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2025-04-04 14:06:13
10685文字
Public 演劇【推しの子】
 

虚ろの手紙

廻り金魚の後、旅を続ける匁から届く手紙。
※捏造に捏造を重ねているので訳がわからんところもありますが、わし時系列からなんとなくお察しいただけますと幸いです。

手紙(1)手紙(2)手紙(3)手紙(4)手紙(5)手紙(終)



東京 新宿區 歓楽街
キザミ将軍閣下

本気なのか皮肉なのか顰めつらしい宛名で手紙が届く。
差出人の名はただ一文字。


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手紙(4)

匁からの手紙が届く。
宛名の文字は酷く乱れていた。
中にあったのは、小さな紙片。千切り取ったような跡がある。

キザミは手紙を握りしめて王宮へ走った。王は、王宮の広い庭に掘っ立て小屋を建てて暮らしている。
毎日のように養い親の大風水師と戦っているらしい。呑気なものだ。
キザミは小屋の戸を吹き飛ばす勢いで開け放ち、中へ飛び込んだ。木っ端がいくつか飛んだ。

「ブレイド! 俺は匁を探しに行く!」

板の間に座布団を重ねて寝転がっていたブレイドが、億劫そうにキザミへ顔を向けた。

「しばらく戻らないから新宿を頼む! 将軍代理は両に任せる! 他なんかあるか!?」
「どうどうどう、落ち着け。茶でも飲むか。酒か」
「落ち着いてられるか! あいつ流水死命を抜いたんだ。これ王封の切れ端だ。おまえの字だろ」
「わかってる。だいぶ前だぞ?」
「おま、」

キザミは絶句して立ち尽くし、次の瞬間大きく牙を剥いた。

「知ってたんなら教えてくれよ!」
「落ち着けって」

ブレイドはぽりぽりと頭を掻きつつ、ようやく身体を起こした。土足のまま詰め寄るキザミを押し返しながら、床に転がっている瓶に手を伸ばす。
21本の盟刀すべての主であるブレイドは、それぞれの刀と通じることが出来るらしい。
とはいえ風丸以外はさして明確なものではなく、虫の知らせ程度とは云うが。

東京を離れる時、匁は流水死命を置いていくつもりだったらしい。持って行くように諭すブレイドと一悶着あった。匁は流水死命を携えるなら腕の腱を切ると言い出した。侃々諤々やり合った結果ブレイド自身が刀に封を施し、匁は最上級に嫌そうな顔で己の盟刀を受け取った。

「言ってどうなる。流水死命の在処は遠すぎて、確かめる術はない。それを送って来たってことは、封を解いたことをおまえに知って欲しかったんだろ。慌てることじゃねえ」
「でも。でもさあ!」

ブレイドに茶碗を押し付けられ、その水面に取り乱した自分の顔が映る。強い酒の匂いがする。

「これだけ時間が経っても帰って来ないってことは、匁はまだもがいてんだよ」
「ブレイド」
「そうでなければ東京に戻ってくる。おまえのところに。いざとなったら殺してやるって、約束したんだろ?」

キザミは握りしめた茶碗の中身を、一息に飲み干した。喉が焼けるようで、しみったれた味がした。