど、だからって一足飛びに夏になれなんて言ってない。
エアコンの試運転をする暇もなく、本運転をすることになった。
家はともかく学校で六月からエアコンを稼働していいのかどうかについては、先生たちが議論する必要があったらしい。
もしかして七月からになるんじゃないかという不安に、麻弓たちは脅かされた。
しかし教室は授業を続けるにはあまりにも暑くて、学業にも健康にも支障が出るということで、エアコンは無事に稼働した。
おそらく生徒よりも、立って喋って授業をしている先生たちの方が耐え難い暑さに苦しむことになっていただろう。それに健康な教員や生徒はいいが、保健室にたびたびお世話になっているような体が弱い生徒なら、倒れてしまっていたかもしれない。
ホームルームを終え涼しい教室から廊下にでると、茹だるような暑さが蟠っている。
夕方になり風が通るようになれば多少は涼しいが、廊下は窓から太陽光が差し込んでサウナみたいになっていたから、暑いままだ。慌てて廊下の窓を開け放ち、風を通す。
風で涼みながら、眼下を見ると、先にホームルームが終わっていたらしい三年生の姿が目に入った。
「せんぱ〜い」
手を振ると、家入 愛美が控えめに手を振りかえす。
「そっち降りるので、ちょっと待っててくださ〜〜い!」
教室に戻って鞄を掴むと、階段を駆け降りる。
家入先輩は、そのままの場所で麻弓を待っていた。
「スカートが捲れそう」
「ね、これ走りにくいですよね」
ずりあがったスカートを元の位置に戻す。
「アイス食べに行きません? 暑いですし」
気温が夏になったのだから、一足先に夏の楽しみを得てもいいはずだ。駅前の商店街に戻りアイスクリームショップに向かう。通年そこにあるけれど、お世話になるのはやはり暑くなってからだ。
「先輩、何味が好きなんですか?」
「大納言あずき」
渋いチョイスだ。熱狂的に好きな人がいるから、消えないフレーバーだとか噂で聞いたことがあるのだけど、本当のところはどうなのだろう。いつも期間限定の味に目移りしてしまって、定番を全て味見したことがあるわけではなかった。
「あ、黒みつってありますよ」
今日だって季節限定のフレーバーに気を取られて、定番メニューは入れるにしても一個が限界だ。どれを選ぶのか、悩ましい問題だった。
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