とある呪術師の息抜き

あの『とある呪術師の息抜き』がリメイクされて帰ってきた!!






幕間 宝の包装について


……この布だけか?」

橿本は、手に持った白色の布を光に透かすように見つめながら首をかしげた。
その布は、志鶴姫――否、「宝」として送られる彼女の“箱”を包むためのものである。
「ふん。今仲に届けばそれでいい」
無愛想にそう返した荒正の口調には、どこか疲労と諦めが滲んでいた。
だが橿本は、こともなげに首を振る。
「バラバラになってるとはいえ、宝として送るのだぞ? もっと“盛らなくては”!」
「余計なことはする……なぁ!?!?」
叫ぶより早く、橿本の手がふわりと上がる。その動きはまるで舞でも始めるかのように優雅だった。

途端に――

彼の趣味で選ばれた“盛り”が施されていく。
箱の周囲を、異形の花々や不気味な植物が彩りはじめた。どれもこの世のものとは思えぬ姿かたちで、色彩は毒々しく、まるで悪夢の中から這い出してきたかのようだ。
「今すぐやめい!!」
荒正は机を叩いて立ち上がった。顔は真っ赤になり、肩を震わせている。
「おっと。盛りすぎたか?」
涼しい顔で首を傾げる橿本には、まるで悪びれた様子がない。
本気でこれが“美しい包装”だと思っている節さえある。
だが、そのまま送れば当然、自分が深く関わっていることが今仲に知られてしまう。
それを踏まえたうえで、からかっているのだった。
「貴様、本気で言っておるのか……
声を震わせた荒正は、その後三日間、床に臥せることとなったという。

一方の橿本はというと、
「わははは、その顔が見たかっただけだ」
と、満足げに笑いながら別の布を選び直していた。