akinoshiroihana
2025-06-05 21:49:10
14405文字
Public
 

名刺置き場11



相互さんの竜隼トークお借りして七夕リョハヤx3





「七夕近ぇから」って、その辺から自分の身長並の笹担いで来た流竜馬
「水揚げ?が難しいって読んだんだけどよ、よくわかんねえから根っこから引っこ抜いてくれば誰かどうにかできねえかなって」
男の近所には花手水の神社もあった筈だが、恐らく彼とその父の一戸建ては、同じく界隈に昭和の頃から住む者たちとの交流が何時の頃からか途切れていた。
「引っこ抜けるもんじゃないだろ」「流石に無理だったんでシャベル使ったぜ!」「そうじゃない」
スコップがデカい方でシャベルは小さい方じゃないかという東西か地域差問題に迷い込んだ武蔵坊弁慶をもよそに、
そもそもが誰のものでもない土地などという物は無い、よって竜馬がしたことは不法侵入と花盗人である、などというその更に前に

「山に埋める時に笹の地下茎と貝塚が当たると面倒くせえんだ」
「あん?埋めるって何をだよ」
「聞くな」

竹の根―――地下茎を取り払うとなれば、農耕器具か大型野生動物並みの力が必要となる。食料不足の折に地下茎を食おうと掘って、掘って、大穴と土砂の小山を残し、田舎の農道の一本や二本、一夜で通行不能にしてしまう野生のイノシシの所業もしくは運転をミスしたブルドーザーが通り過ぎたかとも見紛うそれになっているに違いなく

足下の町から猟友会が犬を連れて上がってくると聞き、神隼人は舌打ちした


「七夕近いから」って、その辺から自分の身長並の笹担いで来た流竜馬
「水揚げ?が難しいって読んだんだけどよ、よくわかんねえから根っこから引っこ抜いてくれば誰かどうにかできねえかなって」
だが時はチェンゲ11話で隼人が空から降って来る前だ。銃は返して相手の真意も理解してますよと言ってはいるのに竜馬の顔面と態度は相変わらず怖くて固い、レールガン云々言い出す時みたいな丸っこい表情はかけらもない、そして隼人に至ってはなにゆえか常にそこだけ作画がすこぶる悪い。ので止む無く背中合わせにふたり会話する、正味2mはある笹がコートを纏った竜馬の遙か後方に伸びるから誰かをさらさらばさばさつつきまわしながら。
「引っこ抜けるもんじゃないだろ」「流石に無理だったんでシャベル使ったぜ」「タワー炊き出しの時に職員が自衛隊の昼ゴハンの時よろしく使う用シャベルが返却されてないとの報告があるのは」「OH」「外人になるんじゃない」

なあせめて顔見て話そうぜ、内心はもう通じ合ってるフェーズじゃねえか俺ら「やだ」なんで!てめえはメドゥーサかよイザナミかよ昔のテンノーヘーカかよ!「合わせる顔が無い」お前……「MAD職人が使える顔面探しに苦労する程度には出せる顔が無」馬鹿かよぉぉ、もおぉぉぉ!

嗚呼、憎しみも天帝の裁きもないというのに。ああ、彼らが目と目を見交わし語らうもう少し先まで、見えぬ大河が二人を分かつ
竜馬は今にも人を殺しそうな恐ろしいイケ貌作画で、隼人は作画事故の潰れたかガリガリの間延び顔で


「短冊、なんて書いた?」
「つぎまた作画荒れがあったら、お前の無事かせめて小難を。」
二十数年後、アニアクの世界でそれはほんのり叶った



「七夕近いから」って、その辺から自分の身長並の笹担いで来た流竜馬
「水揚げ?が難しいって読んだんだけどよ、よくわかんねえから根っこから引っこ抜いてくれば誰かどうにかできねえかなって」
「引っこ抜けるもんじゃないだろ」
號、来客用の子供さん用のカルピスを出してやってくれ、こいつに自分でやらせると難民キャンプの粉ミルクみたいに勝手に限界まで薄めるんだ、身に沁みついた悪い癖だよ。

「イヤそれだそれだよ、それでな?こんな細えのでもあいつら他の竹と全部繋がってやがんの。引きちぎるなんて乱暴にしねえで抜けねえかとオルァって引っ張ったら周りの御立派な竹までめきめきいって地面から浮くしさ、『今地面が揺れませんでしたか地震かな』って藪の向こうから声もしたからこりゃやべえってシャベルで」
ジョニー・デップのバッドエンド映画では昏倒した男の上で、シャベルのヘッドを力強く踏みしめるジョニー(遠景)に人妻が恐怖と絶望の叫びを挙げたのを思い出す。あれもつまりは同じ運命か。怖えなあ、見えないところで繋がってんのすげえのよくね?との竜馬を聞き流しつつ。

まあいいことにしようぜ、葉っぱがちりちりになる前にたどり着けたなら上等といってやるよ
こっちが片付くまで童心に帰って折り紙でもしてろ、短冊は書いてきたのか
いいや、それにもうもう叶っちまった

赤い翼にはもう乗れないから熱いアスファルトの上、一人汗を拭くのも最初は何の用だというつもりだったかも忘れ歩いた
照り返しの向こうに揺らぐ、白亜の城には見えないが遙かに苛烈なまでに夏の日差しに輝くビルへ
会えますように会えますように
嘗ていつも一緒だった君に

いまから越えていく見えない川のせせらぎが、どこかから聞こえた