河童の皿箱
2025-04-02 09:15:59
11966文字
Public 旧作
 

赤気

娑楽斎とランブラのお話。

 ぴーんぽーん

 山中の門に備え付けられた呼び鈴を鳴らす。確か、こうやって家の人を呼び出すのだと思うのだけれど。少し待っていると、その呼び鈴から、『はい』と男性の声が聞こえた。

「夜分遅くに申し訳ありません。以前大雪が降った日、この辺りに落とし物をしてしまってご存じありませんか?」

何を落とされましたか?』

「画材です。白銀色のスプレーガンなんですが」

『スプレーガンえぇ、心当たりがあります。えー少々お待ちを。今、表に出ますので』

 ぷつり、と音が途切れれば、門がからからと開き始める。それと同時に、胸の中がほっとあたたかくなった。これで、あの子も喜んでくれるだろう。
 人に会う前に、自分の服を確認する。もこもこのケープも、ロングスカートも、汚れはなし。ちゃんと、ここに合った服装のはず。門の先の広い土地に建つ大きな建物から、コートを着込んだ空色の髪の男性が、こちらに向かってきてくれていた。

「お待たせしました。今日も冷えますから、上がってください」

「では、お言葉に甘えて」