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「やらせろよ」
朝ぼらけ、寝崩して少々しどけない気配になったままの寝巻の隼人が洗面所の鏡台に手をついたまま視線だけ寄越してそう囁いたから、
午前四時、まだ眠りの中にいる者たちもあろうに水洗トイレに最大音量の仕事をさせて機嫌よく帰って来た(後年の子供番組的に言えば『あさう○ち、プー』というやつである)竜馬も息を飲んでそして顔を赤らめた。
いや、雑にならいける状態かもしれないけれど、そんないつか「は」来るかもしれないと思っていた可能性の未来、お前が上になりたいって言い出す日がそんな突然に、待って待って心の準備とできればそうだなもう一回手を洗わせて
そう言いかけた男らしい爽やかな彼の口元は隼人の白い指が鏡台から取り上げたシェーバーナイフが柄まで銀色に光ってぞろりと長いさまに固まる
いやいやいやいやいやなんだどうした付いて来て洗面台で何か探してたとしてもそれは違うだろうニベアか軟膏は開き戸の向こうにア
―――ッ
木の床の上、棒立ちから押され、腰と背骨と頭を守りつつどさりと倒れてみれば彼が仰ぎ見た隼人の白い顔の中充血して薄紅色に濡れた二つの目にぎくりとする
もういいやお前の気持ちは待たねえ、と色の薄い唇が動いて
てめえ髭は剃っても顔は全然当たらねえのを何とかしやがれあまつさえその顔を寝てる間中擦り付けんな
自前の剃刀でうなじまで自分で当たる彼と、使い捨てT字剃刀をときおり使い、しかもキレが悪くなるまで洗面台の隅っこに置いて使いまわす彼と。
言えない。昔飼ってた犬の夢を見て涙ぐんで目が覚めたらお前がいたなんて
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