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2025-04-04 14:06:13
10685文字
Public 演劇【推しの子】
 

虚ろの手紙

廻り金魚の後、旅を続ける匁から届く手紙。
※捏造に捏造を重ねているので訳がわからんところもありますが、わし時系列からなんとなくお察しいただけますと幸いです。

手紙(1)手紙(2)手紙(3)手紙(4)手紙(5)手紙(終)


東京 新宿區 歓楽街
キザミ将軍閣下

本気なのか皮肉なのか顰めつらしい宛名で手紙が届く。
差出人の名はただ一文字。


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手紙(2)

匁からの手紙が届く。
キザミは貫に頼み事をした。

「俺ぁ、あいつが大ッ嫌いなんすよ。何考えてんのかさっぱりわかんねえ」

庭先で貫がぶつくさ言いながら、木の板に小さな楔を打ち込んでいる。
それはそうだろう。仲間のふりをして貫の想い人を毒で殺した裏切り者だ。嫌いで済む訳がない。
今では、貫とアジロの間には目に入れても痛くないほど可愛がっている家族がいる。

「面倒なこと頼んで悪いな」
「いや、それはいいんす。俺ぁ親分のことは好きっすよ」
「もう親分じゃない」
「いけねえ、将軍閣下だった」
……親分でいいわ。もう誰もリーダーって呼ばないんだよなあ」

将軍と副々将軍がする会話ではない。苦笑しながら貫は組み上がった木工をキザミに見せた。

「こんなんで、どうすかね」

キザミは慎重に両手で受け取る。
抱える程度の木の箱である。掌ほどの高さの平箱で、中は薄板で大小様々な升に仕切られている。
思った以上に凝った作りだ。

「うん、いい感じだ」
「外は色無しの漆をかけて磨いて、上蓋は板硝子入れて、蓋したまんまでも中が見えるように」
「え、そこまでやってくれるのか」

貫は得意気ににやりとした。副々将軍は手先が器用で細工物が得意なのだ。

「コレクションボックスってやつでしょ。いっそのこと外は黒漆に金で花でも蒔きますか? あいつの着物みたいにさ」
「でも、中に入れるのこれだぞ?」

キザミは木箱を傍らに置き、懐に入れていた手紙の口を広げて、貫に中を見せる。
封筒の中にあったのは、砕けて粉々になった薄くて脆い何かの残骸だった。

「開ける時に、なんかかさかさしてると思ったらさあ」
「なんすかこれ」
「蝉の抜け殻」
「は?」
「蝉の抜け殻。の、成れの果て」
……………なんで蝉の抜け殻?」
……………俺にわかると思うか?」
…………………………やっぱり俺ぁ、あいつ嫌いだわ。何考えてんのか全ッ然、わかんねえ」

匁の手紙を前にして、新宿に座す将軍閣下と副々将軍は同時に肩を落として深く溜息を吐いた。