
ついでなのでこの話も小説にしてもらった
幕間 荒正おじさんの看病
重たい咳をひとつ漏らした数見荒正の枕元には、すでに“あの男”が座っていた。
「自分が丹精込めて作ったお粥だ! さあ、食べさせてやろう」
そう言って、橿本は匙を掲げ、勢いよく「あ~ん」と口を開けてみせる。
その笑顔はいつものように朗らかで、どこか神々しさすら帯びていたが──
「老人扱いするな! そのくらい自分で
――」
荒正はぷいっと顔を背け、手で追い払おうとする。しかし、ちらりと横目で見やると
――
「
……なにを食べとるか!! 我のだろうが!?」
橿本はちゃっかり自分の口へとお粥を運んでいた。しかも、すでに三口目。
「四度目の味見をしたまでだ」
当然のような口ぶりで言い放つ橿本に、荒正は呻くように天を仰いだ。
仕方なく、自分の分がなくなる前にと荒正も匙を手に取る。
一口、慎重に口に含んだところ──
「
……まだ熱い。冷えてから食す」
そう呟いたその瞬間。
パラッと、器の中に氷片が落ちた。
「!?」
驚く荒正の前で、橿本は涼しい顔で言う。
「温度の加減がわからんな。これでどうだ?」
「氷の異能使い!? 早く言えーーっ!!」
荒正の絶叫をよそに、橿本はますます上機嫌で笑い出す。
「わははははっ、宝の腐敗も遅らせているぞ」
「食欲が失せる話をするな!!」
荒正の突っ込みは、城の隅々にまで響き渡ったという──。
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