akinoshiroihana
2025-03-22 23:18:01
12058文字
Public
 

名刺置き場10






「神一佐、この花は貴方に似ていると思います」
「うむ懐かしい言葉だな、流竜馬も白い花を見ればそう言って軽率に花を毟ったものさ」
「神さんあなたは残酷な方です」
幼い地底の皇子はあたたかな風のある春の野で


「神司令、なんです下さるんですか、白い花は俺には合いませんよ」
「ならば私がお前からもらう」
「何がありました」
「あいつがs―――火星に飛んだ頃にこの国にも入って来た植物が、とうとうこの辺りにも咲くようになった」
彼がいた世界には決して咲かない白い花が咲いたのだという

世界が地球が生き残ったあのとき、多くの種子が飛んだ
あの星のうえにも、この星の上にも
星は回り続けて風を吹かせ大地を濡らし時をかぞえさせて
芽吹き花咲かせる、そっと摘む手がなくなろうと、贈られた相手の髪に霜降ろうと

「神司令」
少年期の終わり、地底から来た皇子は風のある春の野で―――